「象徴天皇制を担うのは、あくまで天皇」国の安定のカギとなる秋篠宮家から漏れ出る言葉

「象徴天皇制を担うのは、あくまで天皇」国の安定のカギとなる秋篠宮家から漏れ出る言葉

宮内庁提供

 日本国憲法第1条には「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」と、書かれている。特に、「日本国民統合の象徴」という部分に注目したい。

 統合というのは、2つ以上のものを合わせて1つにするという意味だ。日本国民が仲良く1つにまとまっている、バラバラではない。そのシンボルが天皇ということになろうか。国民の安定や安心の拠り所として天皇、そして皇室は、日本にはなくてはならないものなのだ、と私は考える。

 長らく続く国内経済の停滞にコロナ禍、さらにはロシアのウクライナ侵攻が加わり、国民生活に物価高をはじめとした直接的な影響が及び始めている。事態を収拾すべきはずの政治は混乱が続き安定から程遠い。

■国の安定に不可欠な皇室。キーとなるのは「秋篠宮家」

 こうした難局に直面したとき、過去の日本人がそうだったように、私たちは自然と皇室に目を向けてしまう。しかし、コロナ禍以降、姿を見る機会が減った。人々は天皇や皇族たちと直接、触れ合うことで安心する。その様子が報道されることで多くの国民が目にし、心の安定を覚える。平成時代には気付かなかった皇室の重みを、今、私は再認識している。やはり、皇室は国の安定のために不可欠なのだ。

 そのためのカギとなるのは秋篠宮家だと思っている。長女の結婚騒動では揺れたが、やはり天皇家と比べて行動の自由度は高い。国民と交流を深め、皇室の前面に立つ機会も多い。

 うれしいニュースがある。秋篠宮家の長男の悠仁親王が22年春、お茶の水女子大学附属中学校を卒業して筑波大学附属高校1年となった。9月6日には16歳の誕生日を迎えた。

 悠仁親王は、天皇、秋篠宮兄弟の次世代の皇室を担う存在で動向が注目されている。

 私は、幼稚園児のころの悠仁親王に会ったことがある。秋篠宮と懇談していると、紀子妃が悠仁親王を連れて部屋に入ってきた。知らない大人がいて恥ずかしいのだろう、彼は椅子やテーブルの脇をすり抜けて部屋中を駆け回った。少しもじっとしていない。父親は、走り回る彼を目で追うだけ。目元はゆるみ、とてもいとおしそうだった。はしゃぐ悠仁親王を紀子妃がしっかり抱き留め制止した。

 そんな元気一杯の印象が強いものだから、高校入学式で記者の質問に落ち着いて堂々と答える悠仁親王の姿をテレビやネットで見て、立派に成長されたものだと感慨はひとしおだった。

 宮内庁によると悠仁親王は、バドミントン部に入部し、現在は、上級生やコーチのアドバイスを受けながら基礎体力作りのトレーニングやバドミントンの基本ステップなどを練習している。

 7月下旬、長野県で行われた2泊3日の学校の宿泊行事に参加した。自宅のある赤坂御用地で野菜作りや稲作に取り組み、この夏はオクラやスイカを栽培した。悠仁親王は小さい頃から昆虫好きで知られており、09年11月の記者会見で秋篠宮は「結構虫に興味が出てきまして、庭でカブトムシを見つけたり、カマキリを見つけたりして、それを毎日何回か眺めるというか、一緒に遊ぶことを楽しみにしているようでした」と紹介した。

 夏になると両親と一緒に御所に出掛け、天皇、皇后(現在の上皇夫妻)に挨拶した後、皇居の森で昆虫採集を楽しんだこともある。現在もトンボ類の生息環境の調査を熱心に続けている。

 22年7月には、両親と一緒に「全国高校総合文化祭東京大会」(とうきょう総文2022)の総合開会式に出席するなど、同世代の高校生たちと交流を深めた。将来の悠仁親王について紀子妃は文書でこう答えた。「国内外において様々な分野で学ぶ人々や社会で働く人々とも交流し、広い視野で世界を見ていけるようになってほしいと思っております。そうした中で、自分のテーマを見つけ、探究しながら、自分の進む道を拓いていってくれればと考えております」。悠仁親王が健やかに育つ姿は、国民の心の安定に寄与していると考えるのは私だけではあるまい。

■オンラインに頼らない地方公務「私はできるだけ、その場所に行って…」

 22年4月、三重県伊勢市にある神宮。モーニング姿の秋篠宮と白い参拝服姿の紀子妃は、外宮で玉串をささげて拝礼。続いて天照大神(あまてらすおおみかみ)を祀る内宮を参拝し、秋篠宮が天皇の位を継ぐ皇位継承順位第1位の皇嗣となったことを報告した。20年11月に行われた「立皇嗣の礼」に関連する行事だが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期されていた。

 さらに、秋篠宮夫妻は、7月の徳島市で開催された「全国高校総合体育大会」総合開会式や8月、都内で開かれた「日本スカウトジャンボリー」大集会などにも足を運んだ。日本テニス協会名誉総裁、日本工芸会総裁に就任した佳子内親王も7月、北海道恵庭市で開かれた「全国都市緑化祭」記念式典などに出席した。

 秋篠宮親子はオンラインに頼らず地方での公的活動も積極的にこなしている。21年11月の会見で秋篠宮は「やはり、オンラインで確かに話もできますし、何かものを見ることもできますけれども、これは実際に行って何かを見たりそれから人から話を聞いたりするのとはやはりかなり違いがあると思います。私はできるだけ、その場所に行って、自分が依頼された仕事をし、また人々との交流をしていきたいと思います」と、直接、国民と接することの大切さを力説した。

■「私は兄を支える、助けることに徹する」

 秋篠宮は、「象徴天皇制を担うのは、あくまで天皇であり、私は兄を支える、助けることに徹する」と、話したことがある。令和日本がいま直面する困難は冒頭に述べた通りだが、不安を抱える国民に皇室が寄与する余地はまだまだ大きい。そのためには、天皇、皇后と秋篠宮夫妻の緊密なチームワークが必要だ。

 私は兄弟が定期的に懇談する場を早急に設ける必要があると感じている。2人が直接、意思の疎通を図れば皇室はより安定する。ひいては国民の安心、日本の安定にもつながるはずだ。

◆このコラムは、政治、経済からスポーツや芸能まで、世の中の事象を幅広く網羅した『 文藝春秋オピニオン 2023年の論点100 』に掲載されています。

(江森 敬治/ノンフィクション出版)

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