“総裁4選論”が急浮上――安倍総理と菅官房長官の“タッグ”が生まれた日

“総裁4選論”が急浮上――安倍総理と菅官房長官の“タッグ”が生まれた日

菅義偉内閣官房長官

 二階俊博自民党幹事長の発言が永田町に波紋を呼んでいる。

「今の活躍からすれば、十分ありうる」

「余人をもって代え難いときには何ら問題はない」

 3月12日、記者団に安倍晋三総理大臣の“自民党総裁4選”の可能性を問われた二階氏はこう述べた。この発言に対して野党の反発は大きく、一部では「悪夢だ」との声まで飛び出した。

 そんな中、同じく“安倍4選”について問われた菅義偉内閣官房長官は、3月18日の記者会見で、次のように述べた。

「(3期目となる)自民党総裁の任期も始まったばかり。総理、総裁としてなすべきことを一つ一つ実現に移していくことを大切にしていきたい」

 安倍総理を政権にカムバックさせた最大の立役者は間違いなく菅氏である。そして、2012年12月から約6年間、第2次安倍政権が安定して運営できているのも、官房長官として総理とタッグを組む菅氏の存在なしには考えられない。

 そんな菅氏が 「文藝春秋」4月号 で安倍政権誕生の秘話を語った(完全保存版・平成31年を作った31人「次の総理はあなたしかいない」)。

「正直ここまで長く続くとは思っていませんでしたが、この6年間で日本は立ち直りつつあります」

 菅氏は素直にこう述べ、その上で、あまり自ら語ることのなかった安倍氏との出会いを明かした。

「私が当選2回、安倍さんが当選3回だった2001年に遡ります。2人とも若く、まだ知名度はありませんでした。あの頃、私は自民党総務会で『北朝鮮の万景峰号の入港禁止』や『北朝鮮へのコメ援助の停止』などを主張していました。それを知った当時官房副長官だった安倍さんが、『菅さんに会いたい』と声をかけてくれたのです」

■「次の総理はあなたしかいない」

 党内で顔を見ることはあったものの、会話するのは初めてだった2人。菅氏はこう思ったという。

「いつかこの人を総理にしたい」

 機会はすぐに訪れた。2006年6月、菅氏は派閥を横断して若手を集めて議連を発足させる。そのメンバーが中心になって支援した結果、安倍氏は同年9月の総裁選で勝利。第1次安倍政権が発足した。だが、安倍氏の病気で政権は1年で退陣を余儀なくされる。

 雌伏の日々を過ごしていた2人に、2012年9月、再びチャンスが訪れる。自民党の総裁選である。菅氏は安倍氏を説得した。

「この総裁選は安倍晋三という政治家にとって最高の舞台になるでしょう。(略)だから、安倍さん、出てください。次の総理はあなたしかいない」

 そして安倍総裁の下、自民党は同年12月の総選挙に勝利し、第2次安倍政権は発足した。

 改元を控え、にわかに“安倍4選論”が浮上するとは、さすがの菅氏も想定していなかったかもしれない。安倍総理本人は「(党の)ルールに従う」と4選に否定的だが、安倍政権には憲法改正をはじめとして、未完の“野望”が多く残っている。今、菅氏の胸中にはどのような思いが去来しているのだろうか。

(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2019年4月号)

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