沢尻エリカだけじゃない! 大麻、覚醒剤、MDMA……芸能人はなぜ薬物に走るのか?

沢尻エリカだけじゃない! 大麻、覚醒剤、MDMA……芸能人はなぜ薬物に走るのか?

沢尻エリカ ©時事通信社

 2019年は、著名人の薬物事件が相次いだ年でもあった。

 3月にはミュージシャンで俳優のピエール瀧(52)、5月に元「KAT-TUN」の田口淳之介(34)、11月には元タレントの田代まさし(63)、元オリンピック選手でプロスノーボーダーの國母和宏(31)が違法薬物関連の容疑で逮捕されている。

■干されるリスクをおかしてでも……

 そして11月16日には女優の沢尻エリカ(33)が合成麻薬「MDMA」を所持していたとして麻薬取締法違反容疑で逮捕された。沢尻は逮捕後、警視庁組織犯罪対策5課の調べに対し、「10年以上前からMDMAやLSD、大麻、コカインを使用していた」との趣旨の供述をし、元交際相手のファッションデザイナーの男も逮捕。沢尻は尿検査では陰性であったものの、勾留期限の12月6日に麻薬取締法違反で起訴された。

 芸能界やスポーツ界における薬物汚染は、今に始まったことではない。

 2009年には元アイドルの酒井法子(当時38)、2014年には元CHAGE and ASKAのASKA(当時56)、2016年には元野球選手の清原和博(当時48)、元俳優の高知東生(当時51)がそれぞれ薬物関連の事件で大きな話題となった。

 とりわけ著名人の場合、薬物関連の不祥事が明るみに出ると、出演するテレビ番組やCMからの降板も余儀なくされる。場合によっては業界から事実上の追放をされることもあり、そのダメージは計り知れない。

 それでもなぜ彼らは薬物に手を出してしまうのか?

■「センセーション」と「インスピレーション」を求めて

 長年、薬物依存の患者を診察してきた昭和大学医学部精神医学講座主任教授の岩波明氏は、「芸能人や音楽家には薬物乱用者が多い傾向がある」と指摘する。

 舞台などのプレッシャーを克服したいがために、薬物に頼ってしまう例がある。また、創作のインスピレーションを得るために薬物の力を借りようと考えるアーティストも多くいる。

「有名な例では、ビートルズが挙げられます。彼らが使用したのはLSDでした。LSDを使用すると幻覚がもたらされ、視覚や聴覚が鮮やかになると言われています。名曲『ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイヤモンズ』は、頭文字をとればLSDとなり、まさにLSD体験を歌った曲とされています」

 また、英国出身のギタリスト、エリック・クラプトン(74)は、かつて重度のヘロイン中毒だった。ヘロイン中毒を克服した後もアルコール依存に陥り、クラプトンはまさに生死の境をさまよった。

 岩波教授が続ける。

「インスピレーション、興奮、快感など、刺激を常に求める性質は、精神医学の分野では『センセーション・シーキング』(sensation seeking)と呼ばれています。芸能人や音楽家など、創作に携わる人々は、この性質を一般の人よりも強く持っていると考えられます」

 つまり、センセーション・シーキングの性向をもつがゆえに、彼らはリスクをおかして薬物にも手を出してしまった可能性があるのだ。

■発達障害と薬物の強い関係

 センセーション・シーキングと関連の強い精神疾患として、発達障害の一種であるADHD(注意欠如多動性障害)がある。「不注意」「多動」「衝動性」が特徴のADHDは、人口のおよそ3〜4%いると推測されている。

「ADHDの人の頭の中は、つねに複数の思考が湧き出ており、次から次へと考えが生まれ続ける状態にあります。これは『マインド・ワンダリング』と呼ばれます。その一方で、興味ある対象には我を忘れて取り組む『過剰集中』を示します。

 そんなADHDの傾向がある人には、向いている職業があります。デザイナー、ミュージシャン、作家などの個人プレーに近い職業です。彼らは次から次へと新しい思考が湧いてくる一方で、一晩集中して一気に作品を仕上げるといった作業を得意とします。いわゆる芸能人も、ADHDに向いた職業でしょう」(岩波教授)

 じつはADHDと違法薬物には、非常に密接な関係性が存在することが、海外の研究で明らかにされている。

 その衝撃的な内容については、「文藝春秋」1月号および「文藝春秋digital」掲載の「 芸能人はなぜ薬物に走るのか 」に詳細に書かれている。

(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2020年1月号)

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