「泰葉の56歳で子づくり宣言」「武井咲妊娠」と産婦人科医のホンネ

泰葉が56歳で子づくり宣言 坂上みきや野田聖子議員、金田朋子も40歳・50歳代で出産

記事まとめ

  • 泰葉は婚約会見で、56歳という年齢であるにもかかわらず、子づくり宣言までした
  • ラジオパーソナリティの坂上みきは53歳、野田聖子議員は50歳、金田朋子は44歳で出産
  • インドでは70歳の女性が出産した例もあるため、泰葉の妊娠・出産も夢ではないとのこと

「泰葉の56歳で子づくり宣言」「武井咲妊娠」と産婦人科医のホンネ

「泰葉の56歳で子づくり宣言」「武井咲妊娠」と産婦人科医のホンネ

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 先月20日、春風亭小朝さんの元奥さんで、シンガーソングライター・泰葉さんの婚約会見にはびっくりしました。

 婚約相手が、フェイスブックで知り合い、会ったばかりという年下のイラン人男性だったからだけではありません。56歳という年齢であるにもかかわらず、子づくり宣言まで飛び出したからです。泰葉さんは、会見で次のように語っておられます。

「女性として、どうしても子どもを作りたい。どういう風に作るかはわかりませんが、今は医療技術も発達している。彼の血筋を残したい。たくさんの子どもを育てたいので引退をします」

■72歳で妊娠・出産というニュースも

 これを聞いて、「56歳にもなって、妊娠できるの?!」と思った人も多かったのではないでしょうか。私も疑問に思ったのですが、ネットで調べると昨年4月19日、なんと 72歳のインド人女性が体外受精によって妊娠・出産したというニュース がありました。

 夫は79歳で、結婚して47年間子宝に恵まれなかったそうです。しかし、同じくインドでは06年に70歳の女性が女児を出産しており、08年には66歳の女性も三つ子を出産したとのこと。これを報じた記事を新聞で読んで、夫妻は不妊治療センターに通うことを決意したのだそうです。

 日本でも、60歳の人が妊娠・出産した記録があり、高齢出産を果たした有名人もたくさんいます。12年には、ラジオパーソナリティの坂上みきさんが6年間の不妊治療の末、53歳で男の子を出産しました。また、その前年には現・総務大臣の野田聖子衆議院議員が米国で卵子提供を受け、50歳で出産。障害を抱える息子さんの闘病と成長をテレビで公開し、話題を呼びました。

 最近では今年6月に、おしりかじり虫の声優でタレントの金田朋子さんが、44歳で女の子を出産なさっています。ほんとうに、おめでたいことです。

 このような例がありますから、泰葉さんの妊娠・出産も夢ではありません。イランで(?)夢が叶って、今度こそ幸せになられることを、蔭ながらお祈り申し上げます。

■41歳で40%……急増する流産率

 ただ、20代、30代の女性の方々には、こうしたニュースを読んで、「医療技術が進歩しているから、妊娠・出産はまだ大丈夫」と思わないでほしいのです。というのも、ご存知の方が多いとは思いますが、女性は年齢が高いほど妊娠しにくくなり、妊娠したとしても出産のリスクが高くなるからです。

  日本産婦人科学会が公表している2015年のデータ によると、女性が体外受精などの不妊治療(ART=生殖補助医療)を受けた場合の妊娠率は、34歳ごろまでは25%以上をキープしていますが、その後低下していき、40歳で約15%、金田さんが出産した44歳で5%を切り、それ以降は限りなくゼロに近づきます。

 一方で、妊娠に対する流産の確率は上昇していき、35歳までは20%以下なのが、どんどん上昇して41歳で40%、44歳で60%、48歳には90%にまで跳ね上がります。高齢になるほど妊娠しづらく、無事に出産することが難しくなるのです。

■産婦人科医は「20歳代から30歳代前半までに出産するのが自然」

 それだけでなく、高齢出産になると妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病になり、早産や難産になるリスクも高くなります。私も不妊治療の取材をしたことが何度かありますが、ある産婦人科医が、次のように話してくれたのが印象に残っています。

「若い時は、50メートルでも100メートルでも全力疾走でき、すぐに元気を取り戻せますよね。でも、年をとればとるほどすぐに息が切れて、体力を使い果たしてしまいます。それを考えれば、若いときに出産するのと、高齢のときとでは体力面で条件が違ってくることがわかるのではないでしょうか」

 その医師は、「平均寿命は延びたけれど、閉経の平均年齢はほとんど変わっていません。やはり、20歳代から30歳代前半までに出産するのが自然の理に適っている」とも話していました。35歳以上になって初めて出産することを「高齢出産」と言いますが、35歳以上という線引きには、こうした確たる理由があるのです。

 女性も働くことが当たり前になり、まだまだ不十分とはいえ、キャリアを重ねて活躍する人が増えました。「産むか産まないか」「いつ妊娠して、いつ産むか」は個人の自由であり、誰かに強制されることではありません。ですが、男女とも妊娠・出産の年齢に関する知識は、若いうちに学んでおくべきだと思います。

■CMの違約金、お詫び行脚……武井咲妊娠で溢れた批判記事

 それに、私が気になるのが、芸能界のあり方です。先月9月1日、女優の武井咲さん(23)が、EXILEのTAKAHIROさん(32)との結婚と妊娠を公表しました。とってもおめでたいニュースのはずですが、これに関するネットの記事を検索すると、CMの違約金がどうの、スポンサーにお詫び行脚がどうの、事務所ともめているとかなんとか……お祝いに水を差す話ばかりなのです。

 芸能界では、アイドルや女優は若いうちの恋愛が事務所によって禁止され、「妊娠などもってのほか」といった縛りがあると言われます。しかし、それを守っているうちに35歳を超えてしまい、高齢出産になる人が少なくないのではないでしょうか。

「大切な稼ぎ頭に商品価値を落とされたら困る」「大きな金額が動く契約は守ってもらわねば」という大人の事情も分からないではありません。しかし、恋愛や妊娠できる期間を縛ると、女性たちが自然に妊娠して、比較的安全に出産できる機会を奪ってしまうことになるのです。大きな「人権侵害」を冒していると私は思います。

 また、芸能界の方々が次々に高齢出産を果たし、幸せそうな姿を見せることで、一般の人に「高齢になっても妊娠して、無事に出産できる」という「幻想」を抱かせることにもなっていると思います。しかし、不妊治療をして、妊娠・出産を果たすのは、想像以上に大変です。

■芸能界の「恋愛・妊娠禁止」縛りを撤廃すべきだ

 かつて私が取材した女性は、43歳で出産するまで、4年半にわたり不妊治療を受けました。激痛をともなう検査や卵巣に針を刺す採卵、副作用のきつい薬を何度も打つなどして、ようやく妊娠判定日を迎えても、ダメなことがわかり絶望感に打ちひしがれる日々……。

 そのようなつらい治療に、そのご夫婦は最終的に650万円も費やしたそうです。自治体の費用負担があったものの、焼石に水。それで妊娠できたからよかったものの、出産まで至らない人も少なくありません。泰葉さんが言う通り、「医療技術が発達」しているとはいえ、まだまだ現実は厳しいのです。

 ですから、芸能界の方々には、自分たちの私利私欲のために恋愛・妊娠を禁止するような縛りは撤廃してほしいのです。それよりも、若くして妊娠・出産をしても(もちろん、高齢で出産したとしても)、みんなが祝福できるような環境を芸能界につくり、社会に範を示してほしいのです。ママさんタレントやママさん女優の活躍、素敵なことではありませんか。

 日本の出生率が低いのはご存知の通りで、このままでは日本人自体がどんどん減っていき、100年後には絶滅危惧種になるとも言われています。選挙で大きな争点になることはありませんが、安心して生み、育てられる環境づくりを政治家が推進することも非常に重要です。アホな政局争いをしている場合ではありません。

 日本の将来のために、大きな発信力を持つ芸能界の方々が果たすべき役割もあるのではないでしょうか。芸能界の方々には、真剣に考えていただきたいと切に願います。

(鳥集 徹)

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