自民党“ネトウヨ本”配布騒動 石破茂は「分断を煽ることに他なりません」と痛烈に批判

自民党“ネトウヨ本”配布騒動 石破茂は「分断を煽ることに他なりません」と痛烈に批判

冊子に掲載されたイラスト。枝野氏?

 6月中旬に自民党本部が参院選対策として、〈フェイク情報が蝕むニッポン トンデモ野党とメディアの非常識〉と題した冊子を所属する全議員に配布した一件は、大きな波紋を呼んでいる。

〈トンデモ野党のご乱心〉〈野党の低レベル〉〈フェイクこそが本流のメディア〉〈トンデモ新聞の報道〉〈朝日のステルス安倍批判〉〈オワコンは、鳩山、菅、小沢の各氏だけでなく、野党そのものとさえ言いたくなります〉

 野党やメディアに対するレッテル貼りのような言葉や、立憲民主党の枝野幸男代表、国民民主党の玉木雄一郎代表、共産党の志位和夫委員長などを描いたと思われる、悪意に満ちたイラスト――。このように極めて偏った主張を綴った冊子を配布した自民党本部に対し、異論を唱えたのが石破茂元自民党幹事長(62)だった。

 7月10日に「 石破茂が激怒 自民党本部が全議員に“ネトウヨ本”を配布 」という記事が文春オンラインで公開されると、当サイトのコメント欄や、石破氏の論考「自民党『参院選ネトウヨ冊子』に怒りが湧いた」を掲載した月刊「文藝春秋」編集部のツイッター( @gekkan_bunshun )には、数々の意見が寄せられた。

■モラルハザードどころの話ではない

〈私は安倍政権をよりましとして指示(ママ)してきたが、このような怪文書が何の疑問も感じず配布されるのは驕りの現れと思われても仕方がない〉

〈あまりにも稚拙です 品格も無い ヘイトスピーチと何ら変わらない発想です 自民党も落ちたな〉

〈自民はもうかつての自民では無くなった。全体主義、選民思想の決して議員をするに不適合な人材を頭数目的に揃え、議論は劣化、野党を話し相手ではなく駆逐する敵と認識している。モラルハザードどころの話ではない。昔の自民はもう消えた〉

 この冊子については、自民党内からも反発の声が出ていた。例えば、宏池会に所属する武井俊輔衆議院議員は、ツイッターに〈アフリカ出張のあいだに妙な本が届いていました。数ページ読みましたが、とても活用できるようなものではありません。わが党を応援する意図をお持ちなのかもしれませんが、ひいきの引き倒しもいいところです。しかも10冊余りも。 扱いに困ります〉と書き込んだ。

アフリカ出張のあいだに妙な本が届いていました。数ページ読みましたが、とても活用できるようなものではありません。わが党を応援する意図をお持ちなのかもしれませんが、ひいきの引き倒しもいいところです。しかも10冊余りも。
扱いに困ります。 pic.twitter.com/40tghOcArj

? 武井俊輔(自民党 宏池会) (@syunsuke_takei) 2019年6月18日

  https://twitter.com/syunsuke_takei/status/1140918397900746752

 改めて、石破氏はこの“ネトウヨ本”について次のように述べる。

■「このような冊子を『保守言論』だとは思っていません」

「私は、このような冊子を『保守言論』だとは思っていません。自らのイデオロギーを声高に主張するのは『革新』的な手法であって、保守は本来静かなたたずまいのものだったはずです。(略)意見を異にする者を罵倒することは、分断を煽ることに他なりません。私は、分断を是とし『相対多数を獲得して勝利すればいい』と考える政治手法は、結局、長い目で見たとき我が国を弱体化させかねない危うさをはらんでいると考えます」

 石破氏は、「保守」を自認する政治家である。では、石破氏の考える「保守」とはいったい何なのだろうか――。“ネトウヨ本騒動”から見た近年の保守論壇の変質、本来あるべき保守の姿など、石破氏の論考の全文は 「文藝春秋」8月号 に掲載されている。

(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2019年8月号)

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