“本命”りそな銀行がスルガ買収を見送った事情

“本命”りそな銀行がスルガ買収を見送った事情

東氏の社長就任後、りそなは15年に公的資金を完済 ©共同通信社

「検討していない。聞かれること自体、不本意だ」

 10連休入りする直前の4月下旬、りそなホールディングスの東和浩社長(62)は筆者を含む記者数人にこう突き放していた。

 東氏が「検討していない」と言明したのは、シェアハウスを巡る不正融資で経営危機に瀕しているスルガ銀行の再建支援。日経新聞などが報じた支援交渉についても「事実無根」と語気を荒げていた。

 6カ月に及ぶ一部業務停止命令が4月12日に終了したスルガ。だが、信用低下のダメージは大きく、資本提携を含む再編が模索されていた。

 買い手にはSBIホールディングス、横浜銀行などを傘下に持つコンコルディア・フィナンシャルグループの名が上がってきたが、

「金融庁の“本命”はりそなでした。信用が失墜したスルガ銀行の再建には、大手行の傘下に入るのが不可欠。りそなは関西みらいフィナンシャルグループを主導するなど、地銀再編の実績もある。ところが蓋を開けてみれば、包括提携の相手は新生銀行。大株主に中国資本が入っていることや、りそなと異なり、公的資金が未だ残ることから、単独での引き受けは難しいと見られていましたが、工藤英之社長が乗り気でした」(金融庁関係者)

■“スルガどころではない”レオパレスの経営危機

 東氏が慎重だったのには理由がある。

「スルガの資産がどこまで劣化しているか見通せないことに加え、創業家である岡野ファミリー企業が保有する株式の買い取りなどの条件がネックとなっていました」(同前)

 さらにりそなには“スルガどころではない”との事情もあった。主力取引先であるレオパレスの経営危機だ。同社の銀行出身取締役3人のうち、2人がりそなの前身、旧協和銀出身と関係性が深い。

「不動産業務に強いりそなはアパートオーナーへの融資に力を注いできました。ところが、全体で2兆円と言われるオーナー向け融資の焦げ付きリスクが高まっている。東氏は深山英世社長の退任を受け、わざわざ『オーナーの不安感がなくなるようにしていただきたい』とコメントしていましたが、それだけ危機感が大きいと言えます」(同前)

 スルガ支援を見送っても、レオパレス問題を抱えるりそな。茨の道が続く。

(森岡 英樹/週刊文春 2019年5月23日号)

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