東京3大「天ぷらのうまい立ちそば」 亀有の名店で聞く「消費税10%で値上げする?」

東京3大「天ぷらのうまい立ちそば」 亀有の名店で聞く「消費税10%で値上げする?」

常磐線亀有駅改札を北側に出ると小さなロータリーが広がっている

 天ぷらのうまい立ち食い大衆系そば屋といえば、人形町の「福そば」、小伝馬町の「田そば」、そして亀有の「鈴しげ」である。

「鈴しげ」はまた、綾瀬の「会津」、金町の「そばっ子」と並んで、東京都下常磐線沿いのうまい立ち食い大衆系そば屋として有名である。

■昭和50年創業の名店

 常磐線亀有駅改札を北側に出る。こち亀の両津さんに挨拶して、ロータリーを北へ歩いて行き、すぐを右折、しばらく進むと青い綺麗な看板の「鈴しげ」に到着する。

「鈴しげ」は昭和50年の創業だ。大将に話をうかがうと、以前は世田谷の三軒茶屋に住んでいたそうで、大変な蕎麦好きで脱サラで「鈴しげ」を始めたそうだ。

 ちなみに「鈴しげ」の「しげ」は、大将の奥さんの名前「鈴木しげ子」さんと、祖父の名前から拝借したそうだ。そして、2001年からお店に加わった若大将の名前も「鈴木一重」さん。なんと「しげ」の系譜は守られているというからすごいことだ。

 9月に入った土曜日の昼下がり、4年ぶりに「鈴しげ」を再訪したのだが、若大将も覚えていてくれて、嬉しい限りだ。

■120円の春菊天、ごぼう天、にんじん天……

 店はL字型でカウンターに丸椅子が並ぶ。店内は明るく、いつ来てもたいへん綺麗である。店に入ると、まず、天ぷらが並んだショーケースが目に飛び込んでくる。

 かき揚げ、玉ねぎ天、春菊天、ごぼう天、にんじん天、さつまいも天、なす天、舞茸天などの野菜系の天ぷらがすべて120円。他に季節の天ぷらも見逃せない。ししとう天、空芯菜天、大葉天、三つ葉天、モロヘイヤ天、オクラ天、タラの芽天、菜の花天などが季節に合わせて登場する。げそ天、あじ天、いか天などの魚介系の天物も人気のようだ。

 そして、どれも繊細かつカラッと揚げられていて、揚げ姿が美しい。

■冷たいつゆと春菊天の相性がバツグン

 まだ、残暑も厳しかったので、「冷やし春菊天そば」(450円)を注文した。

 若大将が、麺茹で後丁寧に水洗いして冷水にさらして、冷やし用のつゆをかけて、春菊天を載せて登場した。春菊天は細長く刻んだかき揚げスタイルでソフトな食感である。揚げ具合もちょうどよい。程よい大きさで、ほぐれ具合がなかなかよい。油切りもよく、冷たいつゆにひたして食べるとまたこれが旨い。そばは近隣の製麺所の茹で麺だが、コシもあり、冷やしで食べるのもなかなかよい。

 そして、そのつゆはまず昆布の出汁がじわっと、そしてかつお出汁が追いかけるように利いたタイプで上質な味である。返しは濃すぎることはなく、甘みも少ない奥行きの深いつゆである。

 などと感心しながら食べていたらあっというまに平らげてしまった。

■自作の「にんじん天丼」もすこぶるウマい

 そこで、半ライスににんじん天を注文し、自作の「にんじん天丼」を食べてみることにした。すると若大将が温かいかけつゆをどんぶりに入れてくれたので、それを少しかけまわして食べると、これがまたすこぶる旨い。お米も旨い。「立ち食いそば屋の天丼は自作に限る」と再認識。

 若大将に「天ぷらを揚げるとき一番注意すること」を聞いたところ、キャノーラ油100%を使い、時間が経ってもへたらない様に粉は多め、水は少なめにして、衣は薄くするように揚げているという。そして、そばを出す時は、“真心を込めて”作ることを一番注意しているという。

■「冷やしモロヘイヤ天そば」も追加

 若大将と話していると、背後に季節物の「エジプト原産 モロヘイヤ天」の張り紙を発見して、スイッチが入ってしまった。さらに、「冷やしモロヘイヤ天そば」(450円)を追加発注。初めて食べるモロヘイヤ天はサクッとした食感で、天種としてはかなり秀逸である。これはいいアイデアだ。別の日に食べた「冷やしにんじん天そば」、温かい「モロヘイヤ天そば」も絶品だった。

■「10月の消費税10%で値上げは?」

 最後に10月の消費税10%の対応を聞いてみると、「かつお節とイカの高騰で一度値上げをしたので、しばらくはこのままの値段で行きます」との力強い言葉をいただいた。

 久しぶりの「鈴しげ」を堪能し、店を後にした。

「鈴しげ」の後味は最高だ。清潔感あふれる店。天ぷらの秀逸さ、つゆのうまさ、麺・天ぷら・つゆのバランスの良さ、すべてが決して重くなく丁度よい。「大人のおやつ」として食べるのにピッタリという感じである。改めて「鈴しげ」に感心しきりとなったわけである。

 亀有と「鈴しげ」。明るい下町の名コンビといったところだろうか。また食べに来ようと思う。南口の商店街に香るうなぎのかば焼きのにおいに鼻腔をくすぐられながら帰路に着いた。

写真=坂崎仁紀

INFORMATION

鈴しげ

住所   東京都葛飾区亀有5-44-5

営業時間 6:00〜20:00

定休日  火曜日

(坂崎 仁紀)

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