読書するJリーガー セレッソ都倉賢が「Twitterもインスタも積極的にやる理由」

読書するJリーガー セレッソ都倉賢が「Twitterもインスタも積極的にやる理由」

セレッソ大阪の都倉賢選手

 32歳でJ1キャリアハイの12点を挙げ、今シーズン、新天地セレッソでの活躍が期待される都倉賢。

 以前からブログで読書について発信し、最近ではTwitterやインスタでサッカーのことはもちろん、奥さんや娘さんとの日常も積極的にアップ。さらに最近ではオンラインサロンも立ち上げたという。積極的に自分から発信する異色のJリーガーに話を聞いた。

(全2回の2回目/ #1より続く )

◆◆◆

■カーネギーの「道は開ける」が教えてくれたこと

――30歳を過ぎてからの本格ブレイク。都倉選手にとってプロ人生で最も苦しかった時期というのは?

「結果を出せなかったヴィッセル神戸時代(2010年から4年間プレー)ですかね。僕の力不足が大前提のうえですけど、理詰めのところで折り合いをつけていくにはどうしても難しさがあってチームも自分もなかなかうまくいかなかったと思っています」

――その苦しいとき、神戸を離れてデンマークのクラブのトライアウトに参加するなど次のチャレンジを模索していた時期だと思います。自身のブログではデール・カーネギーの「道は開ける」を紹介しています。自己啓発の大ベストセラーですが、「悩んだとしても何に悩んでいるのかを直視し、建設的に解決方法を模索し覚悟を決めて実行に移せばほとんどのことが解決する」と、この本を通して考え方が整理できたとブログで述べています。

「問題に直面すると、人ってどうしても不安になるじゃないですか。でも問題の種類は、未来に対するものなのか、過去に対するものなのか、解決できる問題か、自分がいくら悩んでも解決しない問題か、などとまず問題を混ぜこぜにしないで、どの種類なのかを客観的に判断しなきゃならないとカーネギーの本は教えてくれています。今も問題が起こると、その考え方で対応するようにはしていますね」

――具体例を挙げてもらえると……。

「次の試合でもし点を取れなかったらどうしよう……とか、それを問題にしたって、今すぐ解決できないじゃないですか。試合をするまで分からないことですから。その不安は、問題にしなくていい、問題として考えなくていいというスタンスです」

――読書好きの一面もあって、ブログでは司馬遼太郎の「竜馬がゆく」など感銘を受けた本を紹介していた時期もありましたよね。

「人や本も、出会いって縁。たとえばAさん、Bさんの2人が同じ本を読んだとしてもAさんは内容が心に入ってきても、Bさんはそのアンテナがまだないから何も感じないかもしれない。僕はちょうどAさんのタイミングだったから、縁、出会いと捉えることができました。そういう意味ではカーネギーの本も必然的な出会いだったと思います。ただ昔は自分のブームでひたすら本を読んでいた時期はありましたけど、今は前ほど読めていませんね」

■なぜTwitter、インスタを熱心にやるのか

――さて、都倉選手はTwitter、InstagramなどSNSで積極的な発信をしていることでも知られています。これほど熱心に発信するJリーガーは、なかなかいないのでは?

「サッカー選手って週1回の結果でしか見られないじゃないですか。SNSを連動させていったほうが、自分をより知ってもらうことにもなる。日常の様子、試合に対する臨み方、試合後の感想とか、1週間を通したストーリーを共有してもらえば、ひょっとしたらファンの方がもっとファンになってくれるかもしれないし、ファンじゃない人がファンになってくれるかもしれない。僕たちの仕事は、結果がすべて。勝てば神さまみたいに、逆に負けたら裏切り者みたいに、そう評価する人がいるのも分かります。ただ、僕が全力でサッカーに取り組んでいる姿勢を応援してくれる層も結構いるんじゃないかって思っています。1人の人間として興味を持っていただいて、思いを共有できたら僕も嬉しいですから」

――インスタだと今、フォロワーの数は?

「5万5000人ほどですね」

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京都楽しかったな…? 娘との縮尺おかしいんだよな… 娘80aで、これの写真どーみ見ても娘の3倍あるからな…240aになっちゃう。 ってどーでも良い事を思いながら先日、京都旅行を満喫しました?

Ken Tokura さん(@tokuraken)がシェアした投稿 - 2019年 3月月22日午前3時15分PDT

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――どんどん増えていきますね。

「チームを移籍して、新たにセレッソサポーターの方も見てくれているとは思います。たとえば(浦和)レッズの槙野(智章)と試合ではバチバチやってもSNSではお互い、気さくに絡んでいるのをファンの方に知ってもらえると、僕のファンと槙野のファンの距離が近くなったりすることもあるかもしれない。選手の日常やオフのときにどうしているかというところは、ファンの方も凄く関心を持っているのかなとは感じます」ね。

ピッチを離れれば1人の父親

――昨夏、文春オンラインで丸刈りゼロの 慶應高校野球部を取材した記事 を、高校の先輩である都倉選手がSNSでリツイートしたことでかなり拡散したという話を、編集部から聞きました。

「本当ですか。記事の内容に賛成とか反対とか、そういうことじゃなくて、興味の対象としてみんなに知ってもらいたいなって純粋に思ったから。自分が言っていることが正義とか、批判の対象とかでSNSは使いたくないというのが僕のスタンスです」

――2017年8月に誕生した娘さんの話題もよく出てきます。パパとして愛情をたっぷり注いでいますね。

「ピッチを離れれば1人の父親ですし、練習は大体午前中で終わるので有難いことに午後は子供と一緒にいる時間も多いので。サラリーマンの方だと朝早く起きて夜も仕事で遅いでしょうから、子供と触れ合える時間は週末くらいしかないという人も少なくないと思うんです。僕がどんなパパかというところも、興味を持ってもらっているのかな、と」

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■「ミスター塾高」のゴツゴツした生き方

――新しい動きとしては、JFLのFC今治に所属する橋本英郎選手と「Jリーガーとキャリア研究サロン」(有料制)を開設しました( https://www.athlete-beyond.com/salon/ )。

「ファンクラブというと、一方通行に近い形じゃないですか。そうではなくて、このオンラインサロン内でコミュニティをつくって、ここでの出会いからコンテンツを生み出していきたいという考えです。サッカー選手である以上、いつか引退することは避けて通れません。今を全力でやりつつも、セカンドキャリアのことも考えていかなきゃいけない。参加してくれる方とシェアしながら、みんなと一緒にいいコミュニティにできればという思いで始めました」

――本や指導者との出会い。ペトロヴィッチ監督やロティーナ監督からスポンジのごとく吸収できているのも都倉選手の背景と無関係ではないように思います。そしてSNSでつながる人たちとの出会いも大切にしているように感じます。

「そうですね。多くの出会いによって、僕は成長することができましたし、それはこれからも変わらないと思っています。出会いというものは僕のなかで凄く大切にしているつもりです」

――都倉選手は慶応高校時代に「ミスター塾高」に選ばれ、慶応大に進学。エリート人生を歩むかと思いきや、プロのサッカー選手になってここまで苦労を重ねてきました。スマートじゃない、ゴツゴツとしたその生き様はプレーによく表れていると感じます。

「自分の人生、面白いし、楽しいですよ。瞬間、瞬間を必死になって生きてきた自負はあります。あきらめず、貪欲に、泥臭く。僕にとって核になる部分だし、プレーにも出ていると思っています。だから、5年後10年後に自分を振り返ったときに『あのとき頑張ったから今がある』と思いたい。これからもあきらめず、貪欲に、泥臭くやってきたいし、そういうところを多くの人に見ていただきたいですね」

(#1より続く)
写真=山元茂樹/文藝春秋

◆#1 “生粋の慶応ボーイ” セレッソ都倉賢「『諦めの悪い男』のあだ名が嬉しい」
https://bunshun.jp/articles/-/11160

とくら・けん/1986年6月16日生まれ。東京都出身。身長187センチ、体重80キロ。幼稚舎から慶応に通う。2005年、慶大に入学。同年川崎フロンターレのトップチームに。ザスパ草津(現群馬)、ヴィッセル神戸を経て2014年、コンサドーレ札幌に完全移籍。2016年、J2でリーグ2位の19得点、J2優勝。18年にはJ1で12得点を記録、チームのJ1・4位進出に貢献。今季セレッソ大阪に移籍、9番を背負う

(二宮 寿朗)

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