「仕事人内閣」発足! 今週の末期的珍言を総ざらい

「仕事人内閣」発足! 今週の末期的珍言を総ざらい

©時事通信社

安倍晋三 首相
「この内閣はいわば、結果本位の『仕事人内閣』であります」
日テレNEWS24 8月3日

 名言、珍言、問題発言で1週間を振り返る。8月3日、第3次安倍再々改造内閣が正式に発足した。内閣支持率が急速に下落する中、閣僚経験者を要所に配置した安定優先の布陣で立て直しを図る。

 安倍首相は記者会見で「結果重視、仕事第一、実力本位の布陣を整えられた」とした上で、「結果本位の『仕事人内閣』」と名付けた。では、今村雅弘復興相が失言で辞任、稲田朋美防衛相が日報の隠蔽問題などなどで辞任、金田勝年法相の国会でのしどろもどろ答弁が問題視されてきた、これまでの内閣は「結果重視、仕事第一、実力本位」ではなかったの? 気になって、昨年、第3次安倍再改造内閣が発足したときの安倍首相の記者会見を見直してみたら、「未来チャレンジ内閣」と名付けていた(朝日新聞デジタル 2016年8月3日)。そうか、チャレンジには失敗がつきものだからね……。

 総務相に野田聖子元総務会長、外相に河野太郎前行政改革担当相を起用するなど、これまで政権に距離を置いてきた人材が登用されたことが注目されたが、フジテレビ報道局解説委員の山本周氏は「安倍政権の『骨格』と関係が深い人たち」が多いと指摘している(ホウドウキョク 8月3日)。鈴木俊一五輪相は麻生太郎副総理と義兄弟(麻生氏の妻は鈴木氏の姉)。初入閣の小此木八郎国家公安委員長・防災相と梶山弘志地方創生相は菅義偉官房長官がかつて世話になった政治家の息子たち。小此木氏は菅氏が秘書として仕えた小此木彦三郎元通産相の三男で、梶山氏は菅氏が「政治の師」と仰ぐ梶山静六元幹事長の長男。加藤勝信厚労相の義父・加藤六月元政調会長は、安倍首相の父・安倍晋太郎氏を支えた「四天王」の一人だった。

■疑惑隠し内閣は「丁寧の上にも丁寧に説明」できるのか?

 会見の冒頭では、加計学園問題、森友学園問題、南スーダン国連平和維持活動(PKO)日報問題に触れ、「国民の不信を招く結果となった。改めて深く反省し、国民の皆さまにおわびしたい」と頭を下げた安倍首相。一方、小池晃共産党書記局長は記者会見で「稲田隠し、森友隠しに加計隠し。疑惑隠し内閣だ」と批判している。日本維新の会の松井一郎代表も「内閣改造だけでは森友学園や加計学園の疑惑に関する説明責任を果たしたことにはならない。首相自らが説明責任を丁寧に果たすことが必要だ」との談話を発表した(産経ニュース 8月3日)。

 問題のあった閣僚を交代させ、頭を下げただけでは疑惑は解消したとは言えない。さまざまな疑惑、問題について、安倍首相の言葉どおり、「丁寧の上にも丁寧に説明」が求められる。

安倍晋三 首相
「お互いに学生時代からその後、それぞれの立場は変わりましたが、立場を利用して何かをしようとしたことは本当に一回もない。だからこそ私は40年も親しい友人であり続けることができたのだと思います」
NHK「ニュースウォッチ9」8月3日

 加計学園問題をめぐる閉会中審査で、安倍首相が語った言葉「申請を知ったということにつきましては、先ほど申し上げましたように、1月20日の特区諮問会議でございます」が波紋を呼んでいる。40年にわたって密接な付き合いを続ける“腹心の友”加計学園の加計孝太郎理事長から獣医学部新設についてまったく聞いたことがなかったというのだから無理もない。

 冒頭の言葉は、内閣改造の後、NHK「ニュースウォッチ9」に生出演した際、桑子真帆アナウンサーからの「(獣医学部新設について)話を聞いていないとすると、ゴルフや食事しているとき、普段はどのような話をしているのか?」という質問に対する安倍首相の答え。言葉どおり受け取ると、たしかに正論だと思う。相手の立場を利用することばかり考える友情は長続きしまい。

■教授職をあてがわれて「落選中助かった」と新聞に語っていたのに

 しかし、安倍首相の最側近である萩生田光一幹事長代行は09年の総選挙で落選して以降、千葉科学大学危機管理学部で客員教授を務め、「浪人中の足しになった。助かった」と語っている(朝日新聞 2013年7月1日夕刊)。下村博文元文科相のもとには学園の秘書室長が日常的に出入りして献金を斡旋していた。09年の衆院選では、安倍首相や塩崎恭久氏の選挙事務所に加計学園の職員を派遣して問題になったことが発覚している(『週刊文春』8月10日号)。とても「昔話やたわいのない話」(NHK「ニュースウォッチ9」8月3日)ばかりに興じているとは思えない。

加計孝太郎 加計学園理事長
「本当に酷い目に遭ってるよ。なんも悪いことしてないのにさぁ」
『週刊新潮』8月10日号

 7月29日、千葉県銚子市内で行われた加計学園理事長、加計孝太郎氏の誕生会の酒席での発言。獣医学部新設をめぐる問題が主要テーマとなった国会の閉会中審査にも顔を出さなかった加計氏だが、身内の前ではホロ酔いで愚痴をこぼしていたらしい。

 身の潔白を主張する割に、店には厳戒態勢が敷かれ、出入り口には見張り役が数人も置かれる物々しさ。翌朝も『週刊新潮』の記者の姿を見るや、慌てて踵を返したという。自らに恥じる点がないのであれば、公の場に出てきて堂々と主張するべきだろう。安倍政権の支持者が絶賛する加戸守行前愛媛県知事を見習ったほうがいい。


籠池泰典 森友学園前理事長
「私は逮捕されるが、そのことで国民が、安倍政権をますます見放すことになれば本望だ」
ハフィントンポスト 8月2日

 大阪地検特捜部は7月27日の1回目に続いて7月31日に2回目の任意聴取を行い、国や大阪府の補助金を不正受給した詐欺の疑いで籠池泰典森友学園前理事長と妻の諄子の両容疑者を逮捕した。安倍昭恵首相夫人と親交を深めて名誉校長に就任してもらい、園児たちに「安倍首相頑張れ! 安倍首相頑張れ! 安保法制、国会通過よかったです」と言わせていた頃から2年も経っていない。かつては安倍首相も森友学園の教育方針を「素晴らしい」「私の考え方に非常に共鳴している」と絶賛していた。

 冒頭の言葉は、ジャーナリスト・伊藤博敏氏が7月上旬に行ったインタビューの締めくくりに発せられたもの。籠池氏は伊藤氏に対して次のように語っている。

「神風が吹いた、と言って過言ではないほど小学校の認可と建設は順調に進んだ。ところが、それに関与した人たちが、今年の2月下旬以降、掌返しで離反していき、その結果、中断に追い込まれてしまった。誰が、そう仕向けたのか。財務省理財局や大阪府の松井一郎知事を動かせるだけの力を持っているのは、安倍さんしかいない」

■「籠池は葬り、加計は助ける」

実際、今年2月から安倍首相は手のひらを返したように籠池氏に対して冷淡な態度を取るようになった。しかし、同時に森友学園問題への疑惑が増すにつれ、安倍政権の支持率は落ちていった。籠池氏の「本望」どおりになったということになる。

「籠池は葬り、加計は助ける――。その違いが、安倍政権と安倍首相個人との手前勝手な『距離感』『都合』でしかないことに国民は気付いている」と伊藤氏は指摘する。国会に証人喚問された籠池氏に対して、加計孝太郎理事長は公の場に一切姿を現していない。そのことが安倍政権のさらなる支持率低下を招き、籠池氏の「本望」に近づくのは皮肉である。

稲田朋美 前防衛相
「皆さんは私の誇りです。これからも日本の安全保障のために一緒にがんばりましょう」
日テレNEWS24 7月31日

 南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊部隊の日報問題で辞任した稲田朋美前防衛相が7月31日、離任式に出席した。冒頭の言葉は防衛省を去るときに稲田氏が語ったもの。不祥事をいくつも重ねて辞任した大臣の言葉とは思えない。離任式で見せた稲田氏の晴れやかな笑顔も注目を浴びた。

■「離任式を辞退すると思った。驚きだ」

 日報問題について「危機感をもって再発防止策を実施していかなければならない」と訴えた稲田氏だが、自らの責任には言及せず、反省や謝罪の言葉もなかった。他人事か。防衛官僚や自衛官からは「稲田氏は離任式を辞退すると思った。驚きだ」(読売新聞 7月31日)、「すべて自衛官が悪いのか。まず自分が謝罪すべき」(日刊ゲンダイDIGITAL 8月1日)、「最後まで現場の気持ちが分からない人だった」(毎日新聞 8月2日)という声が漏れた。

「風通しのよい組織文化を醸成し、いっそうの連携強化を図り、防衛省自衛隊が一致団結していかなる困難な状況にも対応できるようにしてもらいたい」と離任式で語った稲田氏だが、日報隠蔽問題をめぐる閉会中審査に関して、自民党は民進党が求める稲田氏の参考人招致に応じない考えを伝えた。風通し悪いよ!

■どんな不祥事を起こしても辞任したらチャラなの?

 自民党の竹下亘国対委員長(当時)は「(辞任という)一番重い責任の取り方をした。辞任した閣僚を国会に呼び出すことはやってはいけない」と説明したが(東京新聞 8月1日)、なんでそうなるの? どんな不祥事を起こしても辞任すればチャラ? 竹下さんも毎回同じことを言っているような気がする。共産党の小池晃書記局長は「稲田氏の辞任は結局、最悪の隠蔽工作だったと言わざるを得ない」と批判した。ちなみに2002年2月には辞任した田中真紀子元外相が在職中の職務に関する参考人招致に応じている。

 稲田氏は、党に戻ったら憲法改正に取り組みたいと意欲を燃やしているらしい(『週刊新潮』8月10日号)。それを耳にした大島理森衆院議長は「なにをバカなことを!」と激怒したとか。たしかに稲田氏が関わったら、うまくいくこともうまくいかなくなる可能性がある。


福田康夫 元首相
「各省庁の中堅以上の幹部は皆、官邸(の顔色)を見て仕事をしている。恥ずかしく、国家の破滅に近づいている」
共同通信 8月2日

 共同通信のインタビューに応えた福田康夫元首相の言葉。加計学園問題や森友学園問題などを踏まえ、安倍政権下の「政と官」の関係を痛烈に批判した。

■「能力のない人がえらくなっており、むちゃくちゃだ」

 福田氏は2014年に発足した内閣人事局に関し、「政治家が人事をやってはいけない。安倍内閣最大の失敗だ」との認識を示した。中央省庁の公務員の姿勢についても、「官邸の言うことを聞こうと、忖度以上のことをしようとして、すり寄る人もいる。能力のない人が偉くなっており、むちゃくちゃだ」と指摘。「自民党がつぶれる時は、役所も一緒につぶれる。自殺行為だ」とも述べた(東京新聞 8月3日)。

 安倍政権が設置した内閣人事局は、各省庁の幹部人事を一元管理しており、加計学園問題でも中心人物の一人と見られている萩生田光一官房副長官が局長を務めていた。

 安倍政権への批判は自民党内部からも起こっている。村上誠一郎元行政改革担当相は30日放送のBS-TBSの番組で、安倍政権の支持率急落に関し、「お友達を優遇し過ぎた。安倍晋三首相の身から出たさびだ」と述べた(時事ドットコムニュース 7月30日)。

中川俊直 衆院議員
「“一度でいいからウエディングドレスを着てみたい”という(彼女の)願いが叶ってよかったなと思っておりました」
『週刊新潮』8月10日号

 今年4月に女性問題を理由に経済産業政務官を辞任後、自民党を離党した“魔の2回生”中川俊直衆院議員が7月29日、地元の東広島市で問題発覚後、初めての会見を行った。

 愛人との不倫、愛人とのハワイでの“重婚挙式”、愛人との別れ話がこじれてストーカー登録、前川恵衆院議員との不倫疑惑(本人は否定)などのスキャンダルが噴出。4月下旬から国会本会議も欠席し、3カ月以上にわたって公の場に姿を現していなかった中川氏。がんで闘病中の悦子夫人は、4月に「本当にこのたびは主人によって大変ご迷惑をおかけしたことを、主人ともども私もお詫びします」と正座して深々と頭を下げていたが(ハフィントンポスト 4月21日)、なぜ裏切られた夫人だけが謝罪して、本人が公の場に出てこないのかが疑問視されていた。

■名刺に「私は不法行為をしていません」

 だが、今回の会見では「生き恥をさらしても、どんなに多くの方にお詫びで頭を下げようとも、郷土の思いを国政に届けていきたい」と涙ながらに続投宣言。次期衆院選の出馬に意欲を示した。また、がん闘病中の夫人については、「直接の交際期間中に家内ががんだったというのは違う」と抗弁。しかし、中川氏は以前、『週刊新潮』の取材に対して、昨年末まで愛人と肉体関係があると認めている。さらに、女性とハワイで“重婚挙式”の写真を撮った際の心境を問われると、「願いが叶ってよかった」とコメントしてのけた。この人の頭の中は何かが決定的にズレている。

 この1カ月で2500軒ほどの支持者を訪ね、お詫び行脚をしたという中川氏だが(時事ドットコムニュース 7月29日)、その際、配布していた名刺には直筆で「私は不法行為をしていません」と書かれていたという(「週刊新潮」7月6日号)。不法行為でなければ何をしたっていいわけではあるまい。これで国会議員を続けるつもりなの?

(大山 くまお)

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