「北海道のJRローカル線がいきなり廃線に…」コロナで忘れられた“鉄道3大ニュース”とは

「北海道のJRローカル線がいきなり廃線に…」コロナで忘れられた“鉄道3大ニュース”とは

高輪ゲートウェイ駅の暫定開業は3月14日だった。開業記念イベントは新型コロナ感染拡大防止のため見送りに ©AFLO

 冬が終わって桜が咲いて春になり、浮かれ気分のままに大型連休に突入……。そんないつもの3〜5月はあらゆることが変わる季節でもあった。それは鉄道の世界でも同じで、ダイヤ改正が実施されたり全国各地で観光列車が動き始めたりと、ニュースづくしになるのが例年である。

 コロナ一色の今年の春も、ひっそりとそうした変化があった。高輪ゲートウェイ駅の開業はそれなりに話題にもなったが、他にもほんとうならばもっと大きく取り上げられてもいただろう……という鉄道のニュースがあったのだ。というわけで、今回は「コロナの陰に隠れてしまった鉄道3大ニュース」というテーマでお送りしたい。

■(1)GW需要を見込んだはずも……“いきなりの”JR札沼線廃線

 もともと廃線は予定されていたことで、それが少し早まっただけだからたいした問題はないといえばそうなのかもしれない。でも、長年地域を支えてきたローカル線が、コロナ禍の中で急遽廃止が前倒しになり、突然姿を消してしまったというのはやはり寂しいものである。

 廃線となったのは北海道を走るJR札沼線。そのうち、札幌市内への通勤通学路線として利用の多い桑園〜北海道医療大学駅までは残ったが、ローカル線の北海道医療大学〜新十津川間が廃止されたのだ。残念とはいっても末端の浦臼〜新十津川間は1日に1往復しか列車が走っていなかった。新十津川発の上り始発列車は最終列車でもあり、地域輸送にとってとうぜんである“行って帰る”ことができないというのは致命的。公共交通機関としては、とうのむかしに“死んでいた”といっていい。

 そういうわけで廃線は必然だった。2018年の暮れに北海道医療大学〜新十津川間の廃止が決まり、ラストランは2020年5月6日となった。公共交通の役割を終えても鉄道ファンや旅好きにとっては物珍しく、廃止間際には多くの人が訪れる。だから大型連休にたくさん人を集め、最後の最後に地域に貢献してくれよ、という思惑があったのだろう。そこにやってきたのが新型コロナ。連休中は指定席化するとか、地元の人だけが乗れるラストランを前倒しでやるとかいろいろ計画もされていたようだが、4月16日に緊急事態宣言が全国に拡大されると万事休す。翌17日をもって運転を打ち切ることとなって、たいしたイベントもないまま90年の歴史に幕を閉じたのである。

 いつものGWだったらたくさんの人が集まって、大々的にニュースにもなったであろうローカル線の廃止も、コロナの陰でひっそりと。まあ、予定通りにやっていたら “密”になっていただろうから仕方がない。

 筆者も何度か乗ったことがあり、終点の新十津川駅前にある土産物店のような飲食店のような、小さな店に入って、切り盛りしているおばあちゃんと話し込んだこともあった。「列車に乗って来てくれる人も、クルマで来てくれる人もいて、結構お客さんが多いんですよ」と笑っていたあのおばあちゃん、突然の廃止をどういう思いで見つめたのだろうか。

■(2)インバウンド客のため? 東海道新幹線に「特大荷物スペース」誕生

「誕生」などというと大げさなようだが、新幹線の車内設備が変わったわけではない。各車両の最後尾、後ろに人が座らないから心置きなくリクライニングできるあの席の後ろのスペースを、「特大荷物スペース」にしたということである。で、最後尾の座席とセットにして「特大荷物スペースつき座席」として事前予約制化したのだ。4月中に予約がはじまり、5月20日から運用が開始されている(東海道・山陽・九州新幹線が対象)。

 特大荷物とは、3辺の合計が160cm超〜250cm以内の大きな荷物のこと。飛行機で言うなら国際線で機内に持ち込めない大きさのスーツケースなどが該当する。近年はインバウンド客も増えていて、今年はオリンピックもある(はずだった)。そういうお客は荷棚に載せられないくらいに大きい荷物を持ってくることも多く、車両最後尾のスペースが争奪戦になっていたのだとか。そこで、ここを予約制にしてしまえばスムーズになるだろうというわけである。事前予約制とはいっても特に別料金がかかるわけでもないから、確保さえできてしまえば逆に安心。ただ、予約できないと特大荷物を置くことができなくなってしまうので気を付けたい。

 さらにこの制度の存在を知らずに持ち込むと手数料(1000円)がかかってしまう。この制度を導入すると聞いたとき、ルールを知らない外国人と揉めたりするのでは、と心配になった。それに、荷物を置きたいだけでなく、後ろのお客に気を使わずにリクライニングできるから最後尾座席を選ぶ人もいるはずだ。そういう人たちがこの座席を占拠してしまったら困りものでは……とも思った。

 が、心配は今のところ杞憂に終わった。コロナの影響で新幹線の車内はいまのところガラガラ。外国人観光客もほとんど来ないし、日本人もやむを得ない仕事・出張の人がほとんど。160cmを超える特大な荷物を抱える人は少ないはず。ただ今後は新幹線を使う人もいるだろうから、この「特大荷物スペース」ルールは覚えておきたい。

 ちなみに、この春はほんらい東海道新幹線にとって大きな節目になるはずだった。車両がN700Aに統一されたことで、東京〜新大阪間の平均所要時間が2時間30分切りを達成。「のぞみ」の運転本数もこれまでの毎時最大10本から12本にまで増やすことができた。しかしその本領はいまだに発揮されていない。果たして、「のぞみ」の毎時12本がバンバン走る日がやってくるのはいつになるのだろうか。

■(3)羽田空港の駅名もひっそり変更

 高輪ゲートウェイ駅が開業した3月14日、同じ首都圏でそれこそひっそり駅名の変更が行われていた。変わったのは東京モノレールと京急空港線の羽田空港における駅名である。

●東京モノレール

 羽田空港国際線ビル駅
 ↓
 羽田空港第3ターミナル駅

 羽田空港第1ビル駅
 ↓
 羽田空港第1ターミナル駅

 羽田空港第2ビル駅
 ↓
 羽田空港第2ターミナル駅? ?

●京急

 羽田空港国際線ターミナル駅
 ↓
 羽田空港第3ターミナル駅

 羽田空港国内線ターミナル駅
 ↓
 羽田空港第1・第2ターミナル駅

 つまり「国際線」「国内線」と分かれていたところを1〜3のターミナル番号にあわせて改称したということである。これは羽田空港のターミナル名の改称にあわせたものだから、どちらかというと鉄道というよりは航空業界のニュースに近いのかもしれない。

 国際線を拡充する羽田空港では、これまで国内線専用だった第2ターミナルにも国際線施設を開業させた。これによって国際線ターミナルは第3ターミナルに改められて、そちらに駅名も合わせました、ということだ。

 本来ならば急に駅名が変わって降りるところを間違えたとか、わかりにくくなったとかそういうトラブルが起こって話題になっていたはず……いつも使っている人にとっては駅名変更もあまり戸惑うことはないが、空港の駅のように多くの人がたまにしか利用しない場合、駅名変更はややこしいものだ。

 しかし、この春は肝心の羽田空港自体、ほとんど誰もやってこない状況になってしまった。準備を整えて拡張した国際線はほとんど飛んでいないし、国内線だって利用する人はごくまばら。そういう状況下では、羽田空港の駅名変更は取るに足らない小さなニュースになってしまったのだろう。そしてちなみに、京急では同じタイミングで他にもいくつかの駅名を変更している。これこそ、“ひっそり”という言葉がふさわしいが、それはまた別の機会に取り上げることにしたい。

 札沼線の廃線は別として、新幹線の特大荷物スペースも羽田空港の駅名変更も、来たるべき東京オリンピックやインバウンド客の増加にあわせた動きのひとつであった。4月の訪日外国人客が前年比99.9%減と報じられたが、制度導入や駅名変更の発表時には、とうぜん今の状況が想像できたわけはない。「コロナだからやっぱりやめます」というワケにもいかず、仕方がないと言うほかない。

 ガラガラの新幹線の片隅の特大荷物スペースと、羽田空港の新駅名。GWに最後の人集めを託されつつも果たせなかった北国のローカル線――世間から忘れられたニュースにも、少しだけ目を向けてみたいものである。

(鼠入 昌史)

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