小泉進次郎結婚 密着記者が語る「滝川クリステルとの2つの共通点」とは

小泉進次郎結婚 密着記者が語る「滝川クリステルとの2つの共通点」とは

首相官邸で結婚について囲み取材を受ける二人 ©時事通信社

 2019年8月7日、小泉進次郎衆院議員がキャスター・滝川クリステルさんとの結婚を発表した。なぜこの二人が、このタイミングで結ばれたのか。

 ノンフィクションライターの常井健一さんは、2009年の初当選以来、7回の国政選挙の全国遊説にすべて密着して“もっとも小泉進次郎を間近で観察してきた記者”。今年7月の参院選でも、「 ルポ参院選2019 」で進次郎氏を密着取材した常井さんが、二人の結婚について語った。

構成:「文春オンライン」編集部

■キャスターや芸術分野、起業家から相手を選ぶんじゃないか

 第一報は青天の霹靂でしたが、お相手が滝川クリステルさんだと聞いて納得というか、想定内でした。

 私は小泉進次郎さんの選挙遊説に毎回密着していますが、小泉さんは各局のキャスターから移動中に取材を受ける機会が多い。端から見ている限りでは、大体の女性アナウンサーは前から知っている感じでした。プライベートでもお付き合いがあるんだな、という印象を受けました。滝川さんも、小泉さんを直撃取材していたことがあります。確か新横浜ではなかったでしょうか。

 結婚相手の選択肢としては、ひとことで言えば小泉ブランドに依存しない自己完結型のプロフェショナル。例えば、キャスターや芸術分野もしくは起業家から選ぶんじゃないかなと予想していました。

 現在、政治家・小泉進次郎の抱えている悩みは、大きくわけると2つあります。1つは、言葉の伝え方に対する関心です。遊説や討論の場で、いかにメッセージを伝えるのか常に苦心しています。その点、キャスターは言葉の専門家ですから、日常的に相談することもできます。ましてや滝川さんは自分よりもキャリアが長く、オリンピック誘致など国際舞台での経験も豊富です。まさにうってつけの存在だと言えます。

■「もうスターバックスすら行けないんですよ」

 もう1つは、常に注目されている存在であるという点です。かつて密着取材の移動中にぼやいていた言葉で印象的だったのが、「もうスターバックスすら行けないんですよ」。一人でコンビニに行けない、カフェでしずかに本も読めない。振る舞いを細かくチェックされるような公人だからです。

 結婚を発表した囲み取材でも「一度も外で会ったことはない」と語っていましたが、滝川さんもまた、ある意味では小泉さん以上にプライベートで周囲の目を気にする生活を送っていた女性です。同じような境遇にあるわけですから、お互いに気が合い、人に言えない悩みまでも相談する関係だったのではないかなと推測します。

■自分の言葉に“体温”と“体重”を乗せるために

 結果論になりますが、結婚のタイミングも「なるほどな」とうならされました。実はこの8月で国会議員になってから10年の節目に当たります。彼は近年、自分の政治家像を大幅に刷新しようと「脱皮」というキャッチコピーを掲げ、いままでと違う試みに挑戦しています。中でも3年ほど前から、社会保障について本腰を入れて改革プランを練っています。

 ただ、最近の演説内容を聞いていると、地べたに近いような目線で国民を理解する、子育てや家計をどう営んでいくかといった点について、実感をともなっていないイメージがありました。本人もしっくりくる言葉を見出だせずにいる、そんなもどかしさをずっと感じていたんじゃないかと思います。

 例えば、小泉さんは、かつてこう語っていたことがあります。

「子育てとか、少子化対策とか、それは小泉進次郎にはできないんです。独身だから。言っても説得力がないから」(2012年12月9日、埼玉県朝霞市での演説より)

 政治家の「言葉の力」という意味では、今年の参院選ではこうも述べていました。

「政治家イコール政策で世の中が動くわけではない。政治というのは面白いですよ。Aという政治家、Bという政治家、Cという政治家。3人の政治家がいて同じことを言ったとしてもAさんの言うことなら聞こうとなる。最後、政治は人がやるんです。政策は1人ではできません。多数が必要です」(2019年7月13日、愛媛県新居浜市での演説から)

 まさにそれが彼の課題です。国民から聞いてもらえる「Aという政治家」になるため、自分の言葉に“体温”と“体重”を乗せる。小泉進次郎という政治家の「言葉の力」の真髄は、カンペに書いてあるような整った文章ではありません。演説をする直前、5分、10分の隙間の時間で地元の名所をチラッと見たり、名物を食べたり、リアルな体験を重ねて言葉にする。社会保障や子育て論を語る上でも、そうした延長線上で自分も家庭を持つことによって「Aという政治家」になろうと思ったのではないでしょうか。

■いろいろ考えた上で「今日しかない」

 メディア戦略としてもピンポイントの狙いを感じました。ぶら下がり取材では「今日しかない」と言っていましたが、8月7日は水曜日なので、「週刊文春」「週刊新潮」の校了後。さらには合併号のタイミングなので、2週間は週刊誌が追いかけられません。一方、好意的に取り上げるワイドショーや情報番組は大々的に報道してくれます。芸能人的な判断に近いですよね。セルフプロデュースのうまい小泉さんだけあって、まさにいろいろ考えた上で「今日しかない」だったのだと思います。

 いわゆる結婚願望について、彼の口から直接的に聞いたことはありません。ただ、日々の生活の中で、1日5、6回は言われているのではないかと思います。遊説の場で握手していても、有権者からは「早く結婚しろ」と言われていますからね。常にプレッシャーはかかっていました。「これってハラスメントですよね」と苦しそうな表情で漏らしていたこともあります。

 プライベートな事柄については、記者が質問すると、黙ってちょっと睨んでくるような対応でした。

■父・純一郎は「結婚は遅くて良いですね」

 かつて小泉純一郎元総理に取材したときには、次男・進次郎さんの結婚について「結婚は遅くて良いですね。四十過ぎでいいよ、四十過ぎたほうがいいぞ。今、(長男の)孝太郎は三十七か。自由でいいじゃないか。何十年も一緒になるのは飽きちゃうぞと、ゆっくりでいいぞって言ってるんだ」と語っていました(『 小泉純一郎 独白 』より)。

 また、小泉さんは囲み取材の中で「政治家としてはまねしたくないが、父親としては小泉純一郎のような父親になりたい」と語っています。純一郎さんは、「子育て論」について私にこう話していました。

〈まずはしっかり抱いて愛情を注ぐ。泣いても怒らない。三歳くらいまでは、親に甘えてもいいんだから。とにかく怒ってはいけない。両親、きょうだいから自分は認められているんだ、大事にされているんだと小さな頃から思わせる。突き放すのも良くありません〉

〈孝太郎と進次郎がまだ小さかった頃には、野球が好きだったからせめてキャッチボールの相手くらいはしようと思って、そのためだけに東京から一時間以上かけて家に帰ることもありました。キャッチボールが終わると車に乗って、また東京にとんぼ返りです〉(『 決断のとき 』より)

■結果として入閣には近づいた

 小泉さんは、「自分は感覚としては亭主関白に近い」と語っていたこともあります。普段イノベーションをしきりに唱える小泉さんにしては、ちょっといまの世情とは合わないので意外に感じたものです。

 働き方改革や女性の社会進出が大きな政治的課題となっている中で、小泉さんが自分の改革路線に沿った生き方をできるのか。自分の妻のキャリアをどう支援するのか。子どもが無事に生まれたら、どこまで育児に参加するのか。結婚によって彼が男を上げられるかどうかは、これからにかかっています。これまで以上に一挙手一投足を注目されることは間違いありません。ややもすれば「滝川クリステルの夫」という評価が下りかねません。

 また、これまで永田町の“常識”では、政治家の妻は「分身」として地元を守り、選挙をもり立てるものでした。ところが、小泉家の場合はやや特殊なカルチャーがあり、小泉純一郎元総理は早くに離婚をしていて、奥さんがいなくても成り立つ選挙態勢を敷いてきました。小泉さんが2歳になる前に両親が離婚したので、幼い頃からもそういう風景を見てきたわけです。つまり、彼の中には、奥さんがいなければ地元が回らない、選挙ができないという発想がありません。そこは、他の世襲政治家との違いでしょう。

 政局的には、秋の組閣が1つの注目ポイントとなります。結果として厚生労働相、少子化担当相、社会保障の特命担当大臣などのポストに就かせやすくなったことは事実です。実は、最近の小泉さんは自ら掲げる改革が思うように進まず、政治家としては踊り場にありました。人気も一段落し、厳しい評価も見られるようになりました。ところが今回の結婚を機に、我が子の出産に立ち合いながら、子育て生活を語っていく。そんな前代未聞の“リアルタイム大臣”という新しい試みもあるかもしれません。

 そもそもが非の打ちどころのない二人です。一気にお祭りムードになっているのもうなずけます。ただ、お祝い事に水を差すつもりはありませんが、これは芸能人の結婚ではありません。今後も彼の政治活動をしっかりとチェックしていきたいと思います。

【訂正】滝川クリステルさんが小泉進次郎衆院議員を取材した場所について、「横浜のみなとみらい」と記しておりましたが、正しくは「新横浜」でした。お詫びして訂正します。

(常井 健一)

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