【逮捕者13人の衝撃】“盗撮のカリスマ”斎藤果林容疑者が逮捕 犯行グループの一員が明かす“卑劣な手口”「若い女性が集まる連休にはグループで“温泉盗撮旅”へ」
2023年02月01日 18時20分文春オンライン

斎藤容疑者らが盗撮をしたとされる某県の温泉 ©️文藝春秋
“盗撮のカリスマ”グループの卑劣すぎる組織的犯行「知人女性をクスリで心神喪失状態にし“眠り姫”動画を撮影した」《県庁職員、公安調査員…逮捕者13人の衝撃》 から続く
“盗撮のカリスマ”ともあだ名された斎藤果林被告(50)が逮捕・起訴された事件。グループで共謀して露天風呂で女性の入浴姿を撮影するなど、常習的に卑劣な犯行に及び、1月24日に公安調査庁の職員、津田奨太容疑者(31)が逮捕されたことで、逮捕者は計13人にのぼった。
捜査が進むにつれ、その卑劣な犯行手口も次々に明らかになっている。その過程では、知人女性を薬品で心神喪失状態にして撮影する「眠り姫」動画の存在も発覚した。
盗撮グループはいかにしてここまで犯行を重ねてきたのか。当時の記事を再公開する(初出:2022年5月1日。肩書、年齢は当時のまま)。
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「自然って美しいなぁ…」
北海道の空に虹がかかる風景写真をFacebookにアップし、「僕らほど日頃の行いがいい人おらへんもん(キッパリ)」と、人が好さそうに書き込む男。
その正体は、全国の露天風呂を行脚する“盗撮のカリスマ”と呼ばれる男だ。
静岡県警は2021年12月、兵庫県内の露天風呂で共謀し入浴中の女性を盗撮したとして、兵庫県迷惑防止条例違反の疑いで、斎藤果林容疑者(49)とその盗撮仲間の男らを逮捕した。(全2回の1回目/ 続きを読む )
■「盗撮に邪魔な木を切るため」にノコギリ所持
静岡県警の署員が、静岡県藤枝市内の駐車場にいた斎藤容疑者の盗撮仲間の男を職務質問したところ、刃渡り6センチ超のノコギリを所持しており、銃刀法違反で逮捕。その後、「盗撮に邪魔な木を切るため」と話し、取り調べをすすめたところ、全国規模の組織的盗撮の可能性が浮上。押収されたデータなどから撮り師が次々と逮捕される事態となり、捜査は思わぬ広がりをみせている。
気づかぬうちに被害者となり、ネット上で自分の入浴動画が売買される。そんな寒気のする犯罪行為から、どう身を守れば良いのだろうか。
取材班は斎藤容疑者と現場を共にした元グループの1人であるAと接触 した。
「私は服を着ている女性をこっそり撮るのが好きなんです。それも褒められた行為ではないとわかっています。でも決してスカートの中を撮りたいとは思いませんよ! でも同好の士として斎藤とは行動を共にすることがありました。彼らのやり口を知るにつれ、さすがに一線を超えていると思い、嫌気が差してきて……。
斎藤は以前にも一度逮捕されたが止めなかったし、また盗撮を繰り返すだろうと思います。今後同じ被害を生み出さないため、罪滅ぼしとして斎藤の手口を知ってもらいたい」
そう言ってAはその周到かつ卑劣な事件の全貌と、組織的盗撮の手口を明らかにしたのだ――。
絶対匿名を条件にAが語る。
■少女が写った露天風呂の盗撮動画を販売
「斎藤は露天風呂盗撮界の超有名人。盗撮好きなら一度は彼の動画を見たことがあると思います。本名を使っているところを見たことはなく、いつもYという偽名を名乗っており、メンバー間でもそう呼ばれていました。盗撮歴は30年ぐらい。実は2013年にも『●●』という大手盗撮販売サイトで、少女が写った露天風呂の盗撮動画を販売し、児童買春・ポルノ禁止法違反(提供)容疑で茨城県警に逮捕されています。
ただ、その時点で遊んで暮らせるぐらいの金を稼いだようで、塾講師のバイトをしていると本人は話していましたが、まともに働いてはいないと思います。盗撮三昧の日々を送っていました。
斎藤は『女性の裸は飽きるほど見て、何も感じない。撮影自体が楽しく、撮る瞬間のアドレナリンがたまらない』と話していました。実際に自分で撮った動画を1人で見返すことはほとんどない。売る目的がなくても、ルーティンで暇さえあれば風呂に出かけ、盗撮する。完全に中毒だったのだと思います」
■過激な盗撮動画のタイトル
斎藤容疑者が夢野一という偽名で登録するFacebookのページを見ると、地元である茨城県や長野県、北海道などを旅した際のピザやスイーツの「食レポ」など、人の良いおじさん風の投稿で占められ、そこからは自由を謳歌する中年男性の姿が浮かぶ。
しかし、斎藤容疑者の撮り師である裏の顔は対照的だ。
斎藤容疑者が使っていたとされるハンドルネームを検索してみると、ヒットするのは「激!!盗撮露天紀行」「新!湯乙女旅情」といった、過激なタイトルの盗撮動画ばかりなのだ。
■「ヤラセはほぼなし」盗撮動画で年間10億円
「『●●』に投稿されていた露天風呂盗撮動画のほとんどは、斎藤のグループが撮影したものです。ヤラセはほぼありませんでした。過去には斎藤以外にも、100人にのぼる女性に睡眠薬を飲ませ、わいせつ行為をした盗撮動画をアップするなど、かなり悪質な撮り師もいました。
このサイトの運営者は2013年、斎藤と同時に逮捕されています。その後も懲りずに海外サーバーを使った児童ポルノサイトを運営し、年10億ほど売り上げていましたが、2020年にもまた逮捕されました」
危険すぎる撮り師たちの実態。「アドレナリンがたまらない」という斎藤容疑者の盗撮現場は実際どのようなものだったのか。Aの証言からは、斎藤容疑者の盗撮への異常なまでの執念が窺える。
■陽が昇る前に現場到着。盗撮場所の“草むしり”まで
「斎藤は地元・茨城ではコンビニに行くような腰の軽さで盗撮に出かけます。一方、北海道や神奈川など、地元の茨城以外の撮影スポットでは周到に準備します。だから盗撮の最中にバレたことは一度もありません。斎藤と一緒に逮捕されたメンバーは、職質を受けた際にノコギリを持っていましたが、盗撮をする前夜、人目につかない時間帯に現地に入って草むしりまでします。撮影現場へのルート開拓や、撮影に邪魔な枝を除去して、準備万端で当日を迎えるのです。
撮影当日の朝は早いですよ。陽が昇るまでに現場に到着しないと人目につくリスクがあるからです。気合いが入っている場合だと、水や食料を持参して朝4時頃には現場に向かい、朝風呂から盗撮を始めます。撤収するのは、バレにくい日没後の夜8時頃。夜になると、女性の顔が判別できず、動画の撮れ高もよくありませんから」
逮捕されるリスクを下げるため、「足を残さない」ことも重視しているのだという。
「昔はバレても怒られておしまいということもあったようですが、今は見つかれば即逮捕。だからとにかく慎重です。宿泊者リストを調べられれば、現場にいたことがバレるので、3日など長期の撮影でも、宿には泊まらず全て車中泊。高速道路も走行履歴を調べられるのが怖いからか、なるべく使いません。
ちなみに撮影の定番スポットは、斎藤が住む関東近郊だけではなく、全国にあります。7月は旅行がてら、北海道まで撮影に行くこともあります。冬は寒いので、茨城や神奈川、兵庫、岐阜などの温泉地が中心だと思います」
■若い女性が集まる連休にはグループで「温泉盗撮旅」へ
盗撮は基本的に斎藤が1人で行っていたそうだが、時には“チーム”を組むこともあった。
「正月、お盆、ゴールデンウイーク、祝日を入れた3連休などは、メンバー数人で予定を合わせ、撮影に出かけることが多い。露天風呂にやってくる若い女性の数も多いので、撮れ高がいいんです」
今回の事件で話題となったのは、盗撮が組織的だった点だ。斎藤容疑者は、盗撮に加担するメンバーを、どのように集めていたのだろうか。
「一般的に、盗撮する奴は1人でやります。しかし斎藤は盗撮画像を投稿するアダルト掲示板で知り合った人と積極的にコンタクトを取り、実際に会っていました。他にも、例えば神奈川の温泉地を拠点にグループで行動する一派もいます。ただ斎藤はノリがいいというか、腰が軽くてアクセスしやすいため、特に目立っていましたね。外野のベテランからは『大風呂敷広げて、目立ったことしてんじゃねえよ』と嫌われていたようです。
■盗撮動画の「鑑賞会」「依頼盗撮」の手口とは?
斎藤のグループは初心者が多かった印象です。元々動画の購入者で、斎藤に『絶対捕まらないから、今度一緒にやろう』と誘われ、始めた人もいましたね。現場では、カメラの設定やフィールドスコープをうまく使いこなせず、『うまく撮れない』とボヤいている人もいました。斎藤同様、完全に中毒化して、家がある岡山から神奈川まで毎週通うようなメンバーもいたと聞いています」
更にAへの取材を進めると、驚くべきことにメンバー同士で盗撮動画を鑑賞するという悪質すぎる「オフ会」まで行われていたことが判明。また、斎藤容疑者に頼み、目的の女性を盗撮してもらう「依頼盗撮」という卑劣な手口までが横行していたという――。【 #2 に続く】
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3月10日21時~の「 文春オンラインTV 」では、本記事について担当記者が詳しく解説する。
【逮捕者13人の衝撃】「女子バスケットボール部の“鬼畜動画”をオフ会で鑑賞した」犯行グループの一員が告白する《組織的盗撮犯罪の下劣な実態》とは へ続く
(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
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