「ダイアナは幼すぎる」なぜチャールズ皇太子はプリンセスを愛せなかったのか 挙式前“破局のシグナル”

「ダイアナは幼すぎる」なぜチャールズ皇太子はプリンセスを愛せなかったのか 挙式前“破局のシグナル”

1981年7月29日、バッキンガム宮殿で結婚を祝福されるチャールズ英皇太子とダイアナ妃 ©ロイター/AFLO

 英民放ドキュメンタリーで、結婚式の1週間前から始まっていたダイアナ元英皇太子妃とチャールズ皇太子の“すれ違い”が明かされた。在英国際ジャーナリストの木村正人氏が、この番組から読み解ける英王室の「今後の課題」について解説する。

■カミラ夫人は「クイーン(王妃)」の称号に相応しいのか

「彼女は本当に可愛い。完璧なお嬢ちゃん。しかし幼すぎる。学校を卒業した歳には見えないし、ましてや結婚に相応しい年齢には見えない」――。

 12歳年下のダイアナ元英皇太子妃(故人)について、チャールズ皇太子が結婚式のわずか数時間前、友人に不安を漏らしていたことが、最近放送された英民放ドキュメンタリー番組で明らかになった。

 番組では自分はすでに結婚し、子供もいるのにチャールズ皇太子との不倫関係を続けたカミラ夫人の存在をダイアナが結婚前から疑っていたことが浮き彫りになっている。

 チャールズ皇太子がいずれ即位する時、カミラ夫人が「クイーン(王妃)」の称号に相応しいかどうか、改めて考えさせる内容だ。

 この番組は、英民放チャンネル5が7月、チャールズ皇太子とダイアナの結婚式までの1週間を証言で再現したドキュメンタリー「チャールズとダイアナ:結婚式の背後にあった真実」(原題「Charles and Di: The Truth Behind Their Wedding」)。番組は結婚1週間前の1981年7月22日から幕を開ける。

■4カ月の間にウエストが12.7センチ減った

◆7月22日
 ダイアナはウェディングドレスのサイズ合わせのため、当時はまだ無名だったエリザベス&デービッド・エマニュエル両氏の仕事場を訪れる。

 19歳でチャールズ皇太子からプロポーズされ、婚約したダイアナは貴族階級の出身。ふっくらとしたごく普通の女の子だった。エリザベスさんはダイアナの体から不吉な予兆を感じ取ったという。

 エリザベスさんは《ダイアナは4カ月の間にウエストが5インチ(12.7センチメートル)も減り、最終的にはモデル並みのサイズ23インチ(58.4センチメートル)になった。結婚式に合わせてウエストをさらに詰めなければならなかった》と番組で証言。拒食症の前兆だった。

 筆者はデービッド氏に取材したことがある。デービッド氏はこう語った。「結婚式場のセントポール寺院でも映えるように20世紀で最も長い25フィート(約7.6メートル)のトレインにした。ダイアナはロマンチックなおとぎ話やファンタジーが好きだった。大衆紙の取材攻勢を避けるため、窓はすべて覆い隠し、制作には少人数で取り組んだ」

■不倫を隠すために偽名イニシャルを使った「ブレスレット」

 このあとダイアナはチャールズ皇太子の私設秘書の机の上に「CPB」と書かれた小包を見つける。ダイアナの死後、チャールズ皇太子と結婚したカミラ(C)・パーカー(P)・ボールズ(B)夫人のイニシャルだった。胸騒ぎを覚えたダイアナは私設秘書にパッケージを開けるよう命じる。

 中に入っていたのは「G(グラディス)」と「F(フレッド)」の文字が絡み合った金鎖のブレスレットだった。ダイアナは以前にもチャールズ皇太子がカミラ夫人に贈った花束を見つけたことがあった。「フレッド」から「グラディス」と書かれていた。どうみても不倫を隠すための偽名だった。

 番組で証言した女性ジャーナリスト、イングリッド・スワード氏によると、《「どうしてそんなものを私以外の女性にプレゼントするの」と問い詰めるダイアナにチャールズ皇太子は「彼女にプレゼントを買っただけだよ。彼女とは良い友だちだから」》と取り繕ったという。

■「実は昨夜、チャールズ皇太子と大げんかをしたの」

◆7月23日
 バッキンガム宮殿で開かれた恒例のガーデンパーティで英大衆紙デーリー・ミラーの王室担当記者はとんでもないスクープをものにする。招待客から「お幸せに」と声を掛けられたダイアナが手で口を覆い「実は昨夜、チャールズ皇太子と大げんかをしたの。本当のけんかよ」と打ち明けた。

 前夜、チャールズ皇太子は結婚する新郎が男友だちだけを集めて騒ぐパーティーに参加しており、そのことを巡って口論になったのだ。翌日、部数700万のデーリー・ミラーの1面に「チャーリーは私にとてもイライラしているとダイアナ嬢は言った」と大見出しが踊った。

 番組によれば《チャールズ皇太子は周囲に「私は祖国のために正しいことをしたいが、後悔に生きることになるだろう」と語っていた。エリザベス女王の妹マーガレット王女も「チャールズの結婚相手が見つかり本当にホッとした。しかしカミラにはチャールズを諦めるつもりは毛頭なかった」と不安を漏らしていた》という。

◆7月25日
 英イングランド南部ティッドワースでチャールズ皇太子がポロの試合に興ずるのを見学していたダイアナはフォトグラファーに一挙手一投足をフォーカスされ、気分が悪くなって、途中退席する。泣き崩れていた。

 その5カ月前、ダイアナはクラレンスハウスのベッド上に置かれた手紙を発見してビックリする。カミラ夫人からのもので、ダイアナを昼食に誘っていた。2人きりの昼食でカミラ夫人が尋ねてきた。「あなたは危険なことが好きですか」

 意味が分からないダイアナが聞き返すと、カミラ夫人は「馬よ」と言った。ダイアナはようやくチャールズ皇太子の趣味である狩猟のことだと分かり、「行かないわ」と返事した。狩猟はチャールズ皇太子とカミラ夫人の密会の場だったのだ。

 ジャーナリストで『 ダイアナvsチャールズ 』の著者、クリストファー・ウィルソン氏は番組で《カミラ夫人は、ダイアナがチャールズ皇太子の心をとらえることはないと思っていた》と証言している。

■「結婚できないかもしれない」 ダイアナが漏らした不安

◆7月27日
 チャールズ皇太子は昼過ぎに外出。カミラ夫人に「G」と「F」が絡み合ったブレスレットをこっそり手渡すためだ。

《ダイアナは家族と昼食をとった時に「結婚できないかもしれない」と不安を漏らしている。結婚式の1カ月前、チャールズ皇太子は友人に「まだダイアナを愛していないが、愛せるようになるだろう」と語っている》

 アン王女の長女ザラさんの洗礼式には代父母(結婚の証人)の1人としてカミラ夫人も出席していたためか、ダイアナは欠席した。

 結婚式の最終リハーサルでダイアナはプレッシャーのあまり倒れた。ダイアナは「すべてのカメラの照明が向けられた。私は目を閉じて倒れた。あることのために」「カミラのことで頭がいっぱいだった。私は状況を受け入れるために大人になろうと必死だった。誰にも話すことはできなかった」と『 ダイアナ妃の真実 』などの中で告白している。

《その夜、バッキンガム宮殿で開かれた晩餐会でチャールズ皇太子がダイアナと踊ったのは1回きり。あとはダンスホールでカミラ夫人と一緒に過ごした。ダイアナはほとんど知らない人と話して時間を潰した。涙をこぼすダイアナを2人が目撃している》

■ダイアナとチャールズ「共通するものが何もない」

◆7月28日
《その夜、チャールズ皇太子も笑顔を見せず、窓の外を眺めた。目には涙を浮かべていた》

 ダイアナは、「結婚式の前夜は、とても冷静だったわ。すごく冷静だった。生贄として殺される羊になったような気持ちだったわ」と親しい友人に語ったという(『ダイアナ妃の真実』より)。

◆7月29日
 ダイアナは朝早く目を覚まし、結婚式当日を迎えた。

 番組で証言した前出のジャーナリスト、スワード氏によると、《チャールズ皇太子の周囲は「2人には共通するものが何もない。ダイアナは女子高生、チャールズ皇太子は大学教授のようだった。この結婚は悲劇に終わるだろう」と予感していた》。

■英国がEUと断絶する恐れが膨らむ中で

 ロイヤル・ファミリーの好感度ナンバーワンは昨年の世論調査によると、王位継承順位6位のヘンリー王子で国内外合わせて65%。第1子アーチーちゃんを生んだメーガン妃は22%。2番人気がエリザベス女王の55%。継承順位2位のウィリアム王子は47%、キャサリン妃は45%。チャールズ皇太子は17%、カミラ夫人は5%と断トツの不人気ぶりだ。

 英国が「合意なき離脱」で欧州連合(EU)と断絶する恐れが膨らむ中、チャールズ皇太子とカミラ夫人がこれだけ不人気だと英連邦から離脱する国が出てこないとも限らない。ダイアナものはある程度、視聴率が稼げる定番だが、番組は英国を覆う暗雲を予感させた。

(木村 正人)

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