鉄道業界に大転換をもたらした「革新的アプリ」はなぜ200万ダウンロードを達成できたのか

鉄道業界に大転換をもたらした「革新的アプリ」はなぜ200万ダウンロードを達成できたのか

「EXアプリ」は200万ダウンロードを達成 ©文藝春秋

 帰省シーズンの新幹線・特急の予約が始まっている。最近ではJRの駅でも「みどりの窓口」のある駅が減っている。しかし、指定席券売機で購入するのは不安、という読者も多いかも知れない。さらに、私鉄沿線に暮らしていると、そもそもJR線の指定席券売機すら身近にない。

 そういった人の強い味方がネット予約である。その中でも、新幹線を利用する乗客の間で、急激に利用者が増えているのが、東海道・山陽新幹線の「スマートEX」だ。

 新幹線専用の「EXアプリ」で乗りたい列車を予約すれば、普段使っているSuicaやTOICA、ICOCAといった交通系ICカードを使って、チケットレスで新幹線の自動改札を通過できてしまう。

 この「EXアプリ」は操作もシンプルで、サクサク動く。その上、予約している列車の発車時刻前なら、時間等の変更が手数料無料で何度でも可能なのもビジネスマンに人気の理由だ。今年11月末時点で、アプリのダウンロード数は約200万にも達している。

 この「スマートEX」、2017年9月にスタートしたばかりの新しいサービスで、利用するには、専用サイトなどで交通系ICカードとクレジットカード(どのクレジットカードでもよい)を登録するだけ。年会費は無料だ。

■JR東海が注力したポイントとは?

 サービス開始から2年あまりの「スマートEX」の会員は、すでに約338万人に達している。なぜここまで急速に広がったのだろうか。

?そのポイントは、ユーザーに使いやすいサービスに徹したことだろう。

「EXアプリ」の操作性について、JR東海は筆者の取材に、「シンプルな予約画面で、かつ操作性もスムーズであることや、スピーディーにログインできることなど、煩わしさを感じさせないようにしています」と説明している。

 JR東海が注力した「シンプルで使い勝手のよい操作性」。それを実現するために、2つのことに取り組んでいる。

 1つは、「スマートEX」で取り扱う列車を、東海道・山陽新幹線に限定したこと(2022年から九州新幹線にも対応予定)。

 もう1つは、スマートフォンの小さな画面で利用しやすいように、画面上で案内する「駅数」や「列車の種類」などが、少なくてすむように工夫したことだ。

 普通きっぷを買うとき、東京から新大阪に行くだけでも、「東京都区内から大阪市内への乗車券」「東京から新大阪までの特急券」と、別々のきっぷを購入する必要がある。

 このサービスなら、細かなきっぷのルールを知らなくても、「区間」「時間」を指定すれば新幹線の予約ができる。この「直感的な予約」を実現したのが支持拡大の大きな理由だろう。

 また、「EXアプリ」で予約した人は、予約当日に運行状況に異常が発生した場合にメッセージが届く「プッシュ通知」サービスも受けられる。

 家族で帰省する場合、家族分まとめて予約も出来る。その場合、チケットレスでは利用できないので、JR東海、JR西日本の指定席券売機できっぷを受け取る必要がある。

■帰省の予約はどうすべきか

 ちなみに、東海道・山陽新幹線のネット予約には、2001年に開始した「エクスプレス予約」というサービスも“共存”している。

 こちらは専用のクレジットカードを申し込むか、対応しているクレジットカードにサービスを登録する会員制のサービス。年会費は1,100円(税込)。特徴は「割引率が高い」ことだ。

「東京−新大阪」(大人1人、「のぞみ」普通車指定席を片道利用)間の通常運賃は14,720円だが、「エクスプレス予約」を利用すると13,620円と、年会費と同額の1,100円が割引となる。また、「エクスプレス予約」で乗車した区間によってポイントが貯まり、ポイントに応じてグリーン車に“アップグレード”されるサービスもある。「スマートEX」にくらべると、主なターゲットは、新幹線を多く利用するユーザーとなるだろう。

「シンプル」であることを突き詰めることで、支持されるようになった「スマートEX」。同業他社でも、予約サービスを改善する動きもあり、JR東海の「使いやすさ」は、鉄道業界に大きな影響を与えたと言えそうだ。

(小林 拓矢/週刊文春デジタル)

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