森金融庁長官が続投 「異例の3年目」の背景

森金融庁長官が続投 「異例の3年目」の背景

部下への厳しさには定評 ©共同通信社

 金融庁の森信親長官(60)の続投が決まった。

 金融庁発足以来、3年にわたって長官を務めたのは五味廣文氏、畑中龍太郎氏の2人のみ。異例の人事の背景には官邸の強い要請があった。

「森長官は麻生太郎財務相、菅義偉官房長官からの評価が共に高いという珍しい官僚です」(金融庁関係者)

 昨年、森氏が続投した際には、2年での退任が有力視されていた。

「というのは、森氏は畑中長官が3年目に入った際、居座りと半ば公然と批判していた。それは金融関係者なら知っているだけに、3年目は受けないと見られていましたが、官邸の要請という形で留任しました」(同前)

 最大のサプライズになりそうなのが、監督局長人事だ。

「次期長官と言われていた遠藤俊英監督局長が退任する見通しです。6月中旬に開かれた民間銀行トップとの会合でも遠藤氏はひどく落胆した様子でした」(地銀幹部)

 後任には三井秀範検査局長の昇格が有力視されている。

「昭和55年旧大蔵省入省の森氏が3年長官を務めることで、57年の遠藤氏が飛ばされ、58年組から次期長官が出ると見られます」(前出・金融庁関係者)

 三井氏は58年組だが、森氏の意中の人物は別にいる。

「氷見野良三金融国際審議官です。英語は金融庁一と言われ、国際交渉に長けた氷見野氏を高く評価している」(財務省幹部)

 金融界で強まる「森一強」。だが、後押ししてきた地銀再編は進んでいない。モデルケースとみられた、ふくおかフィナンシャルグループの親和銀行と十八銀行の統合が立ち往生しているのだ。統合で長崎県内での貸出金シェアが7割に達することに公正取引委員会は難色を示してきた。

 そこで、打開策として十八銀行は貸出債権を他行に譲渡することでシェア引き下げを模索。だが、取引先に「一時的に譲渡するだけで、統合後に買い戻す」と話していたことが、公取の知るところとなり、6月に入り統合申請は差し戻されたという。

「統合は、白紙に戻される可能性が高い」(公取関係者)

 森一強に唯一逆らえるのは、財務省の先輩・杉本和行元事務次官がトップを務める公取だけかもしれない。

(森岡 英樹)

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