ノーパンしゃぶしゃぶ、機密費流用……平成官僚の汚職事件を振り返る

ノーパンしゃぶしゃぶ、機密費流用……平成官僚の汚職事件を振り返る

収賄容疑で逮捕移送される岡光序治前厚生次官 ©文藝春秋

 アジアの諸外国に比べて近代日本の発展が目覚ましかったのは、政治家や官僚が比較的清廉であったからだと言われる。たしかに、今でも大統領から警官まで、賄賂を渡さなければ話が進まない国はたくさんある。

 しかし、本当にそうか、と思わせる事件が後を絶たない。

 昨年7月にも、文科省の現役局長が私立の医大との間で、私立大学支援事業で有利な取り計らいをする見返りに、息子を入試で合格させてもらったとして逮捕された。いまどき、テレビドラマのシナリオでも没になりそうな、陳腐な汚職の構図に唖然とする。

 昭和の終わりにリクルート事件という大疑獄があった。大臣経験のある政治家や大物財界人、前文部次官、元労働次官ら12人が東京地検特捜部によって起訴され、その反省から、平成は官僚の綱紀粛正が図られてきたはずである。

 しかし、1996(平成8)年に岡光序治前厚生次官が、特別養護老人ホームの補助金交付をめぐって賄賂を受け取ったとして逮捕された。事務次官という官僚のトップ経験者の実刑判決が確定したのはこれが初めてのことであった。

■「ノーパンしゃぶしゃぶ」は流行語に

 さらに、1998(平成10)年には、汚職事件というより、もはやハレンチ事件の様相を呈した大蔵省接待汚職が発覚した。官僚が接待を受けた「ノーパンしゃぶしゃぶ」は流行語にもなった。この事件では官僚らが6人逮捕され有罪が確定。三塚博大蔵大臣、松下康雄日銀総裁も辞任している。大蔵省では、次官、銀行局長、証券局長、主計局次長などが辞任し、112人が処分された大事件であった。この事件で、官庁の中の官庁として君臨してきた大蔵省の威信は地に堕ちた。

 2001(平成13)年には外務省で機密費の流用事件が発覚した。要人外国訪問支援室長だった松尾克俊は、首相の外遊などで支出された11億円を超える機密費のうち、なんと10億円近くを詐取(立件されたのは5億円余り)。競走馬を十数頭も持ち、高級マンションに愛人など、並外れた贅沢をしていた。この事件で、機密費の使い方が信用されなくなったことも大きかった。

 2007(平成19)年に逮捕された守屋武昌前防衛次官は、次官は1年か2年という役所の慣例を破って4年にもわたって次官に在任し、「防衛省の天皇」と呼ばれた大物次官だった。防衛装備品の納入をめぐって商社から現金の他、度重なる接待を受けたというのが容疑だった。とくに、頻繁にゴルフ接待を受けていたことが、世のサラリーマンの怒りを買った。

 これらは平成官僚の汚職事件のほんの一部でしかない。

 役人の子はにぎにぎをよく覚え

 江戸中期、賄賂政治家として知られる田沼意次が活躍した時代の川柳である。にぎにぎとは賄賂を要求するときの手つきからきている。これもまた日本の伝統であることを忘れず、官僚のあり方を監視しつづける必要がある。

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