ラグビーW杯の今こそ言いたい「ラグビーとアメフトちょいちょい間違われる問題」

ラグビーW杯の今こそ言いたい「ラグビーとアメフトちょいちょい間違われる問題」

福岡堅樹(中央)の決勝トライに日本全国が胸をアツくした ©JMPA

 ラグビー日本代表、アイルランド撃破!

 世界ランク2位の強豪相手に堂々渡り合い、競り勝った試合には世界中から称賛の声が上がった。特に誰一人手を抜くことのなかった波状タックルのディフェンスは、見ているこちらを熱くさせてくれた。

 4年前のW杯での南アフリカへのジャイアントキリングと比べても、勝るとも劣らない大金星??。

■「私がやっていたの、アメフトなんです……」

 一方で試合後、4年前と同じく、周囲の人からもこんな言葉をかけられた。

「日本代表、すごかったですね! 経験者としても鼻が高いんじゃないですか」
「タックルって痛くないんですか?」
「今度ラグビーのルール教えてくださいね」等々……。

 確かにラグビーは初めて見た人からするとルールが分かりにくく、実際にやったことがないとタックルの激しさも伝わりにくいのかもしれない。近くに経験者が居れば、そこに話を聞きたいと思うのはごくごく普通のことだと思う。

 でも、ちょっと待って! 私がやっていたの、アメフトなんです……。

 そう伝えると大抵、次はこんな一言が飛んでくる。

「え、じゃあラグビーとアメフトって何が違うの?」

■「……だいたい一緒です!」

 大学から社会人にかけてアメフト歴6年。一体何度同じ質問をされただろう……。これは両スポーツの経験者ならわかると思うけれど、信じられないくらいよく聞かれる質問だと思う。

 最初は「アメフトは前にパスができて、ラグビーは後ろにしかパスができなくてですね」とか丁寧に説明していたけれど、途中からあまりに良く聞かれる上に、なかなか理解されないので、「だいたい一緒です!」とぶん投げるようになってしまった。

 確かに、一見すると両競技には共通項が多く見える。

 これまでも、例えば女性誌で「ラグビー日本代表のイケメンを探せ!」的な企画にもかかわらず、モデルさんが持っているボールがアメフトのボールということも多々あった。テレビ番組でボールが間違えられることは日常茶飯事で、ちなみにお手持ちのスマホの某無料通話アプリで「ラグビー」と打ってもらえると、出てくる絵文字がアメフトボールだったりもする。

 どちらもガタイの良い選手が多く、タックルで相手を止める。使うのは楕円球で、フィールドの端までボールを運ぶか、キックでポールの間を通すと点が入る。

 そんな共通項が、2つの種目を似ていると感じさせているのかもしれない。

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■アメフトは野球に似ていて、ラグビーはサッカーに似ている?

 ただ、実はこの2競技、似ているようで全然違うタイプのスポーツなのだ。

 良く言われるのが「アメフトは野球に似ていて、ラグビーはサッカーに似ている」ということ。

 野球には攻守交代があり、攻めと守りが明確に分れている。アメフトも同様で、簡単に言えば「4アウトまでに10ヤード進めなかったら攻守交代」ということを繰り返すイメージだ。攻守のメンバーは基本的に完全に別の選手が務め、1プレー毎にプレーが止まる。その都度ヘッドコーチの指示を仰ぐ時間もある。また、選手交代は何度でも可能で、同じ選手がプレー毎にフィールドとベンチを行き来することもよくあるケースだ。

 一方でラグビーはサッカー同様、攻めと守りが流動的だ。ボールを奪われればすぐさま各選手が攻めから守りに変わり、反則等を除けば試合が止まるということは基本的にない。全選手が攻守両方を行い、選手交代で一度ベンチに下がった選手は再びピッチに立つことは出来ない。

 そんな背景があることもあり、アイルランド戦の日本代表が、試合前に全員で肩に手を当ててロッカールームに戻って行ったり、ハーフタイムにチーム全員で後半に向けた話し合いをするというのは、アメフト経験者としては非常に新鮮に見えた。アメフトでは攻守のチームごとにベンチは別だし、試合中にオフェンスとディフェンスの選手が戦術の相談をすることはほとんどないからだ。

 もっと言えば、試合中にオフェンスチームとディフェンスチームでガチ喧嘩をすることすら(ごくたまにだが)ある。ブレイブブロッサムズの一体感、うらやましい……。

■アメフト視点「ラグビー選手の独創性はスゴい!」

 また、その場の創造性が生むキックパスや選手同士の感覚だけで行うノールックパスといった「阿吽の呼吸」が求められるプレーもすごいと感じた。

 アメフトはひとつひとつのプレーで各選手の役割が非常に細かく決められている。そのため、基本的に「それぞれの選手が過不足なく自分の役割を果たせば良い」という形が取られている。なので、こういったプレーヤーたちのその場の判断でプレーが生み出されていくということは少ない。その分、今回のラグビーW杯で目にしたそういった独創性あふれるプレーの数々は見ていて非常に楽しそうだった。

 田村優の冷静な試合運びとキック、福岡堅樹の抜群のスピードを活かした突破、中村亮土の後ろを顧みないフルタックル等々、それぞれの選手の個性が顕著に活きたプレーはラグビーならでは。自分も松島幸太朗みたいな変則ステップもしたかったけど、きっとやったら「走るコースを守れ」とコーチに死ぬ程怒られていたと思う。

 ちなみに今大会のアメリカ代表には元NFL所属のポール・ラシケ選手も参加しているが、チームも含めて活躍はいまひとつ。また、前回W杯で活躍した某日本人選手はその後、NFLのトライアウトを受けたが、その壁はやはり高かったと聞く。一見似ているようで、両競技で活躍するのはなかなか難しいことなのだ――。 

 さて、ここから先はサモア戦、スコットランド戦と日本代表もますます厳しい戦いが待っている。史上初の決勝トーナメント進出に向けて、今後の試合も楽しみに観戦しようと思っている。頑張れ、日本代表。

……あ、9月からはNFLも開幕しているよ!

(山崎 ダイ)

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