「誰がOKしたのか?」 日本電産子会社で“品質不正”疑惑メール

「誰がOKしたのか?」 日本電産子会社で“品質不正”疑惑メール

小誌が入手したメールの一部

「顧客企業から『異音がする』と連絡を受けて、こちらで分解すると、指定の日本製ではなく、中国製の部品が使われていたのです」

 日本電産テクノモータの関係者が声を潜めてそう語る。同社は、“カリスマ経営者”として知られる永守重信会長(75)率いる日本電産の子会社。エアコンや家電などに使われるモーターを製造し、メーカーに販売している同社で、“品質不正”が行われていたと証言する。元幹部が明かす。

「昨夏頃から開発部門担当の役員が、開発部門に『利益を出す方法は何かないんか?』と要求し、コスト削減策を検討させていました」

 今年2月末、同社の開発部門は中国工場に対し、ベアリングについて「設計変更通知」という文書を出した。対象機種は「海信日立向け」で、〈中国ローカルメーカ製を期間限定で使用可とする〉と記載されている。

「青島海信日立は、中国メーカーと日立製作所グループ会社による合弁企業で、エアコンなどをつくっています。ベアリングは、摩擦が減り、エネルギーを効率よく伝えるため、モーターに使われる重要部品。当初、海信日立向けは、日本精工製でした」(前出・関係者)

 だが、営業担当者には変更の連絡はなかった。そして、5月21日、冒頭のトラブルが発覚したのだ。

■入手したメールに書かれていたことは……

「週刊文春」は一連のメールを入手した。担当者の報告メールにはこう書かれている。

〈不良品を分解してNZSB製ベアリングだった〉

〈客先承認なしの4M1E変更は罰金/ラインストップ/市場不具合求償でリスク高いため、同様問題ないようご対応ください〉

 前出の元幹部が解説する。

「NZSBは中国の銀球というメーカーです。4M1Eとは人材、機械設備、材料、工法と環境のこと。品質管理に必要な5要素に関する変更は取引先企業の承認が要ります」

 そして、ベアリングの変更について、中国の営業部門のトップが「誰がどの様に判断してOKとしたのですか」と本社へメール。指摘を受け、開発部門は日本製に戻す指示を出した。

「このような変更は海外の下請け企業では聞きますが、日本企業では珍しい。利益重視で不正部品を使った製品は、安全確認や検査が未実施で、事故につながる場合があります」(安全学の向殿政男明治大学名誉教授)

 海信日立側は「取引先に関することについてはお応えできません」と回答。

 日本電産テクノモータは「お客様と弊社営業、製造、開発部門間で理解に齟齬がありました。自主的に設計変更を差戻して、当初のメーカーでの再納入を迅速に行いました」と回答した。

 重大事故につながらなかったのは幸いだった。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年11月21日号)

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