「女性職員と特別な関係」で懲戒処分 GPIF理事長がやったこと

「女性職員と特別な関係」で懲戒処分 GPIF理事長がやったこと

高橋則広理事長 ©共同通信社

 世界最大規模の年金ファンドである年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が揺れている。

 GPIFは10月18日に高橋則広理事長(62)を6カ月の減給(20%相当)の懲戒処分としたと発表した。

「特定の女性職員と特別な関係にあることを疑われかねない行為があった」と経営委員が判断したのだ。

 発端は昨年12月。高橋氏は、30代の女性職員との複数回におよぶ会食や公用車の同乗などを指摘する内部通報の書簡を、自身あてに何度も寄せられた。ところが、報告せずに自身で握ったまま、弁護士と相談するにとどめていた。それが今秋に監査・経営委員会の知るところとなり、処分されたのがことの経緯だ。

 特に問題視されるのは、経営委員会が「情実採用を疑われかねない状況があった」と認定した点。

「高橋氏は、その女性とは過去に同じ職場で働いており、職員公募採用の件を聞いた女性が応募し採用されたのです。2人は公用車に乗って食事に行くなど、公私混同ぶりも疑われていました。高橋氏は『特別な関係はなく、相談を受けていたにすぎない』と釈明しています」(経済部記者)

■東大法学部卒業。運用は得意だが接客が苦手

 高橋氏はどんな人物か。

 1957年、長野県生まれで、東大法学部を卒業した80年に農林中央金庫に入庫。債券投資部長や開発投資部長など市場運用部門の経験が長かった。

「2008年のリーマン・ショックの後処理で名を上げ、一時は農中の理事長候補と目された。ところが、高橋氏は運用が得意なのですが、取引先経営者などへの接客が苦手な性格でした」(農林中央金庫関係者)

 専務理事を最後に15年、JA三井リース社長に転じた。そこに白羽の矢を立てたのが塩崎恭久厚労大臣(当時)で、16年4月にGPIF理事長に据えた。

「GPIFは160兆円を超す国民の年金資金を運用する公益性の高い独立行政法人。その長である高橋氏は女性職員との特別な関係を否定していますが、リリースを出しただけで、記者会見も行なっていないのです」(前出・経済部記者)

 その高橋氏も就任3年半を過ぎ、ガバナンスに緩みが生じているのか。これまで四半期ごとに資産配分を開示してきたが、今年度中はやめるという。

「GPIFは運用会社や株式を保有する企業経営者に対して厳格な情報開示とガバナンスの徹底を求めている。なのに自身の情報開示は後ろ向き」(市場関係者)

「国民の疑惑や不信を招くことの無いよう、高い職業倫理を保持」すると行動規範で謳うGPIF。公私ともトップ自らの言葉できちんと説明する必要がある。

(森岡 英樹/週刊文春 2019年11月14日号)

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