身体には170の傷やあざ……結愛ちゃん虐待裁判、母の「死にたい」は本音か作戦か

身体には170の傷やあざ……結愛ちゃん虐待裁判、母の「死にたい」は本音か作戦か

夫の命令を「ロボットのように聞いていた」優里被告 ©共同通信社

「……死にたいです」

 東京都目黒区で昨年3月、船戸結愛(ゆあ)ちゃん(当時5)を虐待し死なせたとして、保護責任者遺棄致死罪に問われている母親の優里被告(27)。9月3日から東京地裁で開かれている裁判員裁判の被告人質問で、弁護人の問いかけに呆然とした様子でつぶやいた。

 社会部記者の解説。

「弁護人は、刑期を終えてからの生活について質問したようですが、優里は突然、うつむいたまま固まってしまった。何度か声をかけられ、やっと出たのが冒頭の言葉。弁護人も『今、死にたいの?』と聞き返すなど驚いた様子でした」

 優里は、結愛ちゃんに十分な食事を与えず、夫の雄大被告(34)の暴行も放置して死亡させたとして起訴された。初公判で弁護人は、雄大の「心理的支配下にあった」と主張。優里も「雄大の報復が怖くて通報できなかった」などと訴えた。

 ところが裁判が進むに連れ、優里の発言は不安定に。雄大の影響を強調しつつも、ふいに自分を責める言動も飛び出すようになる。

「証人尋問では、結愛ちゃんを診察していた小児科の女性医師が証言。『つらかったのはわかるが、罪を軽くしてほしいとは全く思わない』と結愛ちゃんの立場から厳しく指摘すると、苦しそうにむせび泣いていました」(同前)

■消防隊員も涙を浮かべた凄惨な現場

 裁判では雄大とはすでに離婚し、残された息子の親権者になっていることも明らかに。弁護人としては「死にたい」気持ちより、刑期終了後に息子を養育する意思を裁判官らに見せたかったはずだが、「怒りを雄大にぶつけるべきじゃないし環境のせいでもない。どうやって償っていいか分からない。どうすればいいか助けてほしい」と高い声で泣き叫ぶシーンもあった。

「夫のせいなのか、自分の責任なのか。息子を育てたいのか、死にたいのか……。矛盾するような内容に、被告としての作戦と自身の本音が混在しているようにも見受けられます」(同前)

 一方で、被告らに過酷な勉強や食事制限などを課された結愛ちゃんが、「もうおねがい ゆるしてください」などとノートに“手紙”の形でSOSを書き残していたことも確認された。死亡時、結愛ちゃんの身体には170以上の傷やあざがあったことも判明。息を引き取ったときには骨と皮だけに見えるほどやせ細っていたという。

 現場に駆けつけた大柄な消防隊員も法廷で涙を浮かべ、「25年勤務しているがこのような事案はない。隊員も凄惨さにショックを受けていた」と証言した。

 検察側は懲役11年を求刑。注目の判決は9月17日に言い渡される。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年9月19日号)

関連記事(外部サイト)