「定年後」に何を失うのか、どう生きるべきかを描いて14万部

「定年後」に何を失うのか、どう生きるべきかを描いて14万部

中公新書 780円+税

 会社員ならいつかは経験する定年。その先にある、長い「定年後」の人生をどう生きるか。還暦を迎えた自身の経験談も含む当事者への豊富なリサーチや、統計に基づく分析、はたまた映画や小説に描かれた「定年後」の紹介といった、さまざまな視点で切り込んだ新書の売れ行きが好調だ。

「重松清さんの『定年ゴジラ』を始め、定年後の生活を描いた小説のヒット作は多いですし、具体的にお金や健康の不安をテーマにした実用書も数多いです。そうした中で、両者の中間にあるような、読み物としてのおもしろさと役立つ知恵が合わさった本はなかなかなく、そこに企画の可能性を感じました」(担当編集者の並木光晴さん)

 定年退職で何が失われるのか。収入は当然として、たとえば、所属の書かれた名刺が持てなくなる。そのことが心に空ける穴の意外な大きさ。仕事と一緒に家庭での居場所もなくなり、趣味を急に持つのも難しい。細やかなディテールで綴られるビジョンが、いつか来るときに向けて心をそっと後押しする。

「当事者の方が参考にされるのはもちろん、これからご家族が定年退職される立場にある方が読んでも参考になる本になったと思っています。家でゴロゴロするだけになった配偶者の方に嫌気が差す前に、この本の事例を参考にして、一緒に上手い対処法を探っていただけるといいんじゃないでしょうか」(並木さん)

2017年4月発売。初版1万3000部。現在9刷14万部

(前田 久)

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