広島県尾道市で「膵がん」の5年生存率が“全国平均の2倍以上”になっているワケ

広島県尾道市で「膵がん」の5年生存率が“全国平均の2倍以上”になっているワケ

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 食べたものを溶かす膵液や、血糖コントロールに欠かせないインスリンなどのホルモンを分泌する膵臓。消化器に分類されるが、胃や大腸と違って臓器そのものが痛みなどの症状を発することが少ないため、糖尿病の人を除けば、日常生活でこの臓器を意識する機会はあまりない。

 だが、そんな膵臓も「がん」となると途端に存在感を示してくる。

「見つかった時には手遅れ」「あっと言う間に命を落とす」

 そんな恐ろしい情報だけが付きまとい恐怖を植え付ける。

■5年生存率はわずか9.6%

 確かに膵がんの治療成績はよくない。2019年8月8日に国立がん研究センターが発表した「がん診療連携拠点病院等院内がん登録生存率集計」によると「がん全体」の5年生存率66.1%に対して、膵がんはわずか9.6%に過ぎない。生存率が一桁なのは膵がんだけで、一般的に治療が難しいとされる肝がんでも40.0%、肺がんが40.6%、食道がんが44.4%だ。

 現代人に脅威として立ちはだかる膵がん。しかし膵がんも最初から「手遅れ」の状態で生まれるわけではない。他のがんと同じく「早期」から始まってステージを進めていく。問題はその成長が極めて速く、またその段階で自覚できる症状がきわめて乏しい点だ。

■膵がんを超早期で見つけだす「尾道方式」とは?

 そんな見つけるだけで難しい膵がんを広島県尾道市では早期も早期、「ゼロ期」という超早期で見つけだし、治療に結びつける取り組みで成果を上げているという。

 その取り組みは「尾道方式」と呼ばれる。07年から始まった「尾道方式」の膵がん早期診断プロジェクトは成果をあげ、07年以降のJA尾道総合病院における膵がん患者の5年生存率は18〜21%と、がん拠点病院の全国平均の倍以上の成果を上げているのだ。そうした成果もあり、尾道市はいま「膵がん診断先進都市」として注目され、尾道方式を参考にした動きが全国に広がり始めているという。

 尾道方式の何が画期的だったのか。難発見がんの「ゼロ期治療」を実現させたのは町医者の連帯が決め手だった―― 「 文藝春秋」10月号 「すい臓がん『尾道方式』で早期発見できる」で、医療ジャーナリストの長田昭二氏が詳細なルポを発表している。

(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2019年10月号)

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