きょう即位の礼??林真理子「雅子さまの肉声メッセージを切に願う」

きょう即位の礼??林真理子「雅子さまの肉声メッセージを切に願う」

天皇皇后両陛下 ©JMPA

 令和元年、雅子さまが皇后になられた。 10月22日には、新天皇の即位を国内外に宣言する「即位礼正殿の儀」が行われる。 当時の皇太子殿下と雅子さまが結婚されたのは、平成5年、今から26年前のことだった。皇室を見守ってきた林真理子さんが雅子さまに寄せる思いを綴った。 ※「週刊文春」2019年8月15・22日号より転載

 令和に入ってからというもの、雅子さまのご活躍は本当にめざましい。

 トランプ大統領、マクロン大統領と来賓が続いたが、実にご立派に対応なさっていた。語学力もさることながら、その美しさ、ものごしの気品に、「さすが」と胸を撫でおろした国民も多かったに違いない。

 思い返すと、平成は雅子さまにとっておつらいことが続いた。ご自身の適応障害がなかなか完治せず、ご公務も欠席なさることが増えた。この雅子さまの精神状態に呼応して、愛子さまも落ち着かれなかったようだ。不登校と書きたてられたことは記憶にあたらしい。

 さぞかしご心配であったろう。愛子さまの学校行事についていかれた雅子さまを、

「公用車つらねて」

「ホテルのスイートルームに泊まって」

 とまた週刊誌が書きたてる。中には「異様な母子」という表現を使ったところもある。どうしたら雅子さまが回復なさるのか、皇室はこれからいったいどうなるのかと、識者が論議している中に、ある評論家が、

「皇后になられれば、きっとすべて解決する」

 と書いていて、いくらなんでも楽観視し過ぎると私は思ったものだ。

 ところがどうだろう。皇后になられたとたん、雅子さまは急にいきいきと活躍し始めた。責任感のお強い方であるから、覚悟を決めたこともあるであろうが、笑顔の晴れやかさが違う。負担が大きいと避けられてきたお着物もお召しになられるようになった。

 おそらく、昨年五月の日本赤十字社全国大会において、美智子さまから、

「次はあなたの番ですよ」

 と優しく促されたのがきっかけだったと思う。そしてお出ましになれば、国民からの熱烈歓迎を受ける。もともとイジワルだったのはマスコミだけで、国民の大半は雅子さまのことが大好きであった。ご本人はそのことを確認なさり、さらに自信に繋(つな)がったのであろう。

 そして雅子さまがお元気になれば、愛子さまも活発になられる。子どもを学習院に通わせている知人も証言していることであるが、成績は抜群、何よりお人柄が素晴らしく学校のアイドルのような存在だというのだ。こうした評判から、いつしか「愛子さま天皇待望論」が起こるようになった。

■私たちは、雅子さまの肉声を聞いていない

 本当に万々歳というところであるが、私はあることに気づいた。これはある週刊誌も指摘していることであるが、私たちは雅子さまの肉声をこの十数年まるで聞いていないのである。愛子さまの誕生記者会見と思うが、

「生まれてきてくれてありがとう」

 と涙ぐんでおられたのが最後であった。

 私たちは国賓に話しかける雅子さまの流ちょうな英語を全く耳にしていない。天皇に話しかけられる時も音声は聞こえてこない。

 どうかご自分の声で、ご自分の考えを私たちに一度お聞かせ願いたいとせつに思う。令和初の十二月のお誕生日会見では、ぜひ皇后になられた抱負をお聞かせいただきたいし、おりに触れての記者会見にもお答えいただきたいものだ。

 それともうひとつ、私が危惧していることがある。天皇ご一家の人気が高まるにつれて、秋篠宮家が非難にさらされるようになっているのだ。眞子さまのご結婚延期がきっかけで、書かれ放題、叩かれ放題である。

「何もここまで……」

 と呆然とするような記事もある。

 いつのまにか紀子さまがヒール役を担わされてまことにお気の毒である。ご婚約の時の、愛くるしく清楚な「紀子ちゃん」を知っている者にとって、昨今の「皇室顔」となられた紀子さまにはあまり親近感がわかない。それでもいつのまにかヒール役を負わされていて、私は憤っているのである。

 皇室に人気者とヒールがいていいはずがない。メンバーの方々がすべて国民から敬愛され、誇りに思われている。この状態が続かなくては、令和の皇室はあやういことになるはずだ。

 どうか雅子さまは秋篠宮家に寄り添ってほしい。公の場で親し気に、紀子さまや眞子さまと話し込む姿を見せてくださるだけで、国民は安心するであろう。そして実際にも相談にのっていただけたらと私は考えるわけだ。

■本を愛された美智子さま

 思い起こすと、いや思い起こさずとも、前の皇后、美智子さまは素晴らしい方であった。女性として人間として、これほど完璧な方は、もはや出てくることはあるまい。なぜなら美智子さまは戦争を体験なさっていたから。身近な方の死や、街の壊滅によって人生観を養(やしな)われた。そして美智子さまは本を愛された。公務を離れたら何をなさりたいですかとの問いに対して、読書をあげられたほどだ。

 雅子さまにも本について語っていただきたいと、物書きの私は心から願う。おそらくたくさんの読書体験がおありだろう。翻訳されていないものでも構わないから、何冊かあげていただきたいものだ。好きな本について知るのは、その人の内面について知ることでもあるので、おさしつかえない程度でいい。日本の皇后は、常に本を愛する方でいていただきたいのだ。

 ところで最新の報道によると、御養蚕所にいらっしゃるのをドタキャンなされたとのこと。お蚕(かいこ)のあの形とにおいは、慣れない方にとってはお嫌かもしれない。これからもさまざまな理不尽で理解しづらいことは山のようにあるはずである。耐えてくださいとは言わない。改革してくださいなどと言えるはずもない。が、変わっていくものは自然と変わっていく、いい時代が来ているはずだ。

 ご病気を克服されて、更にひとつ聡明に強くなられた雅子さまのメッセージを早く聞きたいものだ。

(林 真理子/週刊文春 2019年8月15・22日号)

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