秋篠宮家の"公私問題"を考察
2023年02月06日 07時00分文春オンライン

1月25日、日本テニス協会の創立100周年記念式典であいさつされる佳子さま ©時事通信社
今年は3年ぶりに皇居で新年一般参賀が行われ、天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(21)が初めて出席されたことが話題を呼んだが、現在は学業を優先しながら過ごされている。
一方の秋篠宮家では、秋篠宮ご夫妻と、長女・小室眞子さんからの公務も受け継いだ次女・佳子さま(28)が精力的に公務に臨まれている。
結婚も進学も、プライベートでありながら国民的な関心を呼び、オフィシャルな側面を持つ。こうした秋篠宮家の「公私」を巡る問題について、天皇陛下や皇族方のご活動と宮内庁組織の関係をひも解きながら、名古屋大学大学院人文学研究科准教授の河西秀哉氏が考察する。
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■小室眞子さんの結婚をめぐる報道
最近、宮内庁が新年度から広報室を新設し、SNSなどの新しい広報戦略を採るのではないかという話題がメディアで取りあげられている。
たしかに、宮内庁の広報のあり方には大きな問題があるように思われる。それが特に近年になって顕在化したのは、小室眞子さんの結婚をめぐる週刊誌やネット記事であろう。
それに関して秋篠宮は2021年の誕生日の記者会見で、複雑性PTSDと診断された小室眞子さんの体調に影響を与えられたと考えられる週刊誌報道やインターネット上の書き込みについて問われ、週刊誌については「創作というか作り話が掲載されていることもあります。一方で、非常に傾聴すべき意見も載っています」、ネットについては「中には確かに相当ひどいことを書いているのもあるわけです」「ネットによる誹謗中傷で深く傷ついている人もいますし」と述べ、「誹謗中傷、つまり深く人を傷つけるような言葉というのは、これは雑誌であれネットであれ私としてはそういう言葉は許容できるものではありません」と答えた。
■雑誌やネット記事を読むと告白
皇嗣である秋篠宮が、自らや家族について書かれた雑誌やネット記事を読んでいると告白したこと自体興味深い。それだけ、皇室も自分たちがメディアのなかでどう書かれているのかを気にしているのだろう。秋篠宮は同じ記者会見のなかで、そうした記事に対する反論などに関する基準作りの問題にも言及していた。
そして翌2022年の記者会見では、実際に自身について書かれた記事を分析した結果、「かなりの労力を費やさないといけないことがよく分かりました。そのようなことから、基準を作って何かそれに対して意見を言うということはですね、なかなか難しいなと思っておりますし、これは引き続き検討していく課題なのかなと思って」いると述べた。また、自らはSNSはやらないとしつつも、「皇室の情報発信というものも、正確な情報を何て言いましょうかね、タイムリーに出していくということが必要であるとともに、どこにそういう、その最もきちんとしたと言うか、正確な情報がどこにあるのかということが分かることも大事なこと」と言及した。
■不正確な記事に対する反論
たしかに、不正確な記事に対する反論は難しい。数多くの記事が量産されるなかで、当事者である皇族がいちいち確認して、ここは正しい、ここは間違っているなどと確認作業を行うのは、手間がかかりすぎるうえ、現実的に無理がある。また、宮内庁が反論すれば、逆に反論しなかった場合にその記事は正しいとのお墨付きを与えてしまうことにも繋がる。また、宮内庁の反論を契機に、そうした記事を掲載した出版社やプラットフォームに批判が向くのも、象徴天皇制の性格上難しいと思われる。それゆえ、明確な基準をもって反論という方向にはすぐには向かわないだろう。
一方で、広報というものの役割はそれだけでもない。天皇や皇族の公務について、それを人々に知らしめることによって、象徴天皇制への理解を深めていくという課題もある。たとえば、ここ最近、秋篠宮家の佳子内親王が積極的に公務を担っている様子が、新聞やテレビ、女性週刊誌などを中心に伝えられている。しかし、宮内庁のホームページを見ても、その様子はほとんど掲載されていない。このホームページは非常にわかりにくい構造で、トップページを見て、佳子内親王がどのような公務をしているのかを知ろうとしてもなかなか情報にたどりつくことができない。
■秋篠宮家と密接に関わる役職は…
実は、これは組織的な問題でもある。宮内庁には、長官をトップにして様々な部局が存在する。宮内庁組織の大部分を占める「内部部局」は、長官官房と4職(侍従職、上皇職、皇嗣職、式部職)・2部(書陵部、管理部)から成り立ち、長官官房には秘書、総務、宮務、主計、用度などの各課があり、報道室は総務課にある。報道に関すること、広報に関することはここが対応する。
さらに、宮内庁では「オモテ」と呼ばれる公的な問題を扱う一般事務部門と、「オク」と呼ばれる私的な問題を扱う側近部門が明確に区別されている。「オモテ」のトップである宮内庁長官が全体を統括する一方で、天皇や皇族とは、侍従職や皇嗣職などが「オク」として密接に関わる。「オク」の職員の方が、天皇や皇族と会う頻度は高く、しかもその意思をより深く知ることができる構造となっている。
皇嗣一家の場合は、公私にわたる世話をする職域が皇嗣職であり、長は皇嗣職大夫で、皇嗣である秋篠宮と最も密接に関わる役職と言える。
■愛子さまと悠仁さま“日程ミス”事件
先ほど述べたように、広報は「オモテ」にあたる長官官房の総務課報道室などが担当する。それゆえ、「オク」を担う皇嗣職が直接に把握しているであろう佳子内親王の公務の詳細を、わかりやすい形で広報することが実現しにくい、そうした構造になっている。
しかも、皇嗣職は宮内庁長官の指揮下にはあるものの、皇居のある「千代田」と皇嗣が住む「赤坂」では距離的に離れており、そもそも皇太子がいたころの東宮職も古代以来やや独立した役所・部署といった感があった。その感覚が現在も残っているのである。
以前、愛子内親王の成人としての記者会見と悠仁親王の中学校卒業式の日程が重なってしまったことがあり、西村泰彦宮内庁長官は自身のミスとして謝ったことがあった。これは、「千代田」と「赤坂」という物理的な距離が起こした問題であるとともに、「オモテ」と「オク」との連携が取れていないことを示した。近年は宮内庁として、これまで以上に、「オモテ」と「オク」、そして「千代田」と「赤坂」を統合することが迫られているのではないか。
そもそも、宮内庁内部には「オモテ」と「オク」があるが、国民の総意に基づく象徴である天皇および皇族にあってその地位は、「公」と「私」の境界が曖昧である。結婚も進学も、プライベートでありながら国民的な関心を呼び、オフィシャルな側面を持つ。
新設される広報室は総務課に設置される。これまでと同じように天皇・皇族の公務を「オモテ」の立場だけで広報していては、SNSなどを導入したところで、ほとんど何も変わらないかもしれない。「オク」との連携を深め、より積極的な広報が求められるだろう。そしてそれは広報だけに限らない。「オモテ」と「オク」を積極的に束ね、象徴天皇制全体としてのプランを展開していけるかどうか、宮内庁にはそれが求められている。
(河西 秀哉)
あの家に女帝と尻に敷かれっぱなしの夫くんが居る限り何も変わらないよw
ミスでしょうか。 ミスとは思えない日程かぶりが多かったように思えてなりません。
立場を考えない軽率な行動を正すこともせず、反論することを先に考えるような態度だから批判される。全く反省などしていないことがよくわかる。今後も秋篠宮家に対する国民の評価は変わらないだろう。