ホラー漫画家・楳図かずお(83)赤白の「まことちゃんハウス」が庭木伸び放題で廃墟寸前? 本人は……

「まことちゃんハウス」楳図かずお氏のボーダー柄の家が廃墟寸前に 本人に直撃

記事まとめ

  • 「まことちゃんハウス」と言われる楳図かずお氏のボーダー柄の家は、吉祥寺にある
  • 雑草が背丈まで生い茂り、庭木は荒れ果てて、道路から建物の外観はほぼ見えないという
  • 楳図氏は「あの辺りに近づくだけで、ゾッとするんで行ってないんです」と話した

ホラー漫画家・楳図かずお(83)赤白の「まことちゃんハウス」が庭木伸び放題で廃墟寸前? 本人は……

ホラー漫画家・楳図かずお(83)赤白の「まことちゃんハウス」が庭木伸び放題で廃墟寸前? 本人は……

“まことちゃんハウス”の家主・楳図かずお氏 ©文藝春秋

「雑草が背丈まで生い茂り、庭木は荒れ果てて、道路から建物の外観はほとんど見えません。以前は散歩する楳図さんとすれ違いましたが、最近は見掛けない。コロナのこともあって心配しています」(近所の女性住人)

 東京でも有数の人気を誇る住宅街・吉祥寺の閑静な一角に建つ、三角屋根の赤と白のボーダー柄の洋風建築。所有者はギャグ漫画「まことちゃん」、ホラーSF漫画「漂流教室」などの代表作で知られる漫画家楳図かずお氏(83)だ。

■13年前の“まことちゃんハウス”騒動

 楳図氏といえば、その作品が漫画界に止まらない幅広いクリエーターに影響を与えるなど、業界の“レジェンド”とされる一人。赤白のボーダー柄のTシャツがトレードマークの楳図氏のユニークなキャラクターは、テレビのバラエティ番組でも人気だった。

 そんな楳図氏がニュースやワイドショーで大きな注目を浴びたのが、この自宅の建築を巡る騒動だった。建築当時に取材したスポーツ紙デスクが振り返る。

「吉祥寺の自宅、通称 “まことちゃんハウス”が話題になったのは13年前の2007年7月のこと。当時建築中だった赤と白のボーダー柄を外壁に施した自宅に対して、近隣住人から『周囲の景観を無視した奇っ怪な建物』『色彩の暴力』などとして、建築工事差し止めを求める仮処分を東京地裁に申し立てたのです。この騒動は連日大きく報じられて、いつしか観光地化し、まことちゃんハウス前で記念撮影する人が絶えなかった」

 この建築工事差し止めの仮処分申し立てについて、東京地裁は近隣住民の訴えを却下。さらに楳図さんは、近隣住民から赤白のボーダー柄の外壁撤去を求めた民事訴訟を起こされ、これにも09年1月に勝訴している。

 赤白のボーダー柄について、法廷で「赤は元気で生きてる印、白は無垢で何にもないという余白。ストライプはまとまって見せて、エネルギーを感じさせてくれる」と語っていた楳図氏。2年を要した裁判後には、「近隣住人との関係は、時間が解決してくれると思う」とも打ち明けていた。

■荒れ果ててしまった豪邸

 しかし今や、その家に楳図氏が姿を現さないばかりか、荒れ果てているという。屋根にある、あの"グワシ"のポーズの「まことちゃん像」が目印の建物は、いまどうなっているのか。

 確認のため取材班が現場へ向かうと、「まことちゃんハウス」は事前の情報の通り、雑草で覆われ、完成当初の面影はなかった。ライトやセキュリティ関係は作動しているようだが、玄関にアプローチする通路や階段は何年も人が通った形跡がないように見える荒れ具合だ。

「昨年からずっと手付かずのままで、庭は草が伸び放題。石畳や石垣は埋もれてしまっています。庭の木々は道路側まで広がり、落ち葉も歩道に落ちたまま。高齢者が多い地域なので避けて歩かなければならない状況です。もはやあの家が楳図さんの家だと気づく人は少ない。周辺はお屋敷街で庭の手入れも行き届いた家ばかりですから、別の意味で目立っています」(地域住民)

■楳図氏に直接、真意を尋ねると……

 楳図さんの近況について、スポーツ紙記者が解説する。

「昨年も、漫画家としての活動が評価されて文化庁長官表彰を受けています。漫画のグッズも人気でいまでも定期的に楳図先生監修のキャラクターグッズが発売されていますが、最近はテレビでの露出は減りましたね」

 6月中旬の夕方、「まことちゃんハウス」から徒歩数分の距離にある楳図氏の自宅兼事務所マンション近くで見覚えのある赤と白のボーダー柄の服で歩くマスク姿の楳図氏を発見。話を聞いた。

――「まことちゃんハウス」が草木で埋もれてしまって、廃墟のようになっていますが、どうされたんですか?

「あの辺りに近づくだけで、ゾッとするんで行ってないんです。前まではお掃除しに毎日行っていたんですけど、最後にあの家に行ったのはいつだろう……去年ですね。台風でシンボルにしていたモミの木が倒れちゃったんですよ。庭師の方に引き取ってもらって、それから気分的に行かなくなりました。もう1年近く行ってないですね。前にも近所の人から『木を切っていいですか』と聞かれたので、『どうぞ、お好きなように』という感じです」

――「まことちゃんハウス」が完成して10年以上が経ちますが、どのくらい住まれたんですか?

「最初の頃に4、5日くらいいたかもしれませんけど、あそこに行くこと自体嫌なんです。庭の手入れは最初の頃からいろいろな庭師の方や業者にもお願いしていたのですが、いまはくたびれてしまったんです」

 近隣住人との裁判沙汰が、10年以上の時を経ても楳図氏のトラウマとなっているようだ。

■「まことちゃんハウス」の意外な用途

 30年以上前から吉祥寺に居を構えている楳図氏は、自宅兼事務所マンションのほかに八王子に一戸建て、八ヶ岳に別荘も所有しているという。そもそも楳図氏曰く、「まことちゃんハウス」は自宅ではなく、来賓を迎える“ゲストハウス”だったと打ち明ける。

「建物の基本って、僕はギリシャにあると思うんです。僕のお家(まことちゃんハウス)の玄関も半円形の屋根を4本の円柱が支えている。だけど近所の人にしたら、“派手”か“地味”の二択で、『派手だから悪い』となってしまった。

 以前は、『外国に向けて日本を背負っている』という気も半分くらいあった。それで、あの家は“見栄え優先”で、外国から来た大事なお客さんとかをご招待して、あそこで応対したりしていました。インタビューとかの仕事もあの家で受けたりしていました。けど、今は(事務所のような)貧相な所で受けても理解してもらえるので」

 すでに楳図氏の中では「まことちゃんハウス」は、過去のものになっているようだ。現在、マンションで一人暮らしの楳図氏だが、コロナ禍ではどのような生活をしていたのだろうか。

「僕、基本的に病院というのは行ったことがないんですね。前に転んで頭を打ったときにお医者さんから悪いところは何もありませんと言われまして、元気です。ひとりで身の回りのこと、お仕事、(事務的な)連絡、すべてやっています。ここ何年もテレビは見てないですね。ラジオで外国語の勉強を30年くらいしています」

――今後「まことちゃんハウス」を手放す可能性はありますか?

「家を買うのは簡単だけど、売るのは面倒くさいんですよ。僕の気持ちは今、あの家にはなくて、あの家は今、眠っています。ただ、僕はまだ隠居しているつもりはないですよ。今はまだ言えませんが、皆さんがびっくりするようなことが年末に公表されると思うので、楽しみにしていてください。(近々「まことちゃんハウス」に行く予定は?)ないです」

 近所の住人が語る。

「吉祥寺には、水島新司さん(『ドカベン』)、原哲夫さん(『北斗の拳』)ら日本を代表する多くの漫画家が住んでいて、以前は楳図さんのファンと思われる外国人の方たちをたくさん見かけて、カメラ片手にあの家(まことちゃんハウス)を熱心に見ていました。楳図さんは地元の宝ですが、観光客やファンが今のまことちゃんハウスを見たら、少し複雑な気持ちになるかもしれません」

 取材を終えて立ち去るとき、建物に立つまことちゃんの表情がどこか寂しそうに見えた。主が戻る日はくるのだろうか。

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

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