中絶手術、人身売買……米国育ちの中国系ナンフー・ワン監督が追った中国の闇 「一人っ子の国」を採点!

中絶手術、人身売買……米国育ちの中国系ナンフー・ワン監督が追った中国の闇 「一人っ子の国」を採点!

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■〈解説〉

1979年から2015年まで実施された中国の一人っ子政策の実態と、負の遺産に迫るドキュメンタリー。1985年に中国に生まれ、現在は米国に暮らすナンフー・ワン監督は、自身の出産を機に故郷を訪れ、家族や当時の村長、助産師らに取材。女性に不妊や中絶の手術を強いる政策に従ったことを、誰もが「仕方なかった」と振り返る。どの家庭も男の子を欲しがったため、女児は捨てられ、人身売買組織を通して国外に売られていたことも明らかになる。さらには、1992年に施行された国際養子縁組制度を利用して、役人が子供を拉致して私服を肥やしていた例も発覚する。10歳のときに連れ去られた双子の姉との再会を願う少女のために、監督は調査を開始する。2019年サンダンス映画祭のドキュメンタリー部門でグランプリを受賞。ジアリン・チャンとの共同監督作。88分。

中野翠(コラムニスト)

★★★★☆米国育ちの若い中国系女性監督だからこその絶妙な距離感。国家と個人、公と私、政治と性……さまざまな思いが交錯。

芝山幹郎(翻訳家)

★★★★☆パーソナルな映像を前面に出すことで、一党独裁の醜悪な側面を明快にえぐり出す。重層性が欲しいが、噛み応えはある。

斎藤綾子(作家)

★★★★★実話という事を心に助産師2人の話と映像を注視。人口戦争という名の洗脳を女性監督がここまで追った清廉さは必見。

森直人(映画評論家)

★★★★☆事実の切開に怯まず、「政策の子供」たる監督が闇の奥まで徹底追究。『在りし日の歌』のコアを煮詰めたような衝撃だ。

洞口依子(女優)

★★★★☆歴史的事実を個人的スコープで覗く。アイコンタクトを取るようなカメラ。『芙蓉鎮』『在りし日の歌』を継ぐ深い考察。

『一人っ子の国』(米)
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(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年6月11日号)

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