マツコも「ダサい」と驚いた“ドナルド&シンゾー”キャップと、さらにトホホな舞台裏

マツコも「ダサい」と驚いた“ドナルド&シンゾー”キャップと、さらにトホホな舞台裏

©時事通信社

トランプ大統領にプレゼントされたゴルフキャップの刺繍
「ドナルドとシンゾー 同盟をより偉大に」
日本経済新聞 11月5日

 1週間の名言、珍言、問題発言を振り返る。ドナルド・トランプ米大統領がやってきた。11月5日から7日までの2泊3日という日程だったが、日米首脳会談をはじめ、北朝鮮拉致被害者家族との面談、松山英樹選手を交えた接待ゴルフ、米国牛製ハンバーガーを用意したランチ、ピコ太郎も同席した晩餐会などのイベントが目白押しだった。

 ゴルフの際にはトランプ大統領に特製のゴルフキャップがプレゼントされた。キャップにはトランプ大統領が好んで使う決め台詞「MAKE AMERICA GREAT AGAIN(アメリカを再び偉大に)」になぞらえて、「MAKE ALLIANCE EVEN GREATER(同盟をより偉大に)」と金文字で刺繍されている。タレントのマツコ・デラックスはテレビ番組で「あれ、ダサいよね。多分、トランプさん、持って帰らないよね」と一刀両断した(サンケイスポーツ 11月6日)。

 安倍晋三首相が率先しておもてなしに尽くしたかいあってか、ワシントン・ポスト紙からは「日本の指導者である安倍総理大臣はトランプ大統領の忠実な相棒を演じた」と評された(NHK NEWS WEB 11月7日)。『週刊文春』11月16日号には、迎賓館で行われた自衛隊特別儀仗隊による栄誉礼直前、安倍首相が低姿勢でトランプ大統領を案内する姿に「親分、どうぞ」と見出しがついている。トランプ大統領が「親分」なら、安倍首相は「子分」ということだろう。

 タレントのパトリック・ハーランは安倍首相の「お友達作戦」はリスクが大きいと警告している。なにより「トランプはウソつき」なのだ。ワシントン・ポスト紙の調査によると、就任100日で492回のウソ、つまり平均で1日5回近くもウソをついていることになる(ニューズウィーク日本版 11月4日)。トランプが何か約束してもウソかもしれない。「お友達作戦」もいいが、トランプに頼りすぎるのは危険である。

ドナルド・トランプ 米大統領
「私の訪日や安倍総理大臣との友情は、われわれの偉大な国に多くの利益を生み出すだろう。大量の軍関連やエネルギーの注文が来ている」
NHK NEWS WEB 11月7日

 日本での日程を終えたトランプ大統領がツイッターに書き込んだ内容がこちら。巨額の対日貿易赤字を問題視するトランプ大統領は、6日朝の日米企業家との会合で「日米貿易は公平でない」と批判。日米首脳会談でも「対日貿易赤字を減らしていかねばならない」と迫り、「非常に重要なのは、日本が膨大な兵器を追加で買うことだ」と語った。政治ジャーナリストの泉宏氏はトランプ大統領のことを「武器商人」と表現する。泉氏は「友好の仮面を外せば、安全保障と武器輸出をディール(取引)するようなしたたかな商売人」という外務省幹部の声も紹介している(東洋経済オンライン 11月8日)。

 トランプ大統領はアジア歴訪の前となる2日、米FOXニュースのインタビューで日本を「武士の国」と形容し、中国に対して北朝鮮の脅威に対処されなければ日本が自ら事に当たる可能性もあると警告した(AFPBB News 11月3日)。この発言は、日本が軍事力増強を迫られる事態を示唆したものとも捉えられている(CNN 11月5日)。北朝鮮への圧力を高めることを主張し、「武士の国」とおだてることで、武器購入に結びつけようとしているのだろうか。

 安倍首相は「日本の防衛力を質的に、量的に拡充しなければならない」と応じている。日本はすでに米国から1機あたり147億円(直近の予算単価)の戦闘機F35計42機の購入を決め、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」も導入する方針だ(朝日新聞デジタル 11月7日)。さらに「イージス艦の量、質を拡充していくうえで、米国からさらに購入していくことになるのだろう」とも述べている(ロイター 11月6日)。

ドナルド・トランプ 米大統領
「リメンバー・パールハーバー(真珠湾を忘れるな)」
YOMIURI ONLINE 11月4日

 日本訪問に先立つ11月3日、ハワイの真珠湾(パールハーバー)を、就任後初めて訪れたトランプ大統領は、メラニア夫人とともに、旧日本軍に撃沈された戦艦アリゾナの上に立つ「アリゾナ記念館」で献花し、黙祷を捧げた。その後、ツイッターに「リメンバー・パールハーバー」と書き込んでいる。

 トランプ大統領の真意は不明だが、昨年5月にオバマ大統領が広島を訪問した際、「オバマ大統領は日本滞在中、卑劣な真珠湾攻撃について話したか。数千のアメリカ人の命が失われたんだ」とツイートしていた(BuzzFeed JAPAN 2016年5月30日)。トランプ大統領の腹の底には日本に対してどんな感情があるのだろうか? 

安倍晋三 首相
「イバンカ氏が主導した基金を強く支持する」
共同通信47NEWS 11月3日

 2日、トランプ米大統領の訪日に先駆けて、長女のイバンカ大統領補佐官が来日した。目的は「国際女性会議WAW!」に出席して講演を行うため。同席した安倍首相は、あいさつで女性起業家を支援する基金への5000万ドル(約57億円)拠出を表明した。

 基金の正式名称は「女性起業家資金イニシアティブ」。発展途上国での女性起業家や女性が運営する中小企業のサポートを目的として世界銀行内に7月に設立された。運営は世界銀行が行っているが、ウォール・ストリート・ジャーナルによると、この基金を考案したのはイバンカ氏だという。ただし、運営管理や資金調達には関与していない。なお、5000万ドルの拠出はすでに7月に決定していた(ハフィントンポスト 11月3日)。イバンカ氏の前で安倍首相があらためてアピールした形となった。

 しかし、海外メディアはイバンカ氏に冷たい反応を示している。英ガーディアン紙は「ガラガラ会場に迎えられたイバンカ」と報じた。イバンカ氏がセクハラを含めた女性差別の撲滅を訴えたことに対しては、ツイッターで「まず、自分の父親を何とかして欲しい」という批判が集まっている。過去、トランプ大統領の女性蔑視発言やセクハラを訴える女性が複数出現しているからだ(BUSINESS INSIDER JAPAN 11月7日)。「俺は金持ちで有名人だから、プッシー (女性器を表す俗語)をさわることなんて簡単にできる」という発言はよく知られている(ハフィントンポスト 2016年10月8日)。

 また、イバンカ氏は女性の社会進出を掲げながら、自らのブランド製品を製造している中国などの工場の工員の女性たちが1日18時間労働という過酷な環境で働かされているという報道があるなど、言行不一致の部分も批判されている(『週刊文春』11月16日号)。

 武器購入の代金も、基金への拠出金も、当然日本の税金だ。財源について財務省は「他の予算の削減が必要」と話している(東京新聞 11月8日)。われわれはわれわれの税金の使いみちを注視せねばなるまい。

(大山 くまお)

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