2500万人が回答! 新型コロナ「LINE全国調査」はたった1週間で作られた

2500万人が参加した新型コロナウイルス「LINE全国調査」 企画者が裏側明かす

記事まとめ

  • LINEに届いた「新型コロナ対策のための全国調査」第1回には約2500万人が回答した
  • 有働由美子がこの調査を企画した慶應義塾大学教授の宮田裕章さんとオンライン対談
  • 宮田さんは「1週間で作り上げました」と調査の裏側を明かした

2500万人が回答! 新型コロナ「LINE全国調査」はたった1週間で作られた

2500万人が回答! 新型コロナ「LINE全国調査」はたった1週間で作られた

有働由美子さん(※写真は4月号対談時のものです)

 今春、LINEに届いた「新型コロナ対策のための全国調査」を目にした人も多いのではないだろうか。第1回の調査には約2500万人が回答。日本人の約5人に1人が回答した、国勢調査を除けば史上2番目に大きな調査という。

 この「LINE全国調査」を企画したのが、慶應義塾大学教授で、神奈川県顧問を務める宮田裕章さんだ。

「news zero」のキャスターを務める有働由美子さんが、新型コロナウイルス対策の第一人者から「宮田さんに話を聞いたほうがいい。彼には次の社会のビジョンが見えている」とアドバイスされ、「文藝春秋」7月号で連載「有働由美子のマイフェアパーソン」では初となるオンラインで対談を行った。

◆ ◆ ◆

有働 先生のことはテレビで拝見して、大学教授らしからぬ銀髪にパンクなファッションでずっと気になっておりました(笑)。

宮田 私は慶應大学と東京大学の医学部で教授をしていますが、医師ではありません。医療や行政、企業の現場にいる人たちと連携し、ビッグデータやAIなどの科学を用いて社会をより良くすることを目指して研究しています。日本政府が推進する「Society5.0」や、世界経済フォーラムのプロジェクトなど、未来の社会を構想する国内外の約300のプロジェクトに関わっています。髪や服装についてはよく聞かれますが(笑)、スーツよりも世の中の多様性を表現できると思っているからです。

有働 プロジェクトを300も!?

 そんなにお忙しい中、SNSを使った全国調査を発案したきっかけは何だったんですか。

宮田 医療政策という点から言えば、感染症も広義の専門内ですが、これまでは心疾患やがんなどの非感染症との関わりが強く、感染症はあまり縁のない分野でした。ですから、ダイヤモンド・プリンセス号での感染が報じられていた頃は、事態を見守っていました。ただ、事態の推移を見るうちに、これまでの対策だけでは難しいなと感じました。

■クラスター対策では見えないデータ

有働 何がマズかったんでしょう。

宮田 現状の感染症の対策は水際対策の、超急性期の救急対応の専門家が中心になっています。SARSのように症状が発現すれば対処できるのですが、新型コロナウイルスは無症状の潜伏期間中も感染力を持ち、しかもその期間が2週間と非常に長いのが特徴です。

 日本は当初クラスター対策をしていたので、かなり的を絞った感染者のデータしかもっていませんでした。それではウイルスが抑え込めなくなった時に、打つ手が限定されてしまう。無症状者を含む膨大なデータも組み合わせて、多角的な視点から対策を練る必要があるんじゃないかと思いました。

有働 クラスターが発生した場所だけでなく、全国の状況を把握するためにSNSに目をつけたのですね。

宮田 私とLINEの執行役員である江口清貴さんが神奈川県顧問を務めていたこともあり、LINEを使ったアプローチを考えました。初期のクラスター対策は功を奏していましたし、厚労省の友人たちも夜も寝ずにコロナと闘っていました。ただ、カウンターリアクションに多くのリソースを使わざるをえず、新しいことを企画する余裕がないという窮状を聞き、外部だからこそ出来ることを支援として届けようというのがプロジェクト開始の動機です。

■1週間でシステムを構築!

有働 全国調査をする一方で、各地域の公式アカウント「新型コロナ対策パーソナルサポート」(現在18の地域で実施)に友だち登録をすると、利用者の状況に合わせて、医療機関を受診するタイミングなどを通知したり、個別に相談できるサポートもされていますね。

宮田 はい。新型コロナの感染者が呈する症状は刻一刻と変わるので、最新情報を得るのはとても難しい。情報を1カ所に集約して更新し、一人ひとりに寄り添ったサポートをすることも大きな目的の一つでした。

有働 システムはいつから構想していたんですか。

宮田 着手し始めたのは2月末です。最初は3月半ばまでにできれば良いかなと考えていたんですが、3月頭に学校の一斉休校が決まって、このままでは間に合わないと1週間で作り上げました。開発したメンバーの過半数とは、まだ会ったこともないんですよ。

有働 たった1週間で!?

宮田 はい。膨大なデータを保管するスペースを確保するため、AMAZONに声をかけたところ、即座に快諾してくれました。今回、AMAZONもLINEも無償で協力してくれており、深く感謝しています。

有働 巨大企業なのに、そんなに意思決定が速いんですね。

宮田 彼らは社会に信頼されるためにどういう仕事をすべきなのかを常に考えて実践しています。信頼こそ次の社会のキーワードということを強く認識していると思います。

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 宮田さんは「文藝春秋」7月号および「文藝春秋digital」掲載の「 コロナLINE調査で見えたこと 」で、これからの時代は、「データ監視社会」ではなく「データを共有財として使う社会」を目指すべきと指摘。さらに、現金給付だけではない「マイナンバーカード」の活用法、新型コロナウイルスにたとえBCGワクチンが予防的な効果を持っていたとしても、大人に投与すべきではない理由などについて語っている。

 理想を語る夢想家でも、他者の批判をする批評家でもなく、実際に手を動かして行動する「実践の人」の未来への提言は、実に示唆に富んでいた。

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(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2020年7月号)

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