「例年は夏休みに始める過去問に今すぐ着手」東大理Vに子供4人合格 佐藤ママが教える『コロナ休校を味方につける勉強術』【高校受験篇】

「例年は夏休みに始める過去問に今すぐ着手」東大理Vに子供4人合格 佐藤ママが教える『コロナ休校を味方につける勉強術』【高校受験篇】

”佐藤ママ”こと佐藤亮子さん ©?文藝春秋

「一週間、朝から晩まで算数を」東大理Vに子供4人合格 佐藤ママが教える『コロナ休校を味方につける勉強術』【中学受験篇】 から続く

 小中高の全国一斉休校がスタートして約3カ月。「オンライン授業が始まったけれど、子供の集中力が続かない」「すでに学校が再開した自治体、再開前倒しを発表する自治体もあるのに、ウチの地域は……」等々、頭を悩ませている親は多いのではないでしょうか? 今、日本の教育は家庭がかなりの部分を担わざるをえない状況です。

「だからこそ私が恐れているのは、休校期間中に家でダラダラ過ごした子と、きちんと勉強した子とでは、学校が再開するころには驚くほどの教育格差がついているということです」

 と警鐘を鳴らすのは、息子3人と娘1人を東大理Vに合格させたことで知られ、現在は教育・受験アドバイザーとして活躍する“佐藤ママ”こと佐藤亮子さん。子供たちが東京に進学するまでは、奈良県の自宅のリビングで毎日勉強のサポートをしていた佐藤さんは、「家庭学習はちょっとした工夫ではかどるようになる」「いまは時間があるのだから、それをうまく利用して」と言います。

「この3カ月で子供の生活時間がすっかり乱れてしまった」というご家庭でも、今から変えれば大丈夫。全4回の集中連載で、佐藤ママ流のコロナ禍の勉強法を教えていただきます。第3回の今日は【高校受験篇】。

(全4回の#3/ # 1 、 #2 、#4は後日公開予定)

◆◆◆

■【ポイント1】日本人の“参考書主義”はムダ。合格する人は“問題集主義”

 前回は中学受験を控える小学生にとって、復習がいかに大切かをお話ししました。では、高校受験の場合はどうでしょう。高校受験もアプローチの仕方は全く同じで、まずは「復習」をする。ポイントは、英語の不安をなくすことです。中学3年生であれば、中1、中2と過去2年分の範囲を初めからやり直しましょう。

「ABC……」とか「It is〜〜」とか基礎からやり直すんです。ただ、どんなに英語が苦手な人でも「さすがに中3にもなってABCからやり直すのは……」と飛ばしてしまう人が多いのです。その考えが甘い! 苦手でテストで点が取れないんでしょう? そんな何の役にも立たないプライドなんか早く捨てて、「1ページ目からやり直す」という謙虚な気持ちで復習しましょう。他の苦手な科目を復習するときも同じで、最初の一歩から必ずやり直すべきです。

 もう一つ復習をする上でのポイントがあります。それは自分に合ったやりやすい問題集を買う、ということです。復習となると「教科書を見直す」と考える人が非常に多いんです。まず、教科書の内容をよく理解してから問題を解きたい、という気持ちは分かります。でも、そんなことをしていたら時間ばかりかかって、あっという間に受験本番を迎えてしまいます。そもそも、教科書は授業で一度見ているから、新鮮味がなくてヤル気が出ません。

 教科書を真面目に復習しようとする人は、「勉強とは頑張ってやるもの」と思い込んでいるのではないでしょうか。それは間違いです。勉強は、頑張らなくても続けられる方法を考えるべきです。頑張れない自分を責めるのではなくて、やり方を変えましょう。

 お母さん方からはよく「どんな参考書を買うべきでしょうか」という質問もいただきます。そんな時、私は必ず「参考書よりも問題集からやってください」と答えています。日本人は本当に“参考書主義”の人が多いんです。まず参考書をしっかり覚えてから、その次に問題集をやろうと考えてしまう。参考書を開くと、大事な箇所は色を変えて強調されてはいますが、とはいえ説明がビッシリと書かれていて、どれが重要なポイントか分かりづらい。さらには覚えながら読もうとするから余計に時間がかかります。まずは問題集を解いてみましょう。合格者に話を聞くと、大抵の人が問題集から取り掛かっています。受験は“問題集主義”でいくのが正解です!

■【ポイント2】分からない問題は、すぐに「解答」を見たほうがいい

 問題集をやってみると、最初は分からない箇所も多いかもしれません。例えば、穴埋め問題で1〜10番までカッコがあったとすると、いきなり1番目のカッコでつまずくこともあります。すると、そこを飛ばして次の2番目のカッコに移ろうとする……これでは駄目です。

分からなかったら、すぐに解答を見る。「ふ〜ん」と納得したら、2番に取り掛かる。また分からなければ、答えをすぐに見て「ふ〜ん」と納得。それでもすぐに忘れたりしますが、そんなのは当たり前。気にしなくて大丈夫です。分からない→解答を見る→「ふ〜ん」→分からない→解答を見る→「ふ〜ん」をひたすら繰り返すのです。人間の記憶は「上書き保存」が基本ですから、このループを何度繰り返せるかが勝負なんです。

 分からない問題を1秒でも考えるのは時間の無駄です。多くの人が「すぐに解答を見るのは悪いこと」という価値観に縛られていますが、じっと考えても答えが出てくるわけはありません。「分からない!」と思ったら、瞬時に答えを見ることがコツ。そうすることで、頭の中に知識がインプットされやすくなるんです。

■【ポイント3】最初から分からなかった問題の解答は、青色か緑色のペンで写す

 分からなかった問題は解答を見て正しい答えを書き写すわけですが、その際には、鉛筆ではなく、青色か緑色のペンを使いましょう。全部、鉛筆で書き込むと、あとで振り返った時に、自分でも「どの答えが分かって、どの答えが分からなかったのか」判別がつかなくなります。

 実は問題の間違い方には、

(1)「自分では分かったと思って解答を書いたけど、それが間違いだった」
(2)「そもそも最初から分からなかった」

 という2通りがあります。

 これは区別しておくべきです。なので、解答を書き込む際には、(1)は赤色のペンで、(2)は青色か緑色のペンで書き込むようにしておけば、見分けがつきやすくなります。私は、個人的には青色の方が見やすくてお薦めですが、緑色がお好きなら緑色で良いと思います。

■【ポイント4】目指せ虹色! 参考書の間違えた項目には、間違えるごとに違う色の下線を引く

 問題集をある程度解いたら、ここでようやく参考書を開いてみます。すると問題集に出ていた項目が書かれていますから、「なるほど、こんなところが問題として出題されるのか」とよく分かるんです。自分が問題集を解いていて間違えた項目を参考書の中に見つけたら、そこにラインマーカーを引いておきましょう。色は、黄色が良いと思います。

 そして問題集が一通り終わったら、2回目は答えを見ずにノートに解いてみる。もし、まだその自信がなかったら、もう一度、解答を横に置いて、答えをノートに書いても良いです。2回目なので、思ったより早く進むと思います。さらにその次は、解答無しで解いてみてください。

 参考書に自分が間違えた項目が載っていたら、その度ごとにマークを付けていきましょう。1回目は、先ほど言ったように黄色で。2回目もまた同じところを間違えていたら、今度は色鉛筆で、最初の黄色で引いたマークの下に線を引く。3回目も同じ箇所を間違えたら、さらに違う色の色鉛筆で下線を引く。その作業を何度も繰り返していたら、参考書のある項目にだけ、たくさんの色で下線を引いているので、やがて虹色みたいになります。そこがテストに必ず出題されるところであり、あなたがよく間違える重要な項目ということです。

 次第に参考書にも愛着が湧いてきて、「使い込んだ」という気持ちが少しずつ自信に変わります。下線を引くのは色鉛筆がおすすめです。色の種類が多いので。ボールペンだと何度も下線を引いているうちに参考書に穴が開いてしまいます(笑)。

■【ポイント5】問題集は2度以上解くことを前提に、最初に2冊買っておく

 同じ問題集を2回以上は解くので、効率よくするために、あらかじめ同じ問題集を2冊買っておくことをお薦めします。いちいちコピーしていては大変ですからね。1冊目には答えを書き込んで使い倒して、2冊目の答えは別のノートなどに書く。要するに、何も書き込んでいない問題集を1冊キープしておくと便利ということです。

■【ポイント6】問題集は薄くて易しいほどいい。お薦めは『中学ニューコース問題集』

 では、どんな問題集を選ぶのが良いのでしょうか。まず、薄いこと。問題集はなるべく早く最後のページまで辿り着くのが重要です。分厚いと、いつまで経っても終わらないので、途中で挫折してしまう。文字もギュウギュウ詰めではなく大きくて見やすいもの。そして易しい問題が並んでいるものが良いでしょう。とにかく1冊を最後までやり終え、達成感を味わうことを優先させましょう。易しい問題集でも1冊全部終わらせると、意外なことに実力がついていて、もう少し難しい問題集にトライしても、「あれ?」と不思議に思うほど答えが浮かんでくるものです。

 私のお薦めは『中学ニューコース問題集』(学研プラス)です。「中1理科」「中2数学」といったように、中学1年〜3年それぞれの学年ごとに分かれていて、英語、数学、理科、社会、国語の全5科目をカバーしています。どれも130ページ前後と薄いのもいい感じです。他にも『くわしい問題集』(文英堂)のシリーズなどもお薦めです。

■【ポイント7】過去問は今すぐ着手。本番さながらに取り組む必要はなし!

 よく受験生にとって夏休みは「天王山」と言われます。それは学校の授業がないので、勉強にじっくり取り組める時間があって実力をつけるチャンスだから、そう呼ばれるのです。でも今年は事情が違います。休校によって遅れた分を取り戻すために、学校は7月、8月も授業を行うことが考えられます。そうなると、夏の「天王山」は無くなるかもしれない。むしろ、この休校期間中の今こそが天王山だと考えるべきかもしれません。普通、高校受験を控えた中学3年生は、9月ごろから過去問をやり始めると思いますが、今年の場合、それでは遅い。予定を前倒しして今のうちから過去問を始めることをお薦めします。

 過去問はまさに実際に出題された問題ですから、相手となる志望校の手の内を知ることができる。それを十分知り尽くしてから受験に臨むのが王道ですよね。とくに公立高校の過去問は基礎的な問題が多く、難問・奇問は出ません。そのため受験本番では、ほぼ「満点勝負」という側面もあります。でも、それは裏を返せば実力をつけるのに最適な良問が揃っているということです。

 数学はまだ全部のカリキュラムを終えていないので、今の時点でいきなり過去問は難しいかもしれませんが、英語、国語、社会など文系の科目は過去問をやってみましょう。理科も「水溶液の中和」とか「天体」とか分野ごとに設問が分かれているので、自分が分かる問題だけをやれば良いんです。例えば地元の県立高校の過去問が終わったら、今度は隣の県の過去問を解いてみるとか、そうやって色々な都道府県の過去問に挑戦してみるのも良いと思います。

 過去問をやる時に「さあ、何点とれるかな?」と、本番さながらに制限時間を設けて、自分の実力を試す人が多いと思います。学校や塾の先生も「本番のテストを受けるつもりでやってみなさい」と言う場合が多いんです。それは間違いだと私は思っています。特に今の時期は、問題集と同じで過去問も分からないところがあると思います。その場合もすぐに答えを見てしまいましょう。解き終わったら、もう1冊同じ過去問を用意して、繰り返し解くことが重要です。今は時間を測る必要もありません。それは本番直前の1月からで十分でしょう。

■【ポイント8】歴史の暗記には『学習まんが 日本の歴史』と『学習漫画 世界の歴史』

 休校期間中はせっかく時間があるので、問題集や参考書以外にも例えば、漫画などを活用してみるのはいかがでしょう。日本史や世界史の漫画は最後まで楽しく読めます。全部で十何巻とか、多いものは二十巻を超えると思いますが、授業が始まったら読んでいられないでしょうから、今が読破するチャンスなんです。うちの子供たちも中間・期末テストの前はまず歴史漫画を読んでいました。

 最近は本当にたくさんの種類が出ています。私も書店に行ってパラパラと捲ってみて驚いたのですが、最近の歴史漫画は主人公がかなり美形だったり、キャラが濃過ぎたりするんです(笑)。これでは気が散って肝心の知識が頭に入ってきません。私のお薦めは昔ながらの『学習まんが 日本の歴史』(小学館)や『学習漫画 世界の歴史』(集英社)ですね。登場人物の顔も普通で、キャラが立っていないので、歴史の流れを淡々と追うことができる(笑)。描かれる服装や風景もしっかりと時代考証にもとづいていますし、欄外には細かな注釈が書かれていて、それが意外に役に立ったりするのです。歴史は、現代までの大まかな流れをつかむことが大切ですが、漫画であれば石器時代から現代まであっという間に読めてしまう。受験生の場合は気分転換にも大いに役立ちます。

さとうりょうこ
大分県出身。津田塾大学英文学科卒業後、大分県内の私立高校で英語教師として2年間勤務。 結婚後、弁護士の夫が勤務する奈良県に移り、専業主婦に。4人の子どものうち、長男(1991年生まれ)、次男(1993年生まれ)、三男(1995年生まれ)は灘中学校・灘高等学校を経て、東京大学理科V類に進学。 長女(1998年生まれ)は洛南中学・高等学校を経て、東京大学理科V類に進学。 現在、長男と次男は医師として活躍。三男と長女は東大医学部の学生。 その育児法、教育法に注目が集まり、全国で講演を行っている。 2019年11月にはオンラインサロンをオープン、ますます旺盛な活動を展開する。

(「週刊文春WOMAN」編集部/週刊文春WOMAN 2020 春号)

関連記事(外部サイト)