今年の夏は「クールビズ」vs.「ビーチスーツ」が政治の争点だ!

今年の夏は「クールビズ」vs.「ビーチスーツ」が政治の争点だ!

©杉山秀樹/文藝春秋

■日本の夏の光景を変えた小池百合子のクールビズ革命

おぐら 5月7日、無所属のマクロン氏が、決選投票で極右政党である国民戦線のルペン氏を破ってフランス大統領選挙に勝利しました。

速水 韓国の大統領選も、5月9日に行われて、文在寅氏が当選。大きな選挙戦が続いているけど、今日、取り上げたい問題は、別にある。

おぐら 今度はどこの学園ですか?

速水 なぜ学園しばり(笑)。大統領選に比べての学園問題って、並べると何か小さい問題に見えるよね。スケバン刑事とかが解決してくれそうというか。

おぐら ヨーヨーで圧力を撃退しましょう。

速水 そうじゃなくて、したいのは冷房の温度設定の話。

おぐら 学園問題よりも小さくなってません? 環境省が決めた「夏の冷房は28度に設定」が、12年経ってようやく見直し論が出た話ですよね。

速水 一応、近づいてきている東京都議会選に絡んだ話ではある。この話を持ち出してきたのは自民党で、都議会で対立関係にある小池百合子都知事へぶつけてきてる。

おぐら そもそも28度設定ってエアコンが古かったり、パソコンの台数とか部屋の大きさとか、環境によって適正温度は違いますよね。

速水 それもそうだけど、クールビズがはじまったのは2005年で、当時の環境大臣は、現都知事の小池百合子でしょ。彼女の政治家としての功績の筆頭がクールビズの成功だったのね。

おぐら 確かに。当時、クールビズファッションを打ち出して、2005年のベストドレッサー賞とかとってましたね。ちなみに、小池百合子は2016年に2度目のベストドレッサー賞を受賞しています。

速水 あのクールビズ以降、ノータイ、ノージャケットが定着したことで、日本の光景を変えたのは事実。そもそもこんな亜熱帯に近い気候の国でサラリーマンが年中スーツにネクタイっておかしかったんだよ。

おぐら 慣習を覆した功績は大きいですよね。一度定着したものを後から変えるのって、想像以上に難しいですから。ドレスコード革命なんて言われ方もしましたし。

■ビーチスーツを知っていますか?

速水 で、いまこのタイミングで28度のエアコン設定温度に疑義を唱えるって、小池百合子の功績に水を差すという意図なんだよね。

おぐら そんな意図が……。国民のみなさん、28度は暑いですよね? これは、小池百合子のせいですよ! 小池百合子が悪いんです! って普通の人はそこまで考えが及ばないと思いますけど。かつて自民党の議員は、半袖スーツみたいなの着てましたよね。いっそ、あれを再び推奨して、ファッション対決にすればいいのに。

速水 省エネルックね。羽田孜の政治家としての印象は、ほぼあの省エネルックに尽きるといってもいい。

おぐら でも、その後まったく定着しませんでした。

速水 アメリカの民主党と共和党が、ネクタイの色で対立していたりするように、服装で対立を煽るのはありだよね。自民党には、ぜひノータイ、ノージャケットに対抗して、「ビーチスーツ」の提唱をオススメしておきたい。

おぐら 何ですか? ビーチスーツって。

速水 知らない? 2年くらい前に伊勢丹が提唱していたの。スーツなんだけど、半ズボンっていうスタイル。
https://www.imn.jp/post/108057193918

おぐら なぜビーチでわざわざスーツを着る必要が……。

速水 日本人には似合わなそうなスタイルなんだけど、いまの環境大臣の山本公一は、スーツの着こなしもおしゃれだし、絶対に似合うと思うけどな。着ないかな? ビーチスーツ。

おぐら 都民ファーストの会vs自民党の選挙戦は、クールビズvsビーチスーツの対決になると。

■豊洲以上に加熱すべきなのは、エアコン温度設定問題

速水 伊勢丹としては、夏にネクタイとジャケットが売れなくなって困ってるんだと思うんだよね。それで考えた苦肉の策みたいな。でも、ネクタイ屋とジャケット屋もクールビズの被害者勢力。ここは呉越同舟というか、一致団結してクールビズ倒しのために、今度の騒動をきっかけに連携して、反クールビズで自民党側に付けばいいよね。まずは議員全員にビーチスーツをプレゼントしてさ。

おぐら 半ズボンのスーツが似合う人なんて、ほとんどいないでしょう。

速水 麻生とかは似合うけど、石破とかは夏休みに虫取りに来た子どもにしか見えなそう。それは冗談として、エアコンの設定温度が28度じゃ暑くて仕事できないっていうのは、本当にそうなんだよ。そこに目を付けたのは、悪くない。日本中のオフィスで喝采の声が上がったと思うよ。

おぐら どの会社や事務所でも、エアコンの温度設定を巡る対立ってありますよね。それこそ男性と女性、太めと痩せている人とか、いろんな対立を生み出している。

速水 エアコンの温度設定で人は対立する。ってことは、十分に政治的なテーマってことだよね。ねじれまくってる豊洲の問題以上に、エアコンの設定温度問題を次の東京都議選の争点にすべきだよ。

おぐら 選挙ポスターに「エアコン28度に断固反対します!」って書くとか。僕は28度でも寒いと感じる寒がり派閥なので、速水さんとは対立しそうですね。

速水 そうか、28度絶対保持派か。じゃあ残念だなあ、今夏、絶対流行るビーチスーツは着られないけどいいの?

おぐら 別に着なくていいです……。

はやみずけんろう/1973年生まれ。ライター。TOKYO FM『速水健朗のクロノス・フライデー』(毎週金曜日朝6:00〜9:00)、同局『TIME LINE』(第1・3・5火曜日19:00〜19:54)、フジテレビ・ホウドウキョク『あしたのコンパス』、日本テレビ『シューイチ』などに出演中。近著に『東京β』(筑摩書房)、『東京どこに住む? 住所格差と人生格差』(朝日新書)などがある。

おぐらりゅうじ/1980年生まれ。埼玉県出身。フリーの編集者として雑誌『テレビブロス』ほか、書籍や演劇・映画のパンフレット等を手がけている。企画監修を務めた、テレビ東京の番組『ゴッドタン』の放送10周年記念本『「ゴッドタン」完全読本』が発売中。

関連記事(外部サイト)