辞任と不倫で揺れた永田町 今週の珍言・妄言を振り返る

辞任と不倫で揺れた永田町 今週の珍言・妄言を振り返る

©EPA=時事

蓮舫 民進党代表
「一議員に戻ります。足りないところをしっかり補います。努力して、もっと学んで、もっと強くなる。もう一回、ゼロに戻って、私自身も再スタートする」
産経ニュース 7月27日

 名言、珍言、問題発言で1週間を振り返る。27日は“ダブル辞任”で日本中が揺れた。まずは民進党の蓮舫代表だ。同日昼に辞意が報じられ、午後に行われた記者会見で正式に辞任を表明した。昨年9月に代表に就任してからわずか10カ月の唐突な辞任劇だった。民進党は野田佳彦幹事長も25日に辞意を表明している。

 記者会見では、東京都議選での惨敗などを踏まえた上で「いったん身を引き、より強い受け皿になる党を新執行部に率いてもらうのが最善の策だ」などと辞任の理由を語った。また、党勢が低迷したことについては「統率する力が私には不足していた」と語っている(産経ニュース 7月27日)。「二重国籍」問題の影響については「全く別次元の問題だ」と否定したが、歯切れの悪い回答による党勢への影響は少なからずあったと思う(朝日新聞デジタル 7月27日)。

■「残念だ。蓮舫氏でいてくれたほうが人気が上がらないのに」

 一方、政府・与党は、民進党を低迷から脱却させられない蓮舫氏が代表でいてくれたほうが都合が良いと考えていたようだ。自民党幹部は「残念だ。蓮舫氏でいてくれたほうが人気が上がらないから良いのに」と本音を漏らしたという(朝日新聞デジタル 7月27日)。作家の竹田恒泰氏はインターネット番組で「蓮舫さんは民進党を墓場まで導いてくれるわが国の救世主」「中途半端なところで降ろされると本当に残念」と笑いながら語った(虎ノ門ニュース 7月27日)。

 蓮舫氏の辞任で党の存続を危ぶむ声もある。大阪府議の中村哲之助氏は「次第に党が溶けて分解してしまわないか」と不安の声を上げた(朝日新聞デジタル 7月27日)。産経新聞は「希有な発信力と存在感を備えた蓮舫氏を育て上げることができなかった民進党のいたらなさもあった」と党全体の問題を指摘している(7月28日)。民進党の桜井充参院議員も自身のブログで「党運営を失敗している人たちが反省もせずに、党の執行部にいることが最大の問題である」とストレートに指摘した(7月27日)。

 いまや民進党はバラバラだ。7月30日に投開票が行われる横浜市長選挙では、菅義偉官房長官の支援を受ける現職の林文子氏を民進党の山尾志桜里衆院議員が応援したことが話題になった。林氏はカジノ推進派としても知られており、カジノに反対する元民主党衆院議員の長島一由氏、「カジノよりも中学校給食を」と訴える民進党の伊藤大貴横浜市議と争っている。ややこし過ぎ!

 蓮舫氏は記者会見で「仮に後ろから鉄砲を撃たれたとしても、それは水鉄砲のレベルだと思います。時間がたてば乾きます」と語ったが、とてもそうは思えない。


稲田朋美 防衛相
「昔のように自由な発言もできないし、好きな服も着られない。とても苦しい」
『女性セブン』8月10日号

 もうひとつの辞任は、稲田朋美防衛相だ。27日、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)の日報問題をめぐり、陸上自衛隊に保管されていた電子データ隠蔽に関する責任をとる形で辞意を示したことが報道された。28日に行われる日報に関する特別防衛監察の結果公表に合わせた辞任と見られており、同日午後に記者会見が行われた。稲田氏が辞任すると、2012年12月に第2次安倍政権発足後、閣僚辞任は6人目となる。

 陸上自衛隊トップの陸上幕僚長・岡部俊哉氏も辞意を表明、防衛事務次官の黒江哲郎氏も混乱の責任をとって辞任する見通しだ。元自衛官で自民党・参議院議員の佐藤正久氏は「陸自のトップと事務方のトップが辞任し、防衛大臣が責任を取らないというのは考えにくい。いろいろ考えた結果なのだろう」とツイッターでコメントした(7月27日)。

■「30人以上の大臣に仕えてきたが、史上最低」と防衛官僚

 稲田氏の辞任について、防衛省の内部からは「辞めるのは予想通り」との声とともに、北朝鮮の弾道ミサイル発射警戒をめぐる対応にも「トップ不在でも影響ないことの証し」という冷ややかな声が聞かれたという(時事ドットコムニュース 7月27日)。防衛官僚による覆面座談会では「過去二十五年以上三十人以上の大臣に仕えてきたけれど、申し訳ないが史上最低」という発言が飛び出した(『週刊文春』8月3日号)。

 稲田氏の辞任は、安倍政権にとってもダメージが大きい。稲田氏は安倍晋三首相と思想的に共鳴し、「将来の首相候補」として重用されてきた。「百人斬り訴訟」の原告側代理人を務めるなど、気鋭の保守論客として活躍していた稲田氏を安倍首相が政界にスカウトしたという経緯がある。稲田氏も「安倍さんがいなかったら私は政治家になっていません。思想信条はほとんど一緒」と語っていた(『週刊文春』8月3日号)。

 文筆家の古谷経衡氏は当時の稲田氏を「ネット右翼のアイドル」と表現する(Yahoo! ニュース個人 7月27日)。しかし、森友学園問題、「自衛隊としてお願いしたい」発言問題、日報問題など、度重なる失態で保守層からの支持も失った。産経新聞とFNNが今月22日、23日に行った合同世論調査では、内閣改造で「代えたほうがよい閣僚」という項目で、稲田氏が断トツの63.1%に上っている(産経ニュース 7月28日)。安倍政権寄りの産経新聞がわざわざこんな項目をつくったのは稲田氏への苛立ちの表れだろう。

■「素人を防衛大臣にするな」でブーメラン

 冒頭のノンキな発言は、稲田氏が最近、知人に漏らしたという不満とのこと。たしかにかつての発言は強烈だった。安倍首相は稲田氏の鋭い弁舌に惚れ込んだと言われている。野党時代の2011年12月、衆院予算委員会で稲田氏は当時の一川保夫防衛相にこう迫っていた。

「笑わせないでくださいよ。国民目線というのであれば、素人を防衛大臣にしないでほしいというのが国民目線ですよ」(報道ステーション 7月21日)

 これがいまや稲田氏自身についての言葉となっているのは誰の目にも明らかだ。防衛相辞任後も日報の隠蔽問題などについての「丁寧な説明」が求められる。それが「国民目線」だ。

安倍晋三 首相
「申請を知ったということにつきましては、先ほど申し上げましたように、1月20日の特区諮問会議でございます」
BuzzFeed NEWS 7月24日

 7月24日、25日の2日間にわたって、「加計学園」問題をめぐる衆議院・参議院予算委員会での閉会中審査が開催された。内閣支持率の急低下に危機感を抱く安倍晋三首相が出席したことで注目を集めた。

「私の友人が関わることでありますから、国民の皆さまから疑念の目が向けられることはもっともなことであります。思い返すと、私のこれまでの答弁において、その観点が欠けていた」という安倍首相の答弁から始まった閉会中審査。一番肝心なところが欠けていたのか! と思わなくもなかったが、「常に国民目線にたち、丁寧の上にも丁寧に説明を重ねる努力を続けていきたい」と続けた。「丁寧に説明」の上を行く「丁寧の上にも丁寧に説明」だ。実際、首相はヤジも飛ばさず、「印象操作」とも言わず、謙虚な姿勢を貫いた。

 とはいえ、議論は一向に噛み合わなかった。野党側が追及するも与党側が「記憶にない」「記録に残ってない」と繰り返す展開が続く中、多くの人が驚いたのが、国家戦略特区として加計学園が獣医学部の新設を申請しているという事実を安倍首相が「(国家戦略特区諮問会議で加計学園を事業者とすることを正式決定した)2017年1月20日まで知らなかった」という答弁だ。

 ご存知のとおり、安倍首相と加計学園理事長の加計孝太郎氏は「腹心の友」。2013年の第2次安倍政権発足以来、14度も食事やゴルフで接触している。安倍昭恵首相夫人が「男たちの悪巧み」と書いた2015年クリスマスイブの会食はもはや有名だ(なぜか民進党の大串博志氏が提示した安倍首相と加計氏の接触記録にこの日は含まれていない)。ちなみに面会の際の食事代について、安倍首相は「私がごちそうすることもあるし、先方が支払うこともある」と回答したが(ハフィントンポスト 7月24日)、かつて加計氏は「(安倍氏に)年間一億くらい出しているんだよ」と語ったことがあるという(『週刊文春』4月27日号)。それはかなり話を盛ってると思う。

■12年間『加計ありき』だったのに、一度も加計氏と話をしたことがないなんて!?

 同時に、加計氏にとって獣医学部新設は長年の念願だった。獣医学部の誘致に取り組んできた加戸守行前愛媛県知事は、「愛媛県にとっては、12年間、『加計ありき』でまいりました」(FNNニュース 7月11日)と語っている。これまで安倍首相は加計氏と一度もこのことについて話したことがないのだろうか。首相は「話は一切ございませんでした」と断言しているが、大串氏ならずとも「にわかに信じられない」と思ってしまう(BuzzFeed NEWS 7月24日)。

 さらに、過去の答弁との矛盾がある。たとえば、6月5日の参議院決算委員会では民進党の平山佐知子議員から「大親友である加計さんがずっと獣医学部が作りたいという思いがあったことは当然ながらご存知でしたよね」と質問されて「安倍政権になりましてから、国家戦略特区にその申請を今治市と共に出された段階で承知したわけであります」と答弁している。今治市が国家戦略特区で獣医学部新設を提案したのは2015年6月だった(ハフィントンポスト 7月25日)。従来の説明との整合性を指摘された安倍首相は、「少し混乱して答弁したのは事実で、おわびをして訂正させていただきたい」と釈明している(産経ニュース 7月25日)。

 計画を知らなければ、首相だって便宜を図りようがない。しかし、それは真実なのだろうか? 疑念を晴らすための閉会中審査で、新たな疑念が生まれてしまった。


今井絵理子 自民党・参院議員
「『略奪不倫』ではありません。断じてないということを言わせていただきます」
スポニチアネックス 7月27日

 元SPEEDで自民党の今井絵理子議員が、自民党・神戸市議会議員の橋本健氏と不倫関係にあると報じられた。橋本氏は既婚者で2児の父であり、妻とは別居状態だが離婚は成立していない。『週刊新潮』8月3日号のスクープの見出しは「元SPEED 今井絵理子参議院議員の略奪不倫」だった。

 同誌は、政務活動のための移動中、新幹線で眠ったまま手を握りあう2人の姿を大々的に掲載。記事では「SPEEDのNo.1ヒット曲『WHITE LOVE』で熱唱した『その手を離さないでね』の歌詞の一節さながら」と皮肉った。今井氏は『週刊新潮』の取材に対して、橋本氏に好意を持っていること、ホテルやマンションで一緒に宿泊したことは認めたが「一線は越えていない」と弁明した。今井氏の回答にネットでは「一線って何のことだ」と多くのツッコミが入った。

 冒頭の言葉は、記事を受けて今井氏が報道関係者に向けて送付したファックスの一文。ファックスの中では、橋本氏から最近交際を申し込まれたことが明かされているが、あくまでも一線は越えておらず、「略奪不倫」ではないことが強調されている。なお、橋本氏の妻は『週刊新潮』の取材に「これは決定的」「私は今井さんのお子さんも心配。お母さんは家にいなくて、不倫をしていると知ったら」と辛辣なコメントを寄せている。

■「俺は今井絵理子のマネージャーやねん」

 橋本氏をめぐっては、政務活動費の支出に関する問題も浮上している。2016年6月、今井氏との対談を掲載した自民党神戸市議団の「市政報告」を政務活動費で制作し、今井氏が出馬した参院選の公示前日に配布していたという(神戸新聞 7月26日)。政務活動費を用いた市政報告は「市政にかかわる会派活動」が対象とされ、「議員の個人的活動や選挙活動などには支出できない」と定められている。なお、参院選で橋本氏は今井氏の応援活動を精力的に行っており、周囲には「俺は今井絵理子のマネージャーやねん」と語っていたという(『週刊新潮』8月3日号)。

 “魔の2回生”の一人、自民党の宮崎謙介衆院議員(当時)は2016年2月に不倫騒動の責任を負う形で議員辞職した。このとき、宮崎氏が不倫相手の女性タレントを口説くときに使ったメッセージ「私のど真ん中は“ソナタ”」が話題になった(スポニチアネックス 2016年2月15日)。今井氏と橋本氏にはどのような結末が待ち受けているのだろうか。かつて「憲法や経済の話は?」と問われて「今は選挙中なのでごめんなさい」と返答を避けた今井氏だが、国会議員としての正念場がいきなりやってきた。

森 喜朗 2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会会長
「ドラえもんやキティちゃん、鉄腕アトムもある。漫画大行進だ。そういうのがあってもいい」
時事ドットコムニュース 7月22日

 2020年7月24日に開幕する東京五輪まであと3年を切った。こんなに暑い時期にオリンピックなんて開いて本当に大丈夫なのか? という懸念が広がる中、いよいよ元気になっているのが森喜朗・東京五輪組織委員会会長だ。

 冒頭の言葉は、時事ドットコムニュースの取材に応えたもの。「仮に歌舞伎、相撲でやっても世界の人は分からない。一番分かってくれるのは日本のアニメや漫画」と話しているが、これは力士が大挙して登場し、土俵入りを披露した長野五輪開会式の反省だろうか。

■先月の自分の発言ももう忘れてしまったのかもしれない

 また、若者を意識した新種目の採用を「革命的なこと」と歓迎したが、先月、「なぜ突然(16年リオデジャネイロ五輪の)306種目から15種目も増えたのかについては、いささか疑問に思っている」と発言したことはもう忘れてしまったのかもしれない(産経ニュース 6月12日)。

 森会長は24日に行われた組織委員会の理事会の冒頭で「関係者が一致して大会準備を進めることが重要。これからが一番の正念場だ」とあいさつした(サンケイスポーツ 7月24日)。20日には東京五輪の主会場となる新国立競技場の建設をめぐり、下請け業者で現場監督を務めていた23歳の男性が、月200時間近い残業を強いられて自殺していたことが明らかになっている(NHK NEWS WEB 7月20日)。しかし、現時点で森会長からのコメントはない。

(大山 くまお)

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