毒親をもった「迷走×餌」タイプの妖怪女子。ぱぷりこが引き続きお焚き上げ(2)

毒親をもった「迷走×餌」タイプの妖怪女子。ぱぷりこが引き続きお焚き上げ(2)

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第1回より続く

 恋愛で不満や後悔を抱えている、妖怪女子を筆圧高く分析、『なぜ幸せな恋愛・結婚につながらないのか 18の妖怪女子ウォッチ』を書いたぱぷりこ。恋愛相談を募集したところ、「うってつけの相談がきた」とのこと。前回の回答に続いて、根深い悩みを筆圧高くお焚き上げする第2回!

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■相談内容(要約。詳細は第1回に)

 メイコさん(29歳)は医療系で働くバリキャリ。遠距離恋愛中の彼(31歳)から結婚を考えていると言われたが、親が結婚話に猛烈に反対している。理由は彼が閑職と呼ばれる部門で働いているから。もし結婚するなら絶縁とまで言われている。父はハイスペモラハラ男子、母は専業主婦のメンヘラまっさかり。結婚してよいかと思う半面、彼にも、もっと頑張ってほしいと願ってしまい、どうにも結婚に踏み切れない。まわりには、親から祝福されて、実績を作ろうとがんばる男子と結婚していく人たちがいて、つい嫉妬してしまう。

■ぱぷりこの回答・考えても無意味なことに思考リソースをとられすぎている

 さて、第1回で、メイコさんはわくわく★妖怪女子チャートでは「迷走×餌」のハイブリッドであり、「親」という大妖怪を起点にして妖怪男を経験してきたことを明らかにしました。メイコさんのご両親は子どもより自分の感情を優先する毒親で、どんな努力をしたところでこの「前提」を変えることはできません。というところまでが前回の回答です。

 さらに、この問題を解決するためには「自分でコントロールできる/できない」を切り分けることが必要です。

 メイコさんは現状、この「コントロール可能・不可能」な条件の切り分けがまったくできていないように思われます。メイコさんの現状を取り巻く要素を分類してみましょう。

・コントロール不可能なもの:生まれた親(チェンジできない)、親の性格(絶対に変わらない)、同僚の生育環境、仕事環境(すぐには変わらない)、婚約者の性格

・コントロール可能なもの:自分

・コントロール可能(一部)なもの:自分と婚約者との生活(話し合いができる場合に限る)

 分解してみると、メイコさんを苦しめているのは「コントロール不可能なもの」ばかりだということがわかります。メイコさんは、自分で変えられないもの、かつ巻き戻しが不可能なものについて「こうだったらいいのに」と嘆いて、すでに持っている人を見て「羨ましい」と思っていますが、この「変えられないもの×自分の存在を成立させた大前提(親と生育環境)」を否定する比較は比較の中でも最悪オブ最悪で、精神に悪影響のみを及ぼします。どんな凄腕コンサルタントでも問題解決家でも、前提は変えられません。

 では神ではない非力な人間はどうすればいいか? といえば、自分に割り振られた交換不可能なカードを「諦めて受け入れる」ことです。受け入れたうえで、戦う戦略を練ることです。交換可能ならいくらでも考えてあがいていいでしょう。しかし、交換不可能なら、与えられたカードで戦うしかありません。

 なぜ諦めたほうがいいかといえば「思考リソース確保」のためです。メイコさんは問題が山積みで混乱している状態だと思われます。考えなければならないこと、決断しないといけないことがいっぱいあると、人間はストレスを覚え、逃げたいと感じる生き物です。

 なのでコントロール不可能なものについて思考することをやめ、「自分でどうにかできることにフォーカスする余裕を作る」ことをお勧めします。ただでさえ人間は、決断することに多大な思考リソースを必要とします。問題はなるべく少なくして、ひとつひとつの問題に対する集中力を高め、満足のいく決断をするために環境を整える必要があります。

■で、親に認めてほしいの? 結婚したいの? 

 さて、「コントロール可能なもの・不可能なもの」を切り分けてきましたが、メイコさんの願いをそもそも振り返ってみましょう。

 相談内容を見ていると、メイコさんのマインドシェアは「親>>>婚約者」となっており、親中心の考えになっています。「親に認めてもらう結婚をしたい」「円満に結婚したい」が最初にきており、「彼が気に入られる人になってくれればいいのに」「彼の甘さが気になる」「親に認めてもらえる同僚が羨ましい」と、すべての考えが「親に認めてもらいたい」に引きずられています。「親が反対すると失敗するというインターネット言説」や「不幸になる」という親の言葉なども「親に認めてほしいから、彼らを捨てきれない」というメイコさんの願いを補強するための言い訳として使われています。

 メイコさんの望みはなんでしょうか? 親に認めてもらいたいのでしょうか? それとも自分の人生における伴侶が欲しいのでしょうか? 

 すでに見てきたとおり、「親に認めてもらう」×「今の彼と円満に結婚」のダブル成就は不可能です。親の性格も彼のキャリア観もメイコさんのコントロール外のもので、かつ両者は相いれないからです。

 メイコさんはこれまでこの部分で「彼が変わるかも」「親が変わるかも」と完全に他力本願になって「自分の望みが両方叶うかも」と期待していたのでしょうが、「両者の両立はできず、どちらかを選ばなければならない」という前提で、もういちど自分の目の前にある選択肢について考え直してみてください。質問は以下のとおりです。

 メイコさんの望みはなんでしょうか? 親に認めてもらいたいのでしょうか? それとも自分の人生における伴侶が欲しいのでしょうか? どちらか1つを選ばなければなりません。どちらを選びますか? 

■支配される人生か、支配から逃れる人生か

 言うまでもなく、これは非常に大きな決断です。自分の人生において大きな存在のどちらかを選ばなければならないのですから。

 それ以上に、この決断はメイコさんの人生を大きく揺るがすほどの決断です。この決断は「親か彼か」を選ぶと同時に「他人に支配される人生か、支配から逃れる人生か」を選ぶ決断でもあるからです。

 たとえ、親が気に入る人と結婚したとしても、「メイコさんの人生の決断や意思決定に口出しをして、自分の思いどおりに支配しようとする」親の性格は1ミリも変わらない、どころかむしろ強化されます。人間は年を取ると頑固になっていくものですが、妖怪はさらなる大妖怪に進化して、人の言葉がどんどん通じなくなっていきます。ほぼ1億%子育てに口出しし、婚約者の親に難癖をつけ、「生まれた環境が悪い」「遺伝子が悪い」と難癖をつけ、暇さえあれば電話をしてきて、話を聞かなければ「なんで私の言うことを聞かないの!!!」と怒鳴って泣きわめいて言うことを聞かせようとするでしょう。なぜわかるかって? うちの親とその親戚がそうだったからです。

 支配する人間の言うとおりにすると、ずっと支配され続けます。メイコさんは「もううんざりだ」と書いていますが、これがもっと続きます。

 一方で、親と絶縁すると支配からは逃れられます。しかし、自分のことは自分で決めなくてはなりません。メイコさんがストレスに感じているのはおそらくこの「自分で決断し、自分の決定に自分で責任を持つ」ことではないでしょうか。

 なぜなら、支配されるのはうんざりしますが、楽だからです。意思決定時にかかるストレスから逃れられるし、たとえ失敗しても「私は決めてないし。あっちのせいだし」と他人のせいにして、自分が失敗したと思わなくてすむからです。

■ストレスから解放されたい=親を満足させなければ

 メイコさんは自分で思っている以上に、親に支配されています。意思決定と思考回路のすみずみに親の影響が見て取れます。たとえばストレス・マネジメントの方法です。

 メイコさんにはいまとてつもないストレスがかかっていると思います。親からは支配的な要求を突きつけられるストレス、叶えないと泣き叫ばれるストレス、激務のストレス、意思決定をしなければならないストレス……こんなストレスまみれの生活から逃れたいと思うことは当然です。生物なら誰でもそうします。

 ただメイコさんの場合「ストレスから逃れる=親を満足させる」という解決策にすがっていないでしょうか? 

 望ましい未来として「親との関係改善。これ以上、こちらの精神力を削られたくない」「 親に彼のことを認めてもらい円満に結婚したい」と親のことについて2回も書いているあたり、メイコさんは「現状が苦しいのは親から認められていないからだ→親に認めて欲しい→彼が変わってくれればいいのに→親に認めてもらっている同僚が羨ましい」という思考回路なのだと思われます。

 ですがよく考えてみてください。メイコさんにストレスを与えているかなりの元凶は、その親です。なぜ「ストレスの元凶から逃げる」という選択肢がないのでしょうか? これは、毒親に支配されていて言うことを聞くタイプの人が陥る典型的な思考回路です。どう考えても最も無茶ぶりを言っているのは親なのに「親の言うことさえ聞いておけば平和になる」という思考が染みついており、周囲を親の希望に合わせようとします。周りの人はそれについていけず脱落していくのが王道です。

 これは子供時代はしょうがないことです。子供の時は親が絶対的存在であり、親なくしては生きていけません。経済的に自立していない段階では、生存戦略としては正しいです。しかし、メイコさんはすでに自分で稼いでいます。彼らの言うとおりにしなくても、ライフラインは維持できます。ですがあまりにも長い間支配されていると、人は「これが普通だ」と思い、自分の思考様式に疑問を持たなくなります。

「自分が幸せになるためにどうしたらいいかPDCAサイクルを回そうとすると、こんなに苦しく壁があるとは思いませんでした」という言葉には、これまでメイコさんが自分で意思決定をせずに親の意向を意思決定に反映させてきた過去が見てとれます。

 メイコさんがこれまでうまくやってこれたのは「自分の意思決定と親の意思決定に大きな齟齬がなかったから」であり、おそらく人生で初めて「親の意思決定と自分の意思決定に齟齬がうまれている」状態なのではないでしょうか。「自分以外の婚約者」というこれまでなかったファクターがいるため、これまで成功してきたように「とりあえず言うことを聞く」ことで解決できず、初めての状態で苦しんでいる、というのが現状だと思われます。

■結論。前提を諦めて受け入れ、これからの数十年のために決断しよう

 さて、ここで考えるべきは「現状は親に支配されることに慣れすぎているメイコさんが、これからどうしたいか」です。

・親や他人に自分の人生を支配される人生

メリット:意思決定のストレスを避けられる、失敗しても他人のせいにできる

デメリット:自分の意思とは異なることをするストレスがたまる、他者のサンドバッグにされる、意思決定するスキルが育たず支配者に依存し続ける、自己肯定感が下がり続ける

・他者の支配から逃れる人生

メリット:自分の思うとおりに意思決定できる、自己肯定感が育つ

デメリット:意思決定するストレスを抱える、責任と痛みを引き受ける

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 端的に言えば「親のために生きるか、自分のために生きるか」の決断です。どちらを望むかはメイコさんが決めてください。

 残念ながら、望みに書いている「親に認めてもらって円満に結婚」はできません。親か婚約者か、どちらかの決断です。「両方とも欲しい!」はできません。前提は変えられないからです。諦めましょう。そして、決断しましょう。

 メイコさんは「親に認めてもらって円満に結婚すればうまくいくかも」と思っているのかもしれませんが、そんなものではありません。結婚は生活です。これから何年も何十年も続くものです。「とりあえず親に認めてもらってストレスから逃れたい」という短絡的な思考ではなく「自分の人生をこれから何年、何十年どう過ごしたいか。人に支配されて他責にする人生か、自分で決断して痛みを引き受ける人生か」を選ぶ、とても重要な決断です。

 問題を解体したことにより、グロテスクかつ目をそむけたい現実が出てきたと思いますが、「親に認められて円満に結婚」といった実現しない期待など、決断の邪魔になるだけの無駄なものです。現実を見つめ、余計な思考リソースを食うものを削ぎ落とし、これからの数十年のことを考えたうえで決断してください。ぱぷりこでした。

(ぱぷりこ)

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