《返金の訴訟続出》「借金」「改名」「キャバ嬢との別れ」「“偽装”離婚」500億円詐欺疑惑の投資会社「エクシア」は内部崩壊中

《返金の訴訟続出》「借金」「改名」「キャバ嬢との別れ」「“偽装”離婚」500億円詐欺疑惑の投資会社「エクシア」は内部崩壊中

詐欺疑惑のエクシア"崩壊"も

《返金の訴訟続出》「借金」「改名」「キャバ嬢との別れ」「“偽装”離婚」500億円詐欺疑惑の投資会社「エクシア」は内部崩壊中

エクシアの旧本社

《500億超の巨額詐欺?》社長は一晩で数千万使い、社員の給料は月額2億! 絶好調に見えた投資会社「エクシア」に裁判所が“踏み込んだ”理由「会社は対応を拒否」 から続く

 文春オンラインが『 《500億超の巨額詐欺?》社長は一晩で数千万使い、社員の給料は月額2億! 絶好調に見えた投資会社「エクシア」に裁判所が“踏み込んだ”理由「会社は対応を拒否」 』という記事を掲載したのが昨年10月27日だった。通常ではあり得ぬような投資効率をうたって莫大な資金を集め急成長してきた投資会社「エクシア」の実態がきわめて胡乱であり、資金繰りに苦慮していることを指摘したその記事は、経営メンバーの放埓な生活ぶりもあって大いに注目を集めたようだ。

 それからおよそひと月後、投資会社エクシアは、「経営体制の変更」を謳い、本社の移転を発表する。引っ越し先は、「墨田区江東橋2丁目」。JR錦糸町駅にほど近い場所だった。かつて港区六本木にそびえ立つ「六本木グランドタワー」15階の1052坪を専有し、毎月5千万円の家賃を支払っていた企業の移転先としてはいささか手狭な場所だった。

■きっかけは、ある情報提供者のTへの接触

 文春オンラインでの報道は、金融庁でもコピーされ然るべき部署で回覧されていたという。それは金融庁に被害者代理人の弁護士が頻繁に訪れるようになったからだ。エクシアに対する訴訟は全国で起こされ、総数は50件にも迫ろうとしている。中には地元警察が事件を受理したとの情報も流れている。

 本社の移転先のあまりの落差にエクシア破綻の噂が駆け巡った昨年12月半ば、やはりエクシアに対し訴訟を起こしている東京・港区のある弁護士を訪ねて来た男がいる。エクシアのNo.2関戸直生人だ。記事の中で“月収”は2億円だと語っていた最高幹部の1人である。

 今まで沈黙を守っていた男が、よりにもよってなぜ敵対する弁護士を訪ねて来たのか。この弁護士を仮にTとしておく。きっかけは、ある情報提供者のTへの接触だった。

■息子の通う保育園の情報までが筒抜けに

「関戸と連絡がつくかもしれません」

 こう書かれたメールには、関戸のひとり息子の通う保育園の父兄たちの間だけで使われているというメールアドレスが記載されていた。

 情報提供を受けた弁護士Tがそのアドレスにメールを送ると30分もたたずに関戸から返信が来た。「なぜこのメールアドレスを知っているのか」と。関戸が疑心暗鬼になるのも無理はなかった。息子の通う保育園の情報までが筒抜けになっている。包囲網はすぐそこに迫っていた。

■“騙し取られた”金を一部でも取り戻そうと裁判を決意

 関戸の動きは早かった。Tとの間でメールのやりとりをした当日、関戸は自分の弁護士を帯同してTの事務所を訪ねて来た。

「菊地(翔・エクシア代表)に相談したんですが『お前、お金あるんだから自分で探せよ』って言われちゃって自分で探した先生なんですよ」

 関戸は自分の弁護士をこんな風に紹介した。どことなく菊地との距離感を感じさせる口ぶりだったとT弁護士は言う。

 T弁護士は被害者の代理人として、“騙し取られた”金額の一部でも取り戻そうとしていた。そのために「エクシア」幹部の資産逃れを防ぐために「仮差押」の裁判を起こそうとしていた。

■関戸の“財産隠し”にストップをかける

「財産の処分をしようとしているのですか? それは酷いですよ、関戸さん」

 Tがこう言うと、関戸は悪びれた風もなく「僕にはもう財産はないですよ」と返した。関戸の説明はこうだ。実は妻とはすでに離婚しており、慰謝料として財産は妻に渡してしまったのでもう自分には財産は残っていない、と。差し押さえの手が届かぬようにするための“偽装離婚”と“財産隠し”ではないのか――Tはそう疑った。

 関戸が処分したと主張する財産とは、渋谷区代官山の高級マンション。キャッシュで買ったという「プラウド代官山」の一室は、中古市場でも2億円を下ることはない。

「だから僕にはもう財産はありません。税金も滞納しているような状態なんです」

 関戸はこう言うが、T弁護士は関戸と妻がまだ家賃数百万円といわれる別の高級マンションに同居していることも確認していた。T弁護士は、東京地裁での「仮差押」の手続きの中で、関戸が財産の処分を図っていることをすでに知っていた。

「先を越されたと思って焦った」というT弁護士は、関戸の財産の名義変更手続きを禁止する「処分停止の仮処分」を東京地裁に起こしている。売り抜けた高級マンション以外の“財産隠し”にストップかけることになる。

■大阪のキャバ嬢「ひめか」に数億円つぎ込む

 Tの事務所に現れた関戸は努めて冷静さを保とうとしていたという。

「最近、菊地とはどうなのか? 今後のことについても話しているのですか?」というT弁護士の質問に対し、関戸は「このところ会ってもない」と実にそっけない返事をするだけだった。

 カネが回らなくなっているエクシアの内部崩壊を予感させるような雰囲気が関戸からは滲んでいたそうだ。

 一方、エクシア代表の菊地翔は何をしているのか。大阪のキャバ嬢「ひめか」にとことん入れあげ、尋常ならざるカネをつぎこんでいることは既に報じたとおりだ。記事の出た後、菊地とひめかとの間に距離が出てきたとは聞いていた。ひめかは周囲から菊地と縁を切るよう勧められていたという。

 事態が動いたのは今年に入ってからだった。ひめかは突如としてTwitterで「皆様からのご指摘のある菊地翔」について「今までの気持ちと今の気持ち」を表明する。かいつまんで言うと、尊敬する客として接しているうちに好意を抱いてしまったが、周囲から菊地の仕事のよろしくない評判を指摘され、別れを決心したというものだ。

 菊地はひめかに数億円はつぎ込んだとも言われている。傷心の菊地は、昨今はもっぱら東京・六本木にあるバー「アゲイン」に入り浸りになり夜ごと泥酔しているという。

■地元の高校を卒業後、「東京モード学園」に進学

 エクシアに対する訴訟が増える中、菊地は社内のある幹部と別の投資会社を立ち上げようとしていた。その動きは関戸らほかのエクシア幹部には伝えず秘密裡に計画されたものだったが、資金集めなどが上手くいかずその話は立ち消えになった。

 こうした状況でも菊地は次々と新たな儲け話を考え、カネを集めようとしているのである。そして巨額の資金を集めては放蕩を繰り返す。この特異な男はどんな風に生まれたのか。

 菊地は北海道札幌市で生まれた。父は保険会社に勤めるサラリーマン。母は専業主婦。地元の高校を卒業し、東京の専門学校「東京モード学園」に行く菊地を数人の友人らが千歳空港で見送った。

「頼平、頑張れよ」

 友人らは口々に励ました。この頃、菊地はまだ「翔」ではない。「頼平」と呼ばれていた。そう、菊地の本名は「菊地頼平」(きくち・よりへい)だった。後に取得する「翔」とは余りに落差を感じる古風な名前だ。

■ネイルサロンの経営で失敗 多額の負債から逃れるために改名

 友人らによれば、「東京モード学園」を卒業した菊地は、借金をしてネイルサロンの経営に手を出していた。当時は、「なにかやってからでないと札幌には帰れない」と語っていたという。一旗上げねば故郷には帰れないという意識が強かった。

 けれども、ネイルサロンの経営は上手く行かず、結果として菊地には借金だけが残った。4500万円。20歳を超えたばかりの若者には大きすぎる負債だった。この負債から逃れるため、菊地は名前を変えることを思いつく。「頼平」改め「翔」。飛翔――何者かになりたいという思いがその名前を選ばせたのか。

 かつて菊地は東京歌舞伎町にある店舗で働くキャバ嬢がお気に入りだった。菊地は彼女のもとに相当通った。席に着き、高い酒を並べては自らのたどってきた道を彼女に聞かせてきた。聞かせてきたというよりも、恐らく聞いてもらいたかったのだろう。それは菊地の承認欲求のようでもあった。

 ネイルサロンの経営で失敗し、多額の負債を負い、それから逃れるために改名までしたこと、歌舞伎町のほかのキャバクラで皿洗いなども経験したと語っていたという。

■東京だけでなく地方からの訴えも増加

 菊地は酔っ払うと、情報商材で相当に儲けたことを自慢げに話すのが好きだった。どうということもない商品に幾重にも言葉の衣をつけて見栄えを良くしては、売り飛ばし儲けてきたことを饒舌に語った。空虚なものをさも実質があるかのように見せる、菊地にはそういう言葉の巧みさがあった。

 菊地の住民票を追いかけた弁護士によれば、若い頃は豊島区池袋に住んでいたことがわかっている。しかし10年ほど前から港区内での転居を繰り返すほど羽振りが良くなっていた。今でも住むのは現金で買った、大手ディベロッパーが手掛けた大規模商業ビルの高級レジデンスである。購入金額は3億円と言われている。

 菊地と関戸という大幹部の仲が微妙な陰りを見せ始めているエクシア。同社に対する訴訟は相次ぎ、東京だけでなく地方からの訴えも増えてきた。2023年1月、警視庁では捜査2課長が代わった。その交代を機にエクシアへの捜査が行われるのではないかという情報が飛び交う。六本木グランドタワー15階から巷を睥睨していた菊地と関戸。彼らの目に映る風景は、一変したに違いない。投資会社エクシアの包囲網はじりじりと狭まっている。

(児玉 博/Webオリジナル(特集班))

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  • 4

    テレビ番組『それって!?実際どうなの課』2021年6月24日(木)放送で、『家賃の100万円の高級物件!住民は一体何者なのか?』ってコーナーでエクシアの社員と住居を紹介していた。見てて胡散臭いとしか言いようがなかった。

  • 3

    写真の横にいるのが有名な政治家でも詐欺やるのはいるので、基本的に信用しないのが鉄則。 最初はちょっとリターンを見せるが、そこで一段深入りさせ、さらに金集めて逃げるだけ。盗人に追い銭。

  • 2

    資金は俺に預ければ10分の1にしてあげるよね。 www 投資会社「エクスタシー」 www

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