「ポスト安倍」人気急落 小泉進次郎は滝クリ結婚で何を失ったのか――「プリンスは必ず転落する」

小泉進次郎環境相の人気が転落 滝川クリステルとの結婚は誤算との指摘も

記事まとめ

  • 『ポスト安倍』で小泉進次郎環境相の人気が転落し、安倍晋三首相も大幅に後退している
  • 父・小泉純一郎氏は最近は進次郎氏を擁護しており、『残念な親子』になったと指摘も
  • 滝川クリステルとの結婚を官邸で発表した事で、凡庸な若手議員と同じに成下がったとも

「ポスト安倍」人気急落 小泉進次郎は滝クリ結婚で何を失ったのか――「プリンスは必ず転落する」

「ポスト安倍」人気急落 小泉進次郎は滝クリ結婚で何を失ったのか――「プリンスは必ず転落する」

8月に「デキ婚」発表、9月に初入閣した小泉進次郎環境 ©文藝春秋

「ポスト安倍」人気 安倍首相4選が2位、では1位は?――「次期首相になってほしいのは誰?」アンケート から続く

 文春オンラインで実施した「次期首相になって欲しいのは誰?」アンケートで、4月の調査から人気が急落した小泉進次郎環境相。その要因について、ノンフィクションライターの常井健一氏に聞いた。( #1で「ポスト安倍」アンケート結果 を公開中)

 常井氏は「政治家・小泉進次郎の10年」を取材してきた。大型国政選挙のたびに全国を行脚する進次郎氏の背中を追い掛け、地方視察の密着も試みている。また父・純一郎氏と編んだ著作も出版している。

◆◆◆?

■ロイターの調査でも期待が「大幅に後退」

――なぜ小泉進次郎氏の人気はここまで急落したのでしょうか。

 かつて小泉さんは、世論調査の結果について問われると「あれは知名度調査だから」とそっけなく答えてきました。人気や期待が右肩上がりだった時期は、こういう説明で納得できましたし、「謙虚さ」を演出することができましたが、こうも半減以上すると、しかも他の方々と比べてもこれほど異常な下げ幅を見せると、「知名度」があるのになぜ下がったのか。これまでのロジックは成り立ちません。

 これは「文春オンライン」の異常値ではありません。ロイター通信による12月企業調査では、同じようなトレンド、飛び抜けた下げ幅を示しています。

「今年7月調査では、次期首相に望ましい人物として安倍氏と回答した企業は37%を占め、(中略)小泉氏も21%と期待を集めていた。しかし、今月(12月)の調査では安倍氏16%、小泉氏11%とそれぞれ大幅に後退」(ロイターより)

https://graphics.reuters.com/JAPAN-COMPANIES-SURVEY-LJA/0100B33G2BK/survey-pm.png?fbclid=IwAR0kf0aKvRg_4ZN0tHmejd3Ny576U48rS576rB55Dm4biWvvtWer_zAeXRk

■「築城十年、落城一日」

<築城十年、落城一日。令和元年の小泉進次郎を一言で表現するのに、これほどふさわしい言葉はない。>

 文春ムック 「2020年の論点100」 に寄稿した拙文「滝クリと結婚、大臣就任 小泉進次郎は総理の座に近づいたのか」は、このような書き出しで始まります。その上で、「人心が離れるのは時間の問題だ」と予測しました。?

 文中では「彼はまだ経世済民を説く器ではない」とも指摘しています。単なる人気投票ではなく、いざ、真剣に暮らしを考え、経済や福祉を誰に信頼して託せるか見極めると、圧倒的多数の企業人が「彼には国のかじ取りを任せられない」という判断を下している証拠です。

 大企業のエリートならまだしも、厳しい自然と葛藤しながら地べたで暮らす第一次産業従事者、来る日も来る日も1円、10円を計算しながら商売している中小企業経営者やその社員、つまり地域の自民党を支えてきた人々から見れば、彼の語る「暮らし」、「子育て」、「家族」、「働き方」にリアリティを感じないでしょう。これは、総理候補である以前に、政治家として致命的な評価です。

 今年で初当選から10年。1年生議員の頃からこれほどテレビに寵愛され、立派なベテランジャーナリストたちが甘やかし、党内外に敵を持たない人気政治家はいません。ところが、類まれなる発信力がありながら、目立った実績が何もない。次々と派手な政策を打ち出しますが、人気政治家として10年間も注目されてきたのに、最後まで仕上げて国民の暮らしに大きな影響を与えた政策は何か思い浮かびますか。

 世には数多の作家や編集者が存在し、出版社も彼の一挙手一投足を報じながら、一冊として骨太のノンフィクションが出ていません。実は、私も10年も観察しながら、小泉さんを主人公にする本が成立したのは7年前の 1冊目 だけなのです。

■父・純一郎は「息子を必死に擁護する」

 最近残念なのは、父・純一郎さんがマスコミの前で息子を擁護する発言を繰り返していることです。以前は、マスコミから質問されても「頑張っているな」で済ませ、息子について多くを語らない態度を貫いてきました。マスコミに出過ぎずプライベートを語りすぎないところが小泉流の巧さでしたが、最近はしきりに取材対応し、息子を擁護する。12月26日に、テレビ朝日のワイドショーに生出演した際も、「ポエム」などと冷やかされている息子の言動について「大臣は何を言っても叩かれる。変なことは言ってないんだけどね」と擁護しました。小泉親子は2人が並ばず独立しているところに、微妙な距離感を保っているところに強みがあったのに、これではよくいる「残念な親子」。アンケートに並んでいる総理候補の中で、身内から擁護される過保護な政治家は他にいますか。

 くしくも「12月26日」は、全国紙の広告欄に「進次郎 政治資金で『不倫ホテル代』」という週刊文春の大見出しが躍った当日でもありました。喜寿(77歳)にもなる老紳士が公共の電波を使って、世間から批判を浴びる不惑前の息子を必死にかばい、出演者からの質問をさえぎった。そんな「父」の姿をテレビで見ながら、私は不憫に思えて仕方ありませんでした。

 小泉又次郎以来、100年以上続いてきた政治一族・小泉家も、純一郎氏のきょうだいが受け継いだ一家相伝の絶妙なセンスで未熟な4代目を「未来の総理候補」と呼ばれるまでに成長させてきましたが、クリステルさんが入って以来、抜群の安定力に変調の兆しが顕著に見られます。明らかにクリステルさんの存在が「変数」、しかも、これまでの小泉流とは異なる、読めない変数になってしまっています。

■「親父の死後、もうどうなるかわからんですよ」

 そこで思い出した往年の政治評論家の至言があります。

「佐藤信二は長い時間かけなけりゃわからんね。こういう人の悲劇なのは、河野洋平みたいに、親父が死んでから出てきたのはまだ自力性があるんだ。親父が生きている間にでてきたというのは、親父の死後、もうどうなるかわからんですよ」(月刊「現代」、1974年7月号)

『小説吉田学校』の著者で知られる戸川猪佐武は、首相・佐藤栄作の次男と副総理・河野一郎の次男という当時の自民党ホープを比べてそう説いた。その後、前者は衆院8期を務めながら総裁選とは無縁のまま政治家人生を終えた。後者は紆余曲折がありながらも総裁まで上り詰めました。

 安倍晋三さんも、石破茂さんも、岸田文雄さんも、そして、小泉純一郎さんでさえも、ここで言うところの「親父が死んでから出てきた」世襲政治家です。それと比べると、一国の大臣にもなって、これほどの親父の庇護を受けている人気政治家は、憲政史上でも稀なのではないでしょうか。こうしたところに、「プリンス」の知られざる脆弱さがあります。はっきり言えることは、父が生きている間は、真価を見極めるのが難しい政治家です。

■「偏差値エリートでも、父のような変人でもない」

――常井さんは、自民党のかつての「プリンス」中村喜四郎の 『無敗の男 中村喜四郎全告白』 を12月に出版され、ベストセラーになっています。“幻の総理候補”と言われた中村喜四郎フィルターを通して小泉進次郎氏を見たときの印象はどうでしょうか?

 8月の結婚報道以来、浮世離れした迷言を繰り返し、異性交遊や政治資金にまつわる醜聞、疑惑が次々と表沙汰になり、困惑している表情を見ることが増えたと思います。これは、私が垣間見てきた素顔そのものでした。

 小泉さんは偏差値エリートでも、父のような変人でもありません。言うなれば、ごく普通の人、等身大の30代と言って良いと思います。これまで言動が立派に見えたのは、自民党が選挙戦略の中心に据えてきたからです。

 自民党は2010年の参院選で、初当選したばかりの小泉さんをCMに起用し、看板弁士として全国を回らせました。小泉さんはその舞台で上手に踊ったことが好感度を集めるきっかけとなった。小泉さん自身の努力は否定しませんが、閣僚未経験にして「総理候補」とまで呼ばれたのは、先に説明した小泉家の力以上に、自民党の力があったからです。60年以上も「宰相のドラマ」を巧みに演出してきた老舗政党の職人たちが動かす舞台装置があったからこそ、等身大以上に見えたのです。

 実際、党の力が及ばない場所での言動を見れば、彼が「普通の人」だとわかります。

■滝クリとの「デキ婚」発表の誤算

 例えば、小泉さんは滝川クリステルさんと結婚しました。その時、首相官邸で報道発表を行いました。PR戦略上は、「草食系」の政治部記者を不意打ちすることによって、「デキ婚」の背景を突っ込まれない記者発表に成功したのかもしれませんが、国家的な危機管理を考えると、微塵の油断も許されない権力の中枢で「人気女子アナ」とのろける絵面は、自民党伝統の演出ではありえません。「型破りな改革者」を意識してきたはずが、常識知らずの凡庸な若手議員たちと同じ土俵に自ら乗ってしまいました。

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 また、小泉さんは安倍晋三首相の政治姿勢に批判的で、安倍首相の思想や人柄に懐疑的な有権者、とりわけ無党派層からの支持を得て、人気者となりました。ところが、安倍首相の入閣要請をあっさり受け入れた。あの時、冷や飯覚悟で蹴っていれば、凡百の政治家ではない、「闘う政治家」として一目置かれ、与野党をまたいで期待が高まったことでしょう。

 これまでは長幼の序を重んじ、先輩の顔を立てる低姿勢を貫くことで、「嫉妬の海」と呼ばれる永田町でも敵を増やさなかった。ところが、結婚を機にまるで人が変わってしまったかのように、門外漢のポストでも飛びついた。直前にあった参院選では全国を応援行脚する間に「年金改革をお約束する」と訴え、党厚生労働部会長留任を希望していたにもかかわらず、ですよ。

 どの組織にもいそうな、節操のない普通の30代は羨望の的となり、入閣待機組からは怨嗟の声が上がりました。小泉さんの人気が高まるにつれ、大勢の陣笠議員が寄ってきて、数々の勉強会は盛況を博してきましたが、初入閣後、失言やスキャンダル、あるいは実力不足で憔悴する彼を全力で擁護した同僚政治家は誰一人としていませんでした。

■「自民党のプリンスは必ず転落する」

 これは、小泉さん特有の現象というよりも、5年から10年に一度、彗星の如く政界に現れる「自民党のプリンス(プリンセス)」に共通している宿痾だととらえています。若き頃の中村喜四郎さん、加藤紘一さん、船田元さん、塩崎恭久さん、野田聖子さん、田中真紀子さん、河野太郎さん、渡辺喜美さん、後藤田正純さん、小渕優子さん、そして第一次政権の安倍さん……。プリンスは必ず躓く、しかも派手に転落するのです。

 拙著 『無敗の男 中村喜四郎全告白』 はおかげさまで反響を呼んでいますが、私は「平成最後のプリンス」小泉進次郎の毀誉褒貶を見続けてきた10年を踏まえ、「平成最初のプリンス」中村喜四郎さんの転落した背景に迫りました。喜四郎フィルターを通して、小泉さんにも通じる「プリンスの敗因」を読み解こうとしたのが執筆のきっかけです。

 自民党最盛期の80年代に頭角を顕した中村さんは、小泉さんのような自民党の舞台装置ではなく、最大派閥・竹下派の舞台装置によって「プリンス」に仕立て上げられました。独身時代はとにかくモテた。マスコミも寄ってきた。大した実績も上げられていないのに、政治の師である「田中角栄の再来」と持て囃され、40歳の時に「初の戦後生まれ閣僚」として、初入閣を果たします。

 世の中からどんどんちやほやされ、党の重鎮からは寵愛を受け、等身大以上のポストを任される。本当はそうでもないのに「重鎮の側近」と見なされ、次々と献金額が膨らんでいく。周囲の同世代からは羨望の眼差しを浴びます。しかし、自分では己の「からっぽさ」「薄っぺらさ」「実力不足」を知悉しており、「まずい」「まずい」と言い聞かせながらも、断り切れなくなって重責を担わされる。危ない橋を渡らせられる。地元から足が遠のき、有権者の生活感覚にも疎くなり、大事な時に耳障りなことを言ってくれる人がいない――。気付いた頃には、敵だらけになり、塀の内側に堕ちていった。

『無敗の男』では、四半世紀にも及ぶ雌伏の時代に耐え抜いた70歳の元プリンスが、弱冠43歳、2度目の入閣として建設相となった当時のことを後悔しながら語り尽くしております。

■「物分かりは早い」環境省の官僚が期待する理由

 小泉さんも明らかに実力不足を自覚しているにもかかわらず、人前で強がりを見せるほど薄っぺらくなっていく。言葉の端々に「オレは特別な人間だ」という選民意識のようなものが出てしまっています。疑惑を指摘されても逃げ出し、グレタさんにも噛みつくなどどんどん空回りしていく。後見役として寵愛を受ける菅義偉さんの影響力低下も、彼にとっては誤算だったのではないでしょうか。果たして、就任3カ月で、就任当初の期待に応えられるような実績は出せていません。

 しかし、環境省の官僚たちは異様に期待の声を口にします。「頭はよくないけど、物分かりは早い」と。小泉純一郎政権を知る幹部級よりも、若手エリートに顕著です。したたかな出世株の官僚にとっては使い勝手の良い政治家に過ぎません。しかも、「新しさ」さえ演出できれば、飛びついてくる。「三流官庁」として霞が関のなかでも揶揄される彼らにとって、約20年前の小池百合子さん以来、他省を凌ぐ発信力が生かせる閣僚就任ですよ。

■PR担当が変わり「言葉に力がなくなった」

 これまでも、後ろに控えるPR専門家が変わるたびに、まったく別人に変わるのが小泉さんの特徴でもありました。よく言えば、融通無碍、変幻自在、悪く言えば、政治の背骨となる思想や国家観がない。ですが、それでも数年前までは「自力」が生かされ、言葉に体温と体重が乗っていました。

 28歳で初当選して以来、被災地や過疎地、離島など、普通の政治家が行かない場所を意識的に回ってきた。社会人経験ゼロの世襲4代目が、庶民に親近感を持たれたのは、こうした「土の香り」を漂わせる仕掛けと心掛けがあったからですよ。

 ところが、2017年あたりにPR担当が変わったのを機に、土の香りがデオドラントスプレーのような匂いに変わった。別の例えをするなら、ほどよい塩加減の地鶏のからあげだったのが、ブロイラーで作った添加物べったりのフライドチキンに変わったような味わいです。さらに、参院選ではイマドキのPRコンサルタントを外部から起用し、明らかに言葉に力がなくなった。政治を、地方を、有権者を、そして自民党員や支持者たちの感覚を知らない人びとが彼の言葉を操作してしまっている( 文春オンライン7月の密着ルポ を参照)。

 プライベートでも、名だたるIT長者ら、雲の上に住む人たちと並び、横文字の経営用語を唱える姿ばかり。極めつきが「人気女子アナ」とのセレブ婚でした。これでは国民の生活感覚と距離ができ、人心が離れるのは時間の問題です。

 民信なくば立たず。ケネディが大統領に就任した43歳を意識していた史上最年少での天下取りは、いったんは遠のいたと言えるでしょう。

■「ポスト安倍」なぜ菅義偉も急失速したのか?

――アンケートでは菅義偉さんの急失速ももう一つのポイントでした。

 小泉さんの変節も、菅さんへの接近が大きく影響しているでしょう。

 寝業師や政局巧者と言われる菅さんの政治手法も、昭和の政治を知るベテランの保守政治家たちに言わせれば、「昔のやり方をまねしてやっているだけ」と言います。「昔のやり方」の効果を高めた背景は「官邸官僚」の存在抜きには語れませんので、懇意にするマスコミ関係者たちがこぞって菅さん個人を「平成の梶山静六」とまで持ち上げるのはいささか過大評価に思えますし、菅さんの周辺から不祥事が次々と浮かび上がる今の境遇では贔屓の引き倒しなのではないでしょうか。

 地方党員の意向を重んずる全国政党にあって、菅さんは横浜という大都市から生まれた異形のリーダーとして見ています。少なくとも組織運動本部長に就くまでは、自民党という「国民政党」の全貌を意識したことがなかったのではないでしょうか。沖縄県知事選を始めとして、官邸主導型で候補者を擁立した地方知事選では、自分の秘書や、選挙対策、政策立案のブレーンを中央から落下傘で送り込む。現地の地方議員や有力者たちから「上から目線」と見られる彼らのやりかたは、選挙中の陣営内に軋轢を引き起こすことも稀ではありません。その結果、土着の保守勢力を分断し、深刻なしこりを残しています。戦績を見ても敗北したケースも少なくなく、勝った場合でも僅差で終わり、“菅流”は地方組織に要らぬ対立をもたらします。

 これまで権力の中枢に近づきにくかった新手の企業家や気鋭の論客を狡猾に受け入れてきたのも、菅流の特徴です。官邸の敷居を低くしたことには功も罪もあります。海のものとも山のものともわからない専門家をブレーンとして融通無碍に取り込み、改革を仕掛けていく。国家の中心部に「危うさ」を内包してしまう。それと同じ手法で人事も行った。身体検査もほどほどに、菅原一秀、河井克行、そして小泉進次郎の「菅銘柄」三氏を抜擢する形で初入閣させた。

 マスコミ関係者も同じように懐深く取り込み、こまめに懇談を繰り返しながら情報を与えて手懐けていく。その結果、ワイドショー政治の「スピン」に成功してきた。

 ただ、官邸内の重心が移れば、マスコミも態度を変えます。今、菅さんの求心力が落ち込んでいるのは、メディアのグリップが以前よりも握れなくなったからではないでしょうか。

 菅さんは派閥を持たず、閨閥もないため、党内基盤もない。地方の党組織にもどれだけ信頼されているかといえば、怪しい。総裁選に打って出たところで、地方票を集められる力はどれだけあるでしょうか。「令和おじさん」と呼ばれた菅さんの人気とは、砂上の楼閣のようなものなのかもしれません。

■“選択肢外”の山本太郎は野党の救世主か?

――最後に、選択肢に挙げていなかった「れいわ新選組」の山本太郎代表が8位に食い込んだ点はいかがでしょうか。

 9月に全国行脚を始めて以来、各地で街頭記者会見を見てきました。

 党組織も支援団体もなく、口コミだけで、全国の主要都市、どこに行っても200から300人集める力はすごい。演説の面白さもアドリブの上手さも小泉進次郎さんを軽くしのぐ。最近の小泉さんが「意外と勉強していない」と思われる政治家だとすれば、山本太郎さんは「意外と勉強している」と見直される。その強みが確かにあります。

 しかし、不思議なのですが、どこかの都市だけ飛びぬけて、300人以上を街頭に集められたというケースはほとんどない。一時は保守層に食い込むと分析していた学者もいましたが、私が何百回と見てきた自民党の演説会とは明らかに雰囲気が違う人たちが集まります。これほどメディアに取り上げられ、一部の論客によって無批判のうちにブームが盛り上げられているにもかかわらず、世論調査の政党支持率に表れない。今回のアンケートで出た数値が限界なのではないでしょうか。

 党本部のありかたを見ていても限界を感じます。やはり、野外フェス風の演説会を手掛けるイベント屋集団としての能力は高いのですが、「イベント屋」の域を出ません。斎藤まさし氏の「市民の党」を源流とする市民派の人たちが中心で、とても農山村、あるいは経済界には浸透するとは思えない独特のカラーを有しています。山本さんは「次の衆院選に百人擁立」と掲げていますが、町工場のような党本部の中に全国的な選挙戦略を組み立てられそうな人材は、年末に採用された元自民党関係者くらい。広報体制も脆弱で、私なんか、しょっちゅう取材に行って山本太郎さんとやりとりしているのに、いまだにプレスリリースが届きません。

 一方、参院選で集めた4億円の使途も気になります。これは、いずれ総務省が公表するものですが、山本太郎さんが「総理大臣を目指す」と言っている以上、れいわ新選組が国政政党、政権を狙う政党としての資格があるかどうかを見極める材料になると思います。

 私は山本太郎さんの伸びしろの大きさを感じていますが、今の状態でれいわ新選組にとどまるようなら、「政権担当能力を有する政治家」にはなれないと見ています。今ある「しがらみ」を見直し、もう一度、大きな党派に飛び込んで、経験豊かなトレーナーを付けた上で成長し、様々な政局を切り抜ける知恵をつけながら、組織のなかでポストも経験する。そのようなキャリアを描いていかないと、持ち前の「やんちゃさ」も生かされぬまま、これまでいたタレント議員とそれほど変わらない形で消えていくと思われます。

 しかし、今回の調査で選択肢になかった山本さんに対し、自由記述という形でこれだけの期待が集まるならば、6月に行われる東京都知事選に出ても良い勝負ができるのでは。2020年は、山本さんにとっても、水モノの人気を生かせるかどうか、大きな分かれ目になると思います。

( #1 「ポスト安倍」人気 安倍首相4選が2位、では1位は? アンケート 結果 へ)
( #3 ポスト安倍に急浮上 河野太郎「河野家3代の悲願」天下取りの可能性 へ)

ポスト安倍に急浮上 河野太郎「河野家3代の悲願」天下取りの可能性は? へ続く

(常井 健一)

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