進化する美智子さまのスーツ 首から肩にかけた“美しいライン”の秘密とは

美智子さまのスーツは次第に“進化” 首元でシャープさとスタイリッシュさを演出

記事まとめ

  • 美智子さまはご訪問先の土地柄や目的に合わせて、お召し物に配慮をされてきたそう
  • 「天皇陛下御在位30年記念式典」での桜色のスーツは見る人に柔らかな印象を与えた
  • ここ一番という時のお洋服にはさり気なくも強いメッセージが込められていると分析

進化する美智子さまのスーツ 首から肩にかけた“美しいライン”の秘密とは

進化する美智子さまのスーツ 首から肩にかけた“美しいライン”の秘密とは

「天皇陛下御在位三十年記念式典」で退席される天皇皇后両陛下 ©AFP=時事

 天皇皇后両陛下は3月25日から京都府と奈良県を訪問されている。26日には、4月30日に退位することの報告をなさるため、神武天皇山陵に参拝された。美智子さまは、平成に入ってから陛下と共に各地を訪れられ、ご訪問先の土地柄や目的に合わせて、お召し物の色やデザイン、素材選びに細やかなご配慮を見せられてきた。

■春めいてきた気候にふさわしい桜色のスーツ

 約1カ月前、2月24日に開催された「天皇陛下御在位30年記念式典」で美智子さまがお召しになっていたスーツはとても素敵で、その日のご様子をテレビで拝見していた私は、「これは一つの『終着点』とも言えるデザインなのではないか」と思ったくらいだ。近年お作りになったお召し物のようだ。

 春めいてきた気候にふさわしい桜色のスーツは、見る人に柔らかな印象を与えただろう。私が最も注目したのは、首元のデザインだ。立ち襟のようなカットが美しく、首筋にすっとフィットしている。さりげないが、高度な技術に裏打ちされたディテールであることは、間違いないと思う。

 美智子さまと言えば、ラグラン袖でケープ風のスーツをお召しになったお姿を思い浮かべる人が多いと思う。今回も同じスタイルで、お色ともマッチした女性らしい雰囲気が伝わってくるのだが、この首元のデザインによって、シャープさとスタイリッシュな雰囲気を演出されている。

 この日、天皇陛下はおことばで「平成が始まって間もなく、皇后は感慨のこもった一首の歌を記しています」と、美智子さまの御歌を引用された。

ともどもに平(たひ)らけき代(よ)を築かむと諸人(もろひと)のことば国うちに充(み)つ

 続けて、「平成は昭和天皇の崩御と共に、深い悲しみに沈む諒闇(りょうあん)の中に歩みを始めました。そのような時でしたから、この歌にある『言葉』は、決して声高に語られたものではありませんでした。しかしこの頃、全国各地より寄せられた『私たちも皇室と共に平和な日本をつくっていく』という静かな中にも決意に満ちた言葉を、私どもは今も大切に心にとどめています」と仰った。お隣にいらっしゃる美智子さまの支えがあってこそ、という感慨をお示しになったように拝察している。

 陛下はおことばの途中で、用意された原稿を読み間違えられた場面があった。すぐに気が付かれた美智子さまが「違うんです……」と小さなお声でお伝えになり、陛下は「どうも失礼」と仰って続きを読み進められた。この時、美智子さまは陛下とご一緒に、机の上で正しい原稿の紙を探していらっしゃるようなご様子だったが、お手元も軽やかに動いていらっしゃったので、とっさの時に素早く身動きをとることができるお召し物であることも、図らずして分かったような思いがした。

 あまり知られていないことだが、美智子さまはご自身のなで肩をカバーされる意味合いもあって、このようなデザインのスーツをお召しになっているようだ。かつてのお召し物を拝見していると、肩に大きめのパッドを入れていらっしゃるようにお見受けするものもあるが、お年を召されるにしたがってご負担が大きくなりすぎないよう、デザインや素材を工夫して現在のスタイルが形づくられていったのだろう。

■白いシルクのコートをお召しになった美智子さま

 そして、美智子さまのお召し物の中で忘れられないのは、2015年4月にパラオへ慰霊の旅をされた時にお召しになっていた白いスーツだ。最上級の慰霊のお気持ちを示されるように、潔いホワイトを選ばれた美智子さま。ご出発の日には、美智子さまは白いシルクのコートをお召しになっていて、3月下旬からお風邪を召されていたためにご体調が懸念されたが、穏やかな笑みを浮かべられながら御料車から手を振られていたことが思い出される。

 2017年9月の高麗神社ご訪問や、2018年5月に最後の「全国赤十字大会」へ出席された際にも同じスーツを少しアレンジしてお召しになっているようだ。ここ一番という時に、美智子さまがお召しになるお洋服には、さりげないけれども強いメッセージが込められているように思えてならない。

 このところ、美智子さまはベージュやグレーのようなニュアンスカラーのお召し物を身につけられることが多くなってきたと思っていただけに、生中継で拝見した桜色の美しいスーツに一層目を奪われたのだった。両陛下が一つひとつ大きな行事を終えられるお姿を拝見していると、天皇陛下が退位されるまでの日々をお二人で大切にお過ごしになっていることが窺えるように思う。

 陛下は、おことばのなかで「憲法で定められた象徴としての天皇像を模索する道は果てしなく遠く、これから先、私を継いでいく人たちが、次の時代、更に次の時代と象徴のあるべき姿を求め、先立つこの時代の象徴像を補い続けていってくれることを願っています」とも仰り、「象徴像を補い続け」という表現で、次代への期待をにじませられた。

■「ヘルシー・ソサエティ賞授賞式」に臨席された雅子さま

 3月13日夜、皇太子ご夫妻は「ヘルシー・ソサエティ賞授賞式」に臨席された。雅子さまは90年代にお召しになっていたものと近いデザインのスーツをお召しになり、大ぶりな襟にはゴージャスな刺繍があしらわれていた。ボルドーなどのビビッドカラーもよくお似合いなのだが、柔らかいベージュのこのお召し物も雅子さまの雰囲気にマッチしていると思う。雅子さまと言葉を交わした人たちに取材すると、「妃殿下はとても優しい声と言葉で、相手を緊張させないように気を配られる」という声をよく聞く。ビビッドカラーもニュアンスカラーも、どちらも雅子さまのお人柄をあらわす色に思えるのだ。

 前日の12日、天皇陛下が4月末の退位を歴代天皇や神々に告げられる「退位及びその期日奉告の儀」が皇居・宮中三殿で行われた。皇太子さまをはじめとする皇族方が陪席されたが、美智子さまはご持病の頸椎症性神経根症のため、おすべらかしの髪形や装束が首へのご負担となることから、皇居・御所で慎み深く過ごされ、雅子さまも出席を見送られた。

 いよいよ退位と即位に向けた、一連の関連儀式が始まった。平成から次代へとバトンが受け渡され、新しい時代を迎えた時に私たちは何を思うのか。美智子さまのスーツが次第に“進化”してきたように、雅子さまのお召し物のデザインはどのように変わっていくのだろうか。

(佐藤 あさ子)

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