タフマンは8%でユンケルは10%……やっぱりおかしい軽減税率が遂にスタート

【消費税が10%に引上げ】ドラッグストアで疑問も 市販の医薬品は軽減税率の適用外

記事まとめ

  • 10月1日より消費税が10%に引き上げられ、軽減税率の導入が始まった
  • 市販の医薬品は10%だが、一部の栄養ドリンク、健康食品には軽減税率が適用されている
  • リポビタンDは10%だがオロナミンCやタフマンは8%だといい、疑問を感じる人もいる

タフマンは8%でユンケルは10%……やっぱりおかしい軽減税率が遂にスタート

タフマンは8%でユンケルは10%……やっぱりおかしい軽減税率が遂にスタート

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 10月1日、消費税の標準税率が10%に引き上げられるとともに、飲食料品などの生活必需品を8%に据え置く軽減税率の導入が始まりました。増税前に日用雑貨品の買いだめや、高額品の駆け込み買いをした人も多かったのではないでしょうか。

 増税直前の9月末、私も「花粉症薬」の買いだめを検討しました。ドラッグストアなどで購入できる市販の医薬品が軽減税率の適用外であること、つまり消費税が10%かかることを遅ればせながら、最近になって知ったからです。

 ちなみに、私が毎シーズン買っている花粉症薬の使用期限は、「出荷時点から使用期限終了まで1年以上」だそうです。ですから、来シーズン用の買いだめも不可能ではありません(早めにまとめ買いをする際は、使用期限等を確認したうえで購入してください。また、薬は日光の当たらない湿気の少ない涼しいところで保管してください)。

 私は30年来の花粉症で、毎年春先になると激しい目のかゆみ、くしゃみ、鼻水、鼻づまりに悩まされます。そのたびに、ドラッグストアで買った花粉症薬を飲んで、スギ花粉の飛散が終わるまでの1〜2か月間を耐え忍んできました。

■薬代の負担増は無視できない

 花粉症薬(抗ヒスタミン薬)というと、以前は飲むと眠くなる困った副作用がありました。それが2011年に、それまでは医師の処方箋がなければ使えなかった第2世代の抗ヒスタミン薬がドラッグストアなどでも買えるようになりました。ちなみに、処方箋なしに販売できるようになった医薬品のことを、医薬用語で「スイッチOTC」と言います。

 スイッチOTCの花粉症薬を気軽に入手できるようになり、私は仕事中にウトウトすることなく、花粉の猛攻撃をしのげるようになりました。第2世代の抗ヒスタミン薬を開発してくれた研究者や製薬会社の方々には、本当に感謝しています。

 ただし、この薬は高いのです。私がよく利用しているブランド薬A(有効成分20mg配合)の希望小売価格(9月末時点)は、6錠入りで税込み1490円、1錠あたり約248円もします(12錠は2138円で1錠あたり約178円、24錠は3866円で1錠あたり約161円)。

 1日1回飲めば効くとはいえ、2か月毎日飲み続ければ、薬代が10000〜15000円かかる計算です。さらに10月からは増税分2%がプラスされますから、トータルで200〜300円ほどアップする計算です。花粉症薬を使う期間は限られているとはいえ、毎日「1円でも安く」と家計をやりくりしている人にとっては、無視できない負担増かもしれません。

■オロナミンCは8%、リポビタンDは10%

 それに、軽減税率のことを調べてみて、首をかしげざるを得ないこともありました。市販の医薬品は10%の標準税率となっているのに、一部の栄養ドリンク、健康食品、サプリメント、トクホ等には、8%の軽減税率が適用されているのです。

 たとえば栄養ドリンクの場合、リポビタンD、アリナミン、リゲイン、ユンケル、チオビタドリンクなどは10%です。しかし、同じような容器の形状で、同じ棚に並んでいることの多いオロナミンCやタフマンは8%、レッドブル、モンスターエナジーなど最近流行りのエナジードリンクも8%となっています。

 その違いはどこにあるのでしょうか。それは「食品」であるかどうかです。リポビタンDやアリナミンなどは「医薬部外品」と表示されています。「医薬品」「医薬部外品」などは「食品」には該当しないので、軽減税率は適用されません。しかし、オロナミンCやレッドブルは「炭酸飲料」や「清涼飲料水」なので「食品」にあたり、8%となるのです。

 健康食品、サプリメント等も「医薬品」「医薬部外品」にあたらず、「食品」扱いなので8%。また、トクホの略称でおなじみの特定保健用食品や、機能性表示食品、栄養機能食品といった、健康にいいとされる成分が入っている「保健機能食品」も、「食品」なので8%なのです(なお、「アリナミン」「チョコラBB」「ハイチオール」といったビタミン剤は「医薬部外品」なので10%)。

■医薬品こそ生活必需品ではないのか?

 これを知って、みなさんはどう思われましたか? 私はキムタク風に「おい、ちょ待てよ」と言いたくなりました。栄養ドリンク、健康食品、サプリメント、トクホなどは「薬」ではないので、表示できる内容が法律で制限されています。なのに、まるで何かに効く「薬」であるかのようなフリをして、宣伝されることも少なくありません。

 しかし、こんなときだけ「食品」扱いになって、軽減税率が適用されるのです。それに、栄養ドリンク、健康食品、サプリメント、トクホなどは食品と言っても多くがふつうの食品より割高です。いわば「ぜいたく品」であり、生活必需品とは言えません。

 むしろ、花粉症薬のような医薬品こそ、生活必需品ではないでしょうか。これがなければ私は、花粉症のシーズンにまともに仕事をすることができません。頭痛持ちや生理痛に悩む人には痛み止めが欠かせませんし、切りキズには絆創膏が必要です。なのに、なぜ10%なのでしょうか。

■国民医療費は膨らみ続けているが……

 それに、実は花粉症薬をめぐっては、もう一つ問題があります。この8月末、企業の健康保険組合で構成する「健康保険組合連合会(健保連)」が、スイッチOTCの花粉症薬を医療保険から外して全額自己負担にすべきだという提言をしたのです。

 現在、スイッチOTCの花粉症薬はドラッグストアで買えるだけでなく、医療機関で医師の処方箋をもらえば、保険で手に入れることができます。働き盛りの世代なら3割負担ですから、「薬代」だけ見ればドラッグストアで買うより「お得」です(ただし、医療機関にかかれば初診料や再診料、調剤基本料がかかりますので、健保連はそれらも含めるとドラッグストアで買う方が安いと説明しています)。

 なぜ、健保連がこのような提言をしたかというと、国民医療費が膨らみ続けて、医療保険財政の破たんが懸念されているからです。ちょうど9月末、厚生労働省が2018年度の概算医療費を発表しましたが、2年連続の増加で過去最高の42・6兆円となりました。

■税制はわかりやすく、納得できるものであるべき

 日本は医療保険制度が維持されているので気づきにくいかもしれませんが、この莫大なお金は、すべて私たち自身の財布から出ています(給料などから引かれる保険料、医療機関で支払う自己負担金、社会保障費からの補てんなど)。

 近年は、がんの免疫治療薬として有名な「オプジーボ」や、白血病や悪性リンパ腫の治療薬「キムリア」など高額な薬が次々に登場し、薬剤費の高騰が問題視されています。そのため、少しでも医療費を節約するために、「ドラッグストアで買える薬は、みなさん自腹で買ってください」ということなのです。

 ちなみに健保連は、もし花粉症薬をすべて保険から外せば、年間で約600億円ひねり出せるとソロバンをはじいており、これによって高額薬の財源をかなり賄えると主張しています。一方、日本医師会側は「患者が受診を我慢して重症化することも懸念される」などと、健保連の提言に反発しています。

 日本医師会の抵抗が強くて実現しない可能性もありますが、厚労省や健保連が押し切れば、近い将来、花粉症薬は全額自腹で買うことを強制されるかもしれません。そうなったら、健康食品やサプリメントが8%なのに、花粉症薬が10%というのは、より「納得いかない感」が強くなるのではないでしょうか。

 こうした医薬品の扱いに限らず、今回の消費税の軽減税率導入は、いろんなところで混乱や不満を呼びそうです。もっとシンプルでわかりやすく、納得できる税制に改善していく必要があるのではないでしょうか。

参考)
・ 国税庁「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」    
・ 消費税・軽減税率情報Cafe「医薬品、栄養ドリンク、健康食品は軽減税率の対象になる?」
・ 健康保険組合連合会「次期診療報酬改定に向けた政策提言を発表」
・「花粉症薬『保険外し』提言の現実味」(医薬経済2019年9月15日号)ほか

(鳥集 徹)

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