ゆうちょ銀・かんぽ生命で不適切販売発覚 背景に日本郵政と金融庁との“確執”

ゆうちょ銀・かんぽ生命で不適切販売発覚 背景に日本郵政と金融庁との“確執”

不適切販売を謝罪する長門社長 ©共同通信社

 不適切な金融商品の販売が相次いで発覚した日本郵政グループ。傘下のゆうちょ銀では、健康状態の確認を怠るなど不適切な手続きで高齢者に投資信託を販売していた。約230ある直営店のうち実に約9割の店で行われており、社内ルールに抵触したケースは1万5000件以上に及ぶ。

 かんぽ生命保険でも、同じ種類の保険を一度解約して再契約する「乗り換え」で、予定利率が下がるケースなどが多発。顧客が不利益を受けた恐れのある契約は少なくとも2万3900件にのぼった。

 なぜ、ここにきて日本郵政の不祥事が立て続けに露呈するのか。背景にあるのが、金融庁との“確執”だ。

 昨年3月、郵政民営化委員会で、ゆうちょ銀の「預入限度額(1300万円)の撤廃」を要望した日本郵政の長門正貢社長(70)。旧興銀出身でざっくばらんな物言いで知られる長門氏だが、これに激怒したのが、ゆうちょの肥大化を懸念する金融庁の森信親長官(当時)だ。森氏が長門氏に発言の撤回を求めたところ、長門氏は「すぐさま森氏の元に駆け付け、すがるように謝罪した」(関係者)という。その森氏は昨年7月に退任したが、「後任の遠藤俊英長官への引継ぎ事項として長門氏の更迭が盛り込まれていた」(同前)とされる。

■日本郵政に圧力をかけ続け、不適切販売が露呈

 ただ、今夏の参院選を控え、郵政票を頼みにする与党の意を汲んだ民営化委は、預入限度額を今年4月から倍の2600万円に拡大。郵政族や総務官僚と気脈を通じ、古巣をはじめメガバンクへの対抗意識も燃やす長門氏が一旦は勝利した格好となった。

 これに対し、遠藤氏は長官就任後の昨年9月、18年事務年度の金融行政方針に、「ゆうちょ銀・かんぽ生命の経営方針の実現に向け、日本郵政のガバナンスの発揮状況についてモニタリングを行う」と、日本郵政グループのガバナンスに切り込む姿勢をあえて盛り込んだ。同時に、これまで数年に1回だった金融庁検査もメガバンクと同様に通年検査に移行。日本郵政に圧力をかけ続けた結果、露呈したのが、社内調査に基づく不適切販売の数々だった。

 日本郵政の経営は、ゆうちょ銀とかんぽ生命という金融2社の収益で支えられているのが実情だ。その先行きには黄信号が灯っている。

(森岡 英樹/週刊文春 2019年7月11日号)

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