【京アニ火災・容疑者逮捕】放火犯を反省させた女性看護師「こんなに優しくしてもらったことはなかった」

【京アニ火災・容疑者逮捕】放火犯を反省させた女性看護師「こんなに優しくしてもらったことはなかった」

現場は2020年4月までに解体予定

 発生から10カ月、「京都アニメーション」第1スタジオ放火殺人事件で、京都府警は5月27日、さいたま市の無職・青葉真司容疑者(42)を逮捕した。

 社員36人が死亡、33人が重軽傷を負ったこの事件。なぜこのような惨劇が起きてしまったのか――。青葉容疑者の人物像を報じた「週刊文春」(2020年1月2・9日号)の記事を再公開する。(記事中の年齢、日付、肩書などは掲載時のまま)

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「事件の直後はぎょうさん人が来てはったけど、今は静か。でも、あの時見た犯人の顔はずっと心にある。焼け焦げた真っ黒な顔で意味の分からんことわめいていたあの人の顔が、何度も何度も蘇ってね。恐ろしくて腹立って、何とも言えん気持ちになるんです」(事件を目撃した近隣住民)

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 36人が死亡し、33人が重軽傷を負った京都アニメーション放火殺人事件から5カ月。現場となった京都市伏見区の第一スタジオは、解体に向けた準備作業が進んでいる。

 ガソリンを撒いて火をつけたとして殺人容疑などで逮捕状が出ている青葉真司容疑者(41)は、自身も重度の火傷を負った。

「火傷は全身の90パーセントに及び、一時は重篤な状態でした。移植用の皮膚を提供する『スキンバンク』は、常にドナー不足のため、被害者を優先すべきと判断。結果、青葉は自己の組織を培養した『培養皮膚』の移植を繰り返し、奇跡的に一命を取りとめた。これほど広範囲の移植は世界的にも異例として、2020年にも学会で発表される予定です」(医療関係者)

 現在は治療にあたった大阪府内の近畿大学病院から、京都市内の病院に移った。

「まだ立ち上がることはできないが、車椅子に座ったり、介助されながらの食事や会話はできるまで回復している」(同前)

 11月8日に行われた最初の事情聴取で、青葉は「埼玉の自宅を出るときから殺意があった」「一番多くの人が働いている第一スタジオを狙った」などと供述。一方で、近大病院の医療チームに対しては「人からこんなに優しくしてもらったことは今までなかった」と感謝し、「人の道を外れることをした」などと、初めて反省とも受け取れる言葉を口にしたという。

■青葉容疑者が気に入った女子看護師

「実は、近大病院で看護にあたっていた女性看護師の1人を気に入ったらしく、彼女がいる時は機嫌が良くて殊勝な態度を取るが、いない時は不機嫌でわがままに振る舞っていた。転院した現在の病院では、彼女がいないこともあって気分の波が激しく、『どうせ死刑だから』『話す必要がない』などとふて腐れ、リハビリにも消極的だといいます。体調の回復を待って、逮捕は20年になる見通しです」(捜査関係者)

 青葉は過去、2度の逮捕歴がある。1度目は06年の下着泥棒。その6年後には、茨城県坂東市内でコンビニ強盗事件を起こして収監された。

 元刑務所仲間が明かす。

「青葉は気に入らないヤツには刑務官であろうと誰かれかまわずキレる“危ない奴”として有名だった。彼1人だけが5類まである優遇区分に属さない、『特別危険受刑者』を表す黄色の帽子をかぶっていた。当時は痩せていて、福山雅治って言ってもいいくらいイケメンだったね。人によって態度を変え、嫌っているヤツから『彼女いるのか?』と聞かれただけで、『うるせえ! 探ってんじゃねーよ』と、暴れていました」

 両親は離婚しており、父親は青葉が21歳の頃に自殺。下着泥棒後に一時、身元を引き受けた実母とも断絶状態で、今に至るまで面会していない。

 娘を奪われた遺族の1人はこう打ち明ける。

「犯人に対しては何の感情もない。どう考えても何を思っても、娘は戻らないですから。それがただただ、毎日悲しいんです」

 青葉が人の心を取り戻し、遺族の声に耳を傾ける日は、まだまだ先になりそうだ。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年1月2・9日号)

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