傍聴席から「美人過ぎる…」の声 吉羽美華、“勝負服”の白のパンツスーツで無罪主張
2023年01月06日 12時45分文春オンライン

吉羽美華被告
「詐欺師の渡部さんに騙され、利用されたこと、私が詐欺に加担したと誤解されていることは、誠に無念であり、お恥ずかしい限りであります」
法廷でこう声を響かせたのは、大阪府寝屋川市議の吉羽美華被告(42)だ。
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■白のパンツスーツで無罪を主張
独立行政法人福祉医療機構(WAM)のコロナ融資制度を悪用して約2億9000万円を詐取したとして今年8月に逮捕された吉羽。3件の詐欺罪で起訴された。
その初公判が12月20日午後1時半、福岡地裁第905号法廷で開かれた。開廷数分前、吉羽が入場すると、傍聴した記者の後ろにいた男性がこう漏らした。
「美人過ぎる……」
吉羽は白のパンツスーツという“勝負服”。逮捕から約4カ月半、頭髪は生え際から1つに結った部分までは真っ黒だが、ポニーテールは茶髪になっており、時の流れを感じさせる。着席すると、膝の上の紙を見ながら必死に証言を確認していた。
開廷。裁判長に職業を聞かれた吉羽は一際高い声で「市議会議員です!」。罪状認否ではこう主張した。
「私は、渡部秀規さんと、詐欺の共謀をしたことはありません」
吉羽と共犯で逮捕されたのが、WAMの「審議官」を騙っていた無職の渡部秀規被告(48)。渡部は、11月上旬に行われた公判で起訴内容をすべて認めた上で吉羽も詐欺を認識していた旨を証言している。
だが、吉羽は法廷で真っ向から反論。
「私も渡部さんに騙されており、(コロナ融資の返済がなくなる)『特別ルート』の存在を信じておりました。渡部さんたちのやっていることがおかしいと分かった後は(被害会社を)訪問していませんし、手数料も私の手元に入っていません」
■代理人弁護士が読み上げた意見はなぜか“小説調”
その後、吉羽の代理人弁護士が意見を読み上げたのだが、なぜか“小説調”。
〈第一に、みんな渡部に騙されていた〉
こう切り出すと、2年前、ホテル「ハイアットリージェンシー大阪」で出会った渡部が高級車を何台も保有していたことに触れ、
〈実業界の成功者であって、吉羽さんにとっては頼りがいのある存在に見えた〉
そして、
〈(吉羽が)政治家、あるいは政治家の妻だったころの経験として、各種公共政策の給付金の領域では有力者の見えない力が働く、と肌身で実感していたため、政財界、医療融資業界の大物が関与する「特別ルート」は本当に存在する、とどんどん信じ込んでいった〉
と語り、こう締めた。
〈捜査機関は渡部のウソを信じて行動を共にし、何かと目立つ存在であった吉羽さんのほうにターゲットを移し、捜査を推し進めていった――というのは、大いにあり得る話である〉
最後、吉羽は裁判長に向かって深々と頭を下げ“優等生ぶり”を演出。この日の公判は幕を閉じた。
■吉羽の話はコロコロ変わる
だが、吉羽に現金約7000万円を預けたまま戻ってきていないという男性は、公判が行われた後、週刊文春の取材にこう語るのだった。
「彼女にとって借りた金を返しもせずに『返したよね?』などと強弁するのは当たり前。周囲には『あの金はもう返さなくていいの』などとシラを切る。話がコロコロ変わるのは日常茶飯事なんです」
次の公判ではどんな“物語”が飛び出すか。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年1月5日・12日号)
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