安倍首相の言う通りに読売新聞を「熟読」してみてわかったこと

安倍首相の言う通りに読売新聞を「熟読」してみてわかったこと

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 今月は、安倍首相の「読売新聞を熟読して頂いて」という国会での言葉がやはり強烈だった。

 なので、しばらく読売新聞を「熟読」してみることにした。なにか大事なことが書かれているだろうか?

■「冷凍うどん」をめぐる読売・毎日 夢の共演

 するとまず気になった記事がこちら。

「具入り麺つゆ 多彩な味 冷凍うどんにかけるだけ」(5月15日)

「火を使わずに人気のうどん料理ができる具入りの麺つゆが増えている」と読売は言う。「国産山菜入り 中華 トムヤンクンも」と、充実ぶりを匂わす。

 この商品がウケているのは冷凍うどんの生産量が年々増え続けているからで、「冷凍うどん人気にあやかって」と読売はハッキリと解説していた。

 これだけならただの「ひまネタ」だが、驚いたのは同じ日の「毎日新聞」にもまったく同じネタがあったのである。

「具入り、麺にかけるだけ」(5月15日)

 あ、おんなじ!

「毎日」の小見出しには「つゆ・ソース ご飯でもおいしく」というダメ押しもあった。毎日新聞を熟読したらわかった。

 それにしても、新商品発売直後ならいざ知らず、普通のタイミングで、いつでも出せそうなネタがかぶるミラクル。これって「憲法記念日」の各紙一面と正反対だ。メッセージ性を出し、他紙との違いを意識したであろう「憲法記念日」の紙面づくりより、のん気な記事で思わず「共演」しているという珍しいパターンである。

■「海の王子」報道のインパクトは東京新聞が一枚上手

 続いては「眞子さまご婚約へ」という報道について。

 お相手は「小室圭さん 法律事務所勤務、『海の王子』」(5月17日)。「爽やか 誠実 交際5年」。17日の夕刊には「小室さん 笑顔の朝」「眞子さまと電話『いってきます』」。

 他紙と大差なく、読売を熟読していたらすごかったという読みどころは特になし。

 これなら、「東京新聞」のほうがインパクトがあった。「海の王子」コンテストを主催した藤沢市観光協会の専務理事だった人の、

「王子だったころは汗まみれで働いて、女王を支えてくれました。結婚しても、眞子さまを支えてくれると思います」

 というコメント。一瞬なんのことかわからない混沌さであった。

■良記事「赤ちゃんポスト10年」はどんな連載だったか?

 次に注目したのはこの記事。「赤ちゃんポスト10年」。

 読売新聞西部本社の入社5年目から15年目の記者3人が担当しているシリーズ。オンラインで読める。

 シリーズ第4回目は「先進ドイツ 匿名を懸念」(5月18日)。赤ちゃんポスト先進国であるドイツの現在について。

《ドイツでは09年、政府の諮問機関である倫理審議会が、出自を知る子の権利を守ることなどを理由に、匿名で託せる赤ちゃんポストの廃止を勧告した。》

 代わりに進められているのが「内密出産制度」。

《母親は、公的な承認を受けた妊娠相談所にだけ実名を明かし、医療機関では仮名で子を産む。生みの親が引き取れない場合、子は育ての親と養子縁組をし、16歳になると、政府に生みの親の身元を照会することができる。14年に関連法が施行され、300人以上がこの制度で出産したという。》

 知らなかった。ドイツはこうなっていたなんて。

 日本でも「匿名で受け入れると出自を知る子の権利を保障できないという重い課題を背負う」のが、赤ちゃんポスト問題のひとつだと識者が指摘している。このシリーズは読売を熟読してよかった。

■競馬予想欄も熟読して実践してみた

 次に読んでみたのが「競馬予想欄」である。

 実はスポーツ紙だけでなく一般紙にも競馬予想は載っているのです。スポーツ欄に小さくですが。

 首相が読めと言っているので、競馬欄を熟読するとG1レースでいいことがありそう。

 しかし、「ヴィクトリアマイル」(14日)、「オークス」(21日)とも本紙予想はハズレ。読売で儲けることはできなかったのである。ああ。

■読売発「文科省前次官スキャンダル記事」をどう読むか

 さて今週月曜、朝刊の社会面に大きく載ったスキャンダル記事は目を引いた。

「前川前次官 出会い系バー通い 文科省在職中、平日夜」(5月22日)

 これは不思議な記事だった。なぜ、今このタイミングで? 「読売」が書くことに何か意味がある?

 すると翌日の「東スポ」は、「文科省前次官 出会い系醜聞の怪」と題し、「加計学園」絡みで情報合戦が繰り広げられていると報じた。あの「総理のご意向」メモが発端という説だ。なるほど、「読売」を熟読してみたら匂ってきたのである……。25日発売の「週刊文春」では、この前次官の「『総理のご意向』文書は本物です」独占告白記事が報じられたところだ。

 では最後。

 読売を読んでいて「おっ!」と思ったのがこのコラム。

《他紙の社説を読んでみてください。(略)すると各政策や、外国との付き合い方について違いがあることがわかるはず。論調の違いを「各師匠が、自分の信じる正義を日々主張している」と思ってください。そのうえで「この話題に関してはこの新聞のほうに共感できる」「いや、やっぱり読売のほうがいい」と自分も考えればよいのです。》(5月16日・夕刊)

 読み比べの大切さを言っているぞ!「読売」の紙面で、他紙も読んでみることをすすめている。

 あ、これ、私が連載していたコラムだった。

 全4回で夕刊に先週まで書かせてもらったものだ。

 いろんな意見をいろんな角度から読んでみようというのだから「読売」を熟読しているとやはりタメになる。

 以上、自分のコラムをオチにして今週は終わります。

(プチ鹿島)

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