もしも、ビートたけしが「共謀罪」で逮捕されるとしたら……

もしも、ビートたけしが「共謀罪」で逮捕されるとしたら……

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 こっそり言いますが、私はいまだに「共謀罪」のことがよくわからない。たぶん、金田法務大臣に負けてないと思う。

《「共謀罪」法案は、組織的犯罪集団が重大な犯罪を計画し、資金の調達や犯行現場の下見などといった準備行為を行った場合に処罰する内容。》(朝日新聞デジタル・5月19日)

■東京新聞の解説を読んでもまだわからない「共謀罪」の対象

 新聞はこう説明してくれるのですが、まず「組織的犯罪集団」というのがよくわからない。

 例を挙げてみる。「『共謀罪』 40の疑問」(東京新聞)という4月4日の記事があった。これを読んでもうすぐ2か月が経とうとしている。しかし、

「何が組織的犯罪集団に該当するのか」

「正当活動団体で性質が一変したら組織的犯罪集団に当たるか」

 などの点は、今でもよくわからないのです。

 そんななか、さらにこんな説明が付け加えられた。

「政府は対象が組織的犯罪集団に限定されているとして『一般人は対象とならない』と強調したが、野党は組織的犯罪集団に当たるかどうかを判断するためには捜査が必要として、一般人も対象となり得ると反論した」(東京新聞・「『共謀罪』9つの論点 国会論戦と取材班の目」・5月23日)

 ますますややこしい。一般人て誰がどう判断するのか。そこに恣意的な判断や悪意は発生しないのだろうか。

■「たけし軍団」は一般人なのだろうか?

 自分の身近な世界で考えてみることにする。

「たけし軍団」という集団がある。ビートたけしさんが率いる。それが原点の集団だ。

 では、たけし軍団は一般人なのだろうか。

「共謀罪でいう“一般人”て、芸人と一般人の区別のことじゃないよ」と言う方もいるかもしれない。しかし私が気にするのはそこではない。

「たけし軍団」は過去に「正当活動団体だったが性質が一変した」瞬間があるのだ。

 86年の「フライデー襲撃事件」である。ビートたけしとたけし軍団12名が、写真週刊誌「フライデー」(講談社)の編集部を襲撃した事件。交際女性への取材方法に納得いかなかったのだ。傘や消火器を持って集団で大暴れした。

 普段はギャグばかり飛ばしていたとしても、長いあいだ活動を続けていればこうした「性質が一変した」過去は出てくる。人間だもの。

 そして今、たけしさんや軍団さんが政府や権力を茶化すようなことをしたとする。

 ここでイラッとする人が出てきて「そのネタの指摘は当たらない」とにらまれたらどうなるのか。もし権力側の器が小さければ、あの過去を引っ張り出してきて「組織的犯罪集団に当たるかどうかを判断」される可能性はないだろうか。意趣返しとして徹底マークされることはないだろうか?

■ビートたけし、テロ等準備罪で逮捕。は100%無いと言えるか?

 万一、恣意的な解釈をされて権力に監視されたら、次のようなことは考えられないか。

 ある日、急に雨が降ってきたので、たけしさんがコンビニで傘を買う。傘はあのフライデー事件で使われた「凶器」でもある。その瞬間にたけしさんは「犯罪の準備行為を行った」と判断される。それまで監視していた警察は一斉に動く。

 ビートたけし、テロ等準備罪で逮捕。

 本当はこれ、「そんな馬鹿なことあるか」という前提で考えた冗談である。しかし周囲で「くだらねーよ」とか言い合ってるうちに「待てよ……」と思う自分も出てきた。このような恣意的な解釈や、明らかな無理筋からの嫌がらせは「100%無いと言い切れるか?」と。

 果たしてこのケースは絶対に無いと約束できるのだろうか。1%でも不安がかすめた時点でこれは冗談事ではなく、ちょっとゾッとする案件に早変わりするのだ。

 そう、共謀罪を考えるには、こういう馬鹿馬鹿しい突飛なケースから考えればよいと思う。

■「共謀罪」でいちばん人々を笑わせている人

 くだらないと思いながらも、「いやちょっと待てよ……」と思う瞬間があれば、それだけこの法案がふわふわしていることの証明になる。

 しかし、今のご時世、本家本元のほうがパロディやギャグを超えてくる。

 金田法務大臣は4月28日の衆院法務委員会で、ビールと弁当を持っていたら「花見」、地図と双眼鏡を持っていたら「犯行現場の下見」という答弁をした。各紙報道でご存じのとおりだ。あとは、山でキノコを採ったらそれもテロの資金源になるとかならないとか。

 そんなこと言われ続けたら、「ビートたけし、傘を買ったらアウト」のほうがよっぽど喫緊の論議に思えてくる。

 今のところ、金田法務大臣がもっとも人々を笑わせている。

(プチ鹿島)

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