深すぎる「沼」 プロ向け工具メーカー「マキタ」の掃除機を推すこれだけの理由

電動工具メーカーのマキタにハマる人続出 バッテリーで最大237もの製品使い回し可

記事まとめ

  • 作業服の「ワークマン」は高機能&低価格で「ワークマン女子」なる言葉も生まれた
  • 趣味の分野では、次々と資金を投入してしまう危険な衝動について「沼」と称される
  • 老舗の電動工具メーカー「マキタ」のバッテリーは最大237もの製品を使い回せる

深すぎる「沼」 プロ向け工具メーカー「マキタ」の掃除機を推すこれだけの理由

深すぎる「沼」 プロ向け工具メーカー「マキタ」の掃除機を推すこれだけの理由

リチウムイオンバッテリーを中心に構成される“マキタ沼”。壮観です

 ここ最近、「プロ向け」界隈が熱くなっています。作業服の「ワークマン」は高機能&低価格、かつ新業態展開でファッション面も評価され、可愛く着こなす「ワークマン女子」なる言葉も生まれました。

 一方、趣味の分野では「沼」と称される現象があり、一眼レフユーザーの「レンズ沼」、万年筆ユーザーの「インク沼」など、さまざまな分野で見られます。「沼」とは、一歩足を踏み入れたが最後、次々と資金を投入してしまう危険な衝動を指しています。

 この「プロ向け」と「沼」要素を掛け合わせたハイブリッド型とも言えるメーカーが、じわじわとファンを増やし続けています。それが「マキタ」です。

■使い回せる製品は最大237。深すぎる“マキタ沼”の世界

「マキタ」は、1915年創業、100年以上の歴史を誇る老舗の電動工具メーカー。コンセントから電気を取ることができない現場で使える製品を多く展開していて、電源として使われるリチウムイオンバッテリーが「沼」の中心です。

 このバッテリーはマキタのさまざまな製品で使い回すことができ、その数、もっとも互換性の高い18Vタイプではなんと237にも及びます(2019年9月現在、18Vを2本使用する製品含む)。一部から「マキタブルー」と呼ばれるカラーリングで統一された製品を並べると実に壮観です。

 DIY好きならインパクトドライバーや丸ノコといった電動工具、キャンプ好きならライトやクーラーボックス、庭付きの家に住んでいる人であれば草刈り機も――ひとつマキタ製品を手にした人が、こうして「沼」にハマっていく様子がネット上では多数報告されています。

 カタログを眺めると、「ルンバ」が覇権を握るロボット掃除機もラインナップされていて、18Vのバッテリー2個でテニスコート3面分を掃除できるとあります。家庭用として考えると明らかにオーバースペックですが、スケール感の違いに胸が熱くなります。

 ただ、DIYもキャンプもしない人にとっては、異世界の話に聞こえるかもしれません。ところが、多くの人に関係する“ある状況”において、SNS界隈ではマキタ製品を称える声が何度となく繰り返しあがっているのです。

 それが、大規模災害時です。

■災害への備えに「マキタ」が評価される理由

 先述したマキタの膨大な製品群には、電動工具だけでなくインフラがダウンしたときに役立つ製品もあります。中でもスマホへの充電を可能にするUSB用アダプタが優秀だと評価が高く、18V・6.0AhバッテリーではiPhone6Sを約12回充電可能とメーカーはうたっています。

 そのほか、ライト、ラジオ、扇風機をはじめ、「ワークマン」で一時売り切れが続出したという「空調ウェア」ももちろんあります。マキタ製品をすでに持っている人であれば、こうした製品を買い足すだけで災害に備えることができるのです。

■マキタシステム最初の候補に掃除機

 マキタシステムを取り入れたいけれど、DIYもキャンプもしない――そんな人には、掃除機という選択肢があります。掃除機は駅やビルの清掃で使われていることが多く、性能についてはお墨付き。プロ向けだと背負い式タイプが主流ですが、家庭用ならコードレススティック掃除機が第1候補です(以下、マキタでの正式名称「充電式クリーナ」と記述)。

 なぜ充電式クリーナなのかというと、掃除機が日常的に使う家電であることが第一の理由。災害への備えは、生活の中に組み込むことがとても重要なのです。

 例えばスマホの充電でいえば、常に満充電のモバイルバッテリーを持ち歩いているヘビーユーザーならそれで事足りるかもしれません。費用面でも、マキタの充電システムよりかなり安価に備えることができます。しかしバッテリーは自然放電するため、災害用として“一応”用意しておくというケースだと、数か月ごとに満充電するマメな性格でなければ、肝心なときに機能しないこともあり得るのです。その点、頻繁に使う掃除機であれば、バッテリーが充電された状態を自然に維持できます。

 もう一つの理由は単純にコストパフォーマンスの問題で、バッテリー単品で購入するとかなり割高です。バッテリー&充電器がセットになっている充電式クリーナを入り口に、災害対策の製品を個々に追加していくのが効率的な沼のハマり方なのです。

■掃除機としての性能は?

 災害への備えに最適だとしても、家電としての使い勝手も無視することはできません。用途に合わず普段使いしなくなってしまったら、災害への備えとして機能しなくなってしまうからです。

 特徴は、なんといっても本体の軽さ。もっとも高電圧・高アンペアバッテリーのモデルで1.5kg、もっとも軽量なモデルだと0.81kgです。スティック掃除機で人気のダイソンの場合、多くのモデルが2kg台半ばの重さなので、マキタの軽さが際立ちます。

 肝心の吸引力はフローリングのゴミを吸う分には必要十分で、強さを切り替えられるモデルの「標準」でもちゃんと吸い込んでくれます。

 連続使用時間は、最上位モデルにセットされる18V・3.0Ahでは「パワフル:15分、強:20分、標準:50分」、手軽さで人気の10.8V・1.5Ahでは「パワフル:10分、強:12分、標準:25分」となっています(詳しくは 同社ホームページ をご覧ください)。広い家を隅から隅まで掃除するには心もとないですが、一人暮らしであれば十分。階段などのスポット使用や毎日のちょっとした掃除用と割り切る用途もありでしょう。

 ヘッドには、一般的な掃除機に備わっているモーターブラシはなく、いたって質素。人によっては“チープ”と感じるようですが、シンプルな構造のため髪の毛などが絡まることもなく、ヘッド部のお手入れはほぼ不要です。簡単に水洗いできるので、掃除機を使うのがためらわれる玄関や土間などの“半屋外”でも気軽に使えます。

■マキタの充電式クリーナが万人向けではない理由

 ただし弱点もあり、前述した利点をひっくり返せばデメリットに転じます。一般的な掃除機が、なぜお手入れに手間が掛かるブラシヘッドを採用するかというと、カーペットの中に入り込んだゴミを掻き出すため。マキタはこの点、決定的に弱い。「 じゅうたん用ノズルDX 」というオプションパーツもありますが、一般的な掃除機と同程度の機能は期待しないほうがよいでしょう。

 また、カタログ表記上は軽さが際立つものの、実際に持ってみると意外にずしりと重さを感じます。これはバッテリーを装着する手元にもっとも負荷が掛かるためで、床を掃除するには重心バランスが悪いのです。力仕事が得意でない方は軽いバッテリー搭載モデルを選ぶのが無難ですが、それでも重さの印象は大きくは変わらないと思います。

 一方、ヘッドを持ち上げる必要のある場所、例えば階段などを掃除する際には取り回ししやすく有利。一長一短なので、自分の用途に合うかどうかの判断が必要です。

■多彩なラインナップの中で何を選べばいいのか

 マキタの充電式クリーナには、モーター、バッテリー、集じん方法、スイッチなどの違いで現在のカタログには26モデルが記載されています。種類が多くて何を選んだらいいのか分からないという声が散見されますが、好みや用途にあった仕様を選んでいけば買うべきモデルに行き着きます。

 ただし、“災害への備え”を兼ねる場合、適合しないモデルもあるので、その点も踏まえ簡単にご紹介します。

■1)バッテリーの形状

 スライド式、差し込み式、内蔵式の3種類がありますが、他製品との汎用性がもっとも高いスライド式が最適。バッテリーを着脱し、専用充電器で充電するタイプです。

 充電は着脱の手間はありますが、充電時間は極めて短い。他社メーカーの多くが数時間かかる中、マキタはもっとも容量の大きい18V・6.0Ahでもわずか40分です(※仕様による)。数時間〜十数時間かかることが多い大容量モバイルバッテリーと比べてもアドバンテージはかなり高いです。ただし、充電中は「ゴゥーーー」と結構な音がします。

■2)バッテリーのボルト・アンペア数

 スライド式の場合、ボルト数は7.2V、10.8V、14.4V、18Vの4種類。アンペアは標準セットでは1.5Ah、3.0Ahの2種類ですが、14.4V、18Vでは最大6.0Ahのバッテリーも販売されています。数字が大きいほどパワフルかつ連続使用時間は長くなりますが、当然その分重くなるので、最適なバランスで妥協点を見つけたいところです。

 また、スマホ充電の用途も兼ねるなら、USB用アダプタに対応するのが10.8V、14.4V、18Vの3種類なので、この中から選ぶ必要があります。

■3)集じん方法

「紙パック式」「カプセル式」の2種類があります。紙パック式はランニングコストが掛かるがゴミ捨てが簡単で、カプセル式はその反対。こればかりは好みですが、あるオプションパーツでデメリットを解消することも。

■4)スイッチ

 一般の掃除機と同じようにボタンで連続運転する「ワンタッチ式」と、使いたいときだけ手元のレバーでON・OFFを切り替える「トリガー式」の2種類。これもお好みで。「ワンタッチ式」のほうがラクですが、「トリガー式」には電池を節約できるというメリットがあります。

■ゴミ捨てのストレスを劇的に減らすオプションパーツ

 2018年1月、オプションパーツに「サイクロンアタッチメント」が追加され、画期的だと各所で評判です。

 これはサイクロンでゴミを遠心分離するパーツで、価格もカタログ記載価格3500〜3700円(税別)とお手頃。ゴミは水色のカップに集められるので、クリーナ本体にほとんど入り込みません。そのため、集じん方法はどちらでもいいのではないかとすら思えてきます。ゴミ容量も格段にアップするので、ゴミ捨ての回数も減らせます。本体から出っ張るため、家具の下などが掃除しづらくなるというデメリットもありますが、それを差し引いても優秀なパーツです。

■バッテリーは2個以上がいい。そして「沼」へ――

 今回、最新の最上位モデル「CL281FDRFW」に18V・6.0Ahのバッテリーを組み合わせて使用したところ、猫を多頭飼いしている1DKの掃除だと1回の満充電で約10回、ゴミ捨てはその間1回のみで済みました。ちなみに「標準」モードでも十分と先述しましたが、猫砂や食べこぼしのドライフードを吸い込むには不十分で、おもに「強」モード、ときどき「パワフル」モードを使用しました。

 使うたびにバッテリーを外して充電するのは手間なので、バッテリーをもう一つ追加するのが“災害への備え”の観点ではよさそうです。連続使用時間の短さもカバーでき、満充電のバッテリーを常に1個はキープできます。

「沼」展開する製品として有力なのは、USBアダプタ、ライト、ラジオあたりでしょうか。手持ちのバッテリーの数を少なくしたいなら、ライトとラジオを兼ねたタイプもありますし、USB充電ポートを備えたものもあります。何日間の停電を想定するか、家族構成、自宅の災害リスクなどによって選び方は変わってくるので、いま一度自分のライフスタイルを振り返って検討したいところです。

(小林 吹)

関連記事(外部サイト)