「コレを頻繁にやる歯医者は要注意」…現役歯科医が教える、“行ってはいけない歯医者”3つの特徴
2023年03月20日 18時00分文春オンライン

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皆さんが歯医者で治療を受ける上で一つのハードルとなるであろう歯科医院選び。サイトによって口コミが異なっていたり、予約時や問い合わせの際の電話対応に不安を覚えたり。かかる費用もわかりにくい業界ゆえに、初診時の心配は尽きないことだろう。
今回は「口コミの真偽」「保険診療」「自由診療の是非」を中心に、行ってはいけない歯科医院の見分け方を、現役歯科医師ならではの視点からお話ししていこうと思う。(文=遠藤あると/清談社)
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■大手の口コミサイトは信用できない
医院名やその地域の歯科を検索すると、まずGoogleなど大手検索エンジンの口コミが目につくだろう。実際これを参考に来院された方も過去にいて、来院後もどなたかわかるアカウント名で嬉しいコメントを寄せてくださった方もいる。
ただこの口コミ、実際に来院していない人でも自由に記載できるもので、同じ地域のライバル医院の評価を下げるよう指示された、自身が勤務している医院の高評価口コミや、院長の華々しい経歴等のコメントを書かされた、などという同期歯科医師の話も耳にしている。
“歯の根元の着色を相談して心配ないと言われたが他の歯医者に行ったら虫歯だと言われた”と他を下げる一方で、“ここに通い出して歯医者が好きになりました”“院長は偏差値が高い○○大学出身です”と勤務先を褒める書き込みも実際に見せてもらったことがある。
同じ時期に内容の薄い高評価の口コミが増えていたり、院長の経歴や偉大さをやたらと称賛するコメントは、中の人間が書いていたりサクラの口コミの可能性がある。そういった行為を推奨している医院は選ばない方がいいだろう。
なので、実際に受診した人のみが書き込みできる、医療系に特化した口コミサイトを参考にするのがおすすめだ。ただし、サイトによっては低評価コメントを削除できるサイトもあるため、いくつかのサイトを見比べることが大事。具体的かつやや批判的なコメントが何件も載っているようであれば、その医院に行かない方が賢明だ。
■コレを頻繁にやる歯科医は要注意
次に費用の話だ。よく聞く“あの医院は高い”“あそこは安かった”などの評判。これは実際どうなのか。
実は保険診療は国に保険点数(値段)が決められている。例えば歯周病の検査をしたり、“パノラマ”という前歯から親知らずまですべての歯を撮影できる大きなレントゲン写真を撮ったりするなど、診療内容によって点数が加算されていくシステムだ。
1点は10円の換算で、内0~3割を患者側で負担し、残りは国から診療報酬として支払われる。例えば前述のパノラマであれば、その機械の高さ故に点数も高く、402点の加算になる。
ただし、このパノラマは一度撮ればしばらく撮影の必要はない。虫歯や根の状態を確認する小さなレントゲンを撮る必要は都度生じるが、なぜ撮る必要があるかの説明もなく、数カ月単位でパノラマを撮影する医院は、単に点数を稼ぎたい医院の可能性があるため行かないほうが良い。
また手鏡を見せながらここをこういう風に磨いてくださいと説明するのも、具体的なアドバイスなく、単に「磨いてください」とだけ伝えるのも、同じ点数を取られることもある。こういった場合、前者に比べ、後者は費用対効果が低いわけだ。費用対効果が得られない医院に行くくらいであれば他を探した方が良いだろう。
■異様に安価な歯科医も要注意
そして医院によって内容や金額も大きく異なってくるもの、それは自由診療だ。歯科には保険診療以外に、保険適応外の自由診療、いわゆる自費というシステムも存在する。
結論からいうとこの自費を「安易に勧める医院」「相場より異様に安価で提供する医院」は行かないほうがベターだ。
まれに、“自分にしかできない入れ歯”を謳って、外すのが難しい設計の入れ歯や、取り外し可能なロングスパンのブリッジ(長くつなげた歯)を扱っている医院がある。その自費治療自体を否定するわけではないが、そういった症例はその医院に通えなくなった場合、取り扱っている医院が少なく治療の引き継ぎが困難だ。
患者さんのお口の中は、お金儲けをしたり術者の技量をひけらかすような場ではない。きちんとした説明やその後のフォローなしに、安易に難しい自費の補綴物(被せ物)を勧めてくる医院には行ってはいけない。
逆に言えばリスクまできちんと説明した上で、自費も治療方法の一つとして提案してくれるような医院は信頼できるところが多い。
さらに自費に関して言えば、自費を相場より極端に安価で出している医院もあまりおすすめしない。例えばインプラントでいうと、良いメーカーのインプラント体はそもそもの値段が高いので、安価で出せるはずがない。高価だからといって良い物を使っているとは限らないが、安価で良い物を扱っていることはまずないことを覚えておいてほしい。
■知る人ぞ知る、ちょっとマニアックな裏ワザ
最後に、これは少々裏技になるのだが、行ってみたい医院の求人募集をチェックしてみるというのも一つの手だ。常に求人募集をかけている医院は、職場の環境が悪かったりして、スタッフの定着率が低いことを表している。スタッフの定着率が悪いということは引き継ぎが多く、継続した治療が受けにくいので、そういった医院には行かないことを強くおすすめする。
ここまで何点かポイントをお話ししてきたが、いずれにせよ実際通院してみて、合わないと思ったら違う医院を受診し、セカンドオピニオンを仰ぐことも大切だ。合わない医院にあたってしまったとしてもそこで諦めず、自分に合う医院をぜひ見つけていただきたい。
(清談社)
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