〈大阪女児誘拐〉助けた女の子に「余計なことをしないで」と言われ……伊藤容疑者の正義感と挫折

〈大阪女児誘拐〉助けた女の子に「余計なことをしないで」と言われ……伊藤容疑者の正義感と挫折

24日に行われた家宅捜索 ©文藝春秋

 大阪市の小学6年生の女児が誘拐された事件で、未成年者誘拐の疑いで逮捕された栃木県小山市の伊藤仁士容疑者(35)の自宅で、11月24日(日)午後、家宅捜索が行われた。13時過ぎ、警察のトラックが現場に到着し、青いビニールシートによる目隠しの衝立を立て始めた。14時半頃、立会人の車が到着。14時40分、大阪府警の捜査員が入った。

「この日の朝、伊藤容疑者は大阪府警に送致されました。小山駅から新幹線でしたが、伊藤はいったん普通席に座らされた後、多目的室に入れられた。移動する際は一般客が降りてから。つねに捜査員に囲まれていて、フードで顔を隠し、記者の問いかけには無言でした」(社会部記者)

 現場付近は新興住宅地で、これから家を建てるという土地も多い。外で遊ぶ子供の姿もよく見かけるが、「伊藤家に子供(容疑者)がいたことには気が付かなかった」(近隣住民)という証言もある。

■自動車学校の正社員の誘いに「うーん」

 伊藤容疑者がかつてアルバイトをしていた自動車学校の社長はこう話した。

「半年以上1年未満ほど働いていた。無断欠勤はしたことがなく、勤務態度はいたって真面目で正義感の強い子だった。主な仕事は教習生の送迎。他は雑務やコース管理などを担当していました。辞めるときもトラブルがあったわけではない。しっかりと働いてくれていたので、『正社員になってほしい』という話をしたところ、『うーん』と悩んでいました」

 この自動車学校には、幼い頃から伊藤容疑者が遊びに来ていたという。

「仁士君が7歳くらいのときに弟と教習所によく遊びに来ていた。しりとりや車の絵本を読んでいました。明るくて弟の面倒を見て、母親を支えようとしていた。弟が道に飛び出しそうになると、仁士君が注意していた」(近隣住民)

■「県内トップクラスの高校に伊藤くんだけが落ちた」

 伊藤容疑者が小学生時代に通っていたという剣道教室の関係者が話す。

「道場には小学校3年生の頃からから3年間通っていた。真面目で堅物だった。でも、成績はイマイチ。2、3回戦くらいまでかな。下の弟や妹が優秀だったから印象がどうしても薄い。妹さんはお医者さんになられてるしね」

 勉強はよく出来たという。中学の同級生の証言。

「皆から伊藤君って呼ばれていました。比較的におとなしいグループに属していた。受験のとき、うちのクラスからは4、5人、県内トップクラスの高校を受験したのですが、伊藤くんだけが落ちた。『えっ? あの伊藤君が?』って皆が驚いていて、本人もショックを受けていた。誰も声をかけられないほど落ち込んでいました」

■助けた女の子から「余計なことをしないで」と言われた

 前出の自動車学校の社長は伊藤容疑者との会話を覚えているという。

「世間話でニュースの話をしたときに、世界情勢について語っていたのを覚えています。『なんで日本がこうなっているのか。世界の情勢が、イラクや中東とかが間違っている。世の中は矛盾している』と話していました。休み時間は本を読んでいた。小説。タイトルはわからない。中学生の時に男子数人に虐められてる女子を助けたことがあるとも言っていました。でも、その女子から『余計なことをしないで』と言われたのだそうです。優しい子だったんですが……」

 正義感が強く、真面目で優しい青年だったという伊藤容疑者。30代半ばの大人になった今、なぜ未成年誘拐に手を染めてしまったのだろうか。

(「週刊文春デジタル」編集部/週刊文春デジタル)

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