《台風猛威の最前線レポート》八丈島の実践的対策 過去30年で初めてのガソリンスタンド休業も

《台風猛威の最前線レポート》八丈島の実践的対策 過去30年で初めてのガソリンスタンド休業も

©文藝春秋

「台風19号が近付いています。最大瞬間風速65メートル、波の高さ13メートルが予想されています。懐中電灯の準備など台風への供えをお願いします、非常時以外の外出はしないでください」

 島には頻繁に防災無線が放送されていた。「過去最強クラス」などと言われる台風19号。毎年多くの台風が上陸し、「台風の対策にも馴れている」という伊豆七島南部の八丈島の島民たちも「今回は異例だ」と話していた。直撃直前の10月11日夕刻、風雨は横から叩きつけていた。

 地元スーパーには食料品を求める多くの地元民が訪れていた。

「普段の台風ぐらいだと当日に買い出しに行ったりもするけど、明日は外に出られないだろうし、船も当分来ないので流通が止まる。そうなるとどうしても4、5日は食料が入ってこない。冷凍食品は停電を考えると買っても仕方がないから、備蓄できるものを買っておかないと……。ただ、値段もいつもより高いんだ」(地元住民)

 スーパーでは通常より3割以上の量を仕入れたというが、水、カップ麺、パン類などの棚はすっかり空になっていた。100円ショップでは懐中電灯、乾電池、ビニールシートのほか、養生テープも売り切れていた。

「台風で一番怖いのは風。窓ガラスが割れると、そこから風が吹き溜まり屋根が飛ぶ、だから窓を守らないといけない。逆に傘は台風では横風で意味がないからまったく売れません」(100円ショップ店員)

 窓ガラスを守るため、島の民家では雨戸を閉めるのは当たり前。大きな窓ガラスのあるガソリンスタンドの対策はこうだ。

「大きな車を繋げて窓ガラスの前に置いて風の対策にします。看板などが飛んでくるのが一番怖い。島では昔から台風対策で店の看板などは小さくしているのですが、それでも台風のときには凶器になり得る。この30年間、台風で店を閉めることは一度もなかったけれど、今回が初めてです」(ガソリンスタンド店員)

 10月11日(金)16時、海沿いでは高波が防波堤を打ちつけ、波しぶきがどんどん大きくなる。普段は子供たちが飛び込む遊び場も波がうねりを上げ、渦ができている。八丈島町役場では早くから、お年寄りをはじめ20人以上が自主避難をしていた。

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「最近、大きな台風が直撃していないから木が育っていて、その街路樹が倒れて、おそらく停電にもなる。電柱が折れたり、風で屋根が剥がされたり、車が横転することもあるだろう。それは仕方がない。あとはどこまで自分たちで被害を少なくするかです」(地元住民)

 台風19号は非常に強い勢力を保ったまま、10月12日の夕方から夜にかけて、東海や関東に上陸すると見られている。

(「週刊文春デジタル」編集部/週刊文春デジタル)

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