小池百合子優勢…都知事選前に絶対説明しない「2つの大切なこと」

小池百合子優勢…都知事選前に絶対説明しない「2つの大切なこと」

小池百合子氏 ©?文藝春秋

「AI美空ひばり」は昨年のNHK紅白で賛否を呼んだが、実はそれより早く登場していたのが「AI小池百合子」である。

■4年前、情報公開を訴えて大ウケ

 4年前の都知事選で小池候補は都政を“ブラックボックス”だとして情報公開を訴えた。大ウケした。築地市場の豊洲移転問題に切り込むことも約束。しかしその1年後、「築地は守る、豊洲を活かす」とぼんやりしたことを選挙前(17年都議選)になって急に打ち出した。

 毎日新聞記者から「豊洲市場の移転問題に関する検討過程の記録が残っておらず、情報公開という知事の方針に逆行するのでは。所見を聞きたい」という質問(2017年8月10日の定例記者会見)が出ると、

「情報というか、文書が不存在であると、それはAIだからです」(小池氏)

《「最後の決めはどうかというと、人工知能です。人工知能というのは、つまり政策決定者である私が決めたということ」などと話した。》(産経ニュース2017年8月15日)

 意味不明である。

 私は以前から菅官房長官が機械的に同じ言葉を繰り返す様子を見てあれはAIではないかと思っていたが、東京都はこの時点で「AI小池百合子」を導入していたことになる。やはり「AI美空ひばり」より早かったのだ。

 それにしても、説明がいい加減すぎない?

■大事なキーワードは「説明」

《過去の都政をブラックボックスと批判した小池氏が、では自身の説明責任を誠実に果たしてきたかというと疑問が多い。》

 これは今回の都知事選の告示前、早々に書かれた社説である(「小池都政4年 『事実』で功罪見極めを」朝日新聞6月13日)。

 やはり小池都知事を考えるうえで大事なキーワードは「説明」なのだ。

■選挙公報には英語・カタカナがたくさん

 4年前に説明を求めて人気を得た人が都知事になったら説明しないという矛盾。言葉が軽すぎやしないかという疑問。

 小池氏の選挙公報には「QoS」「ワイズ・スペンディング」「グレーター東京」など相変わらず英語・カタカナがたくさん。どうせ煙に巻くならアラビア語で書いてほしかった。

 他にも小池氏の4年間での「説明」について私は2点、注目したい。

■その1、関東大震災の追悼文取りやめ

 まずは関東大震災の朝鮮人犠牲者らへの追悼文取りやめである。これは先ほどの社説でも書かれていた。

《関東大震災時の朝鮮人・中国人虐殺をめぐっても、追悼式にメッセージを送るのをやめ、歴史に向き合おうとしない姿勢をのぞかせた。これについてもあいまいな説明に終始する。》(朝日6月13日)

 この問題は都知事選でも語られるべきポイントだと私は思う。当時の記事を見てみよう。

「関東大震災朝鮮人犠牲者への追悼文取りやめ 小池知事」(朝日新聞デジタル2017年8月24日)

《追悼式は毎年、日朝協会などが、都立横網町公園(東京都墨田区)で開いている。1923年の関東大震災時には「朝鮮人が暴動を起こした」といったデマが広がり、多数の朝鮮人らが虐殺された。式典では、その犠牲になった人たちも追悼している。》

 追悼文を歴代知事は送っていたが小池氏は取りやめた。理由については「毎年9月1日に都慰霊協会の主催で関東大震災の犠牲者全体を追悼する行事があり、知事が追悼の辞を寄せている。個々の追悼行事への対応はやめることにした」と都建設局の担当者は説明。

■石原慎太郎元知事でさえ送っていた追悼文

 ジャーナリスト安田浩一氏は昨年出版した『 愛国という名の亡国 』(河出新書)でこの問題について、

《虐殺の犠牲者は「震災の被害者」ではない。震災を生き延びたにもかかわらず、人の手によって殺められた人々だ。まるで事情が違う。》

 とし、

「人災を天災のなかに閉じ込めようとしている」

「天災死と同じように扱うことで、結局、虐殺の事実を見えないようにしている」

 との識者の言葉も紹介している。

 あの石原慎太郎元知事でさえ送っていた追悼文を取りやめた小池氏。その対応と歴史観は今回の選挙で論点になるのは当然だろう。先週末にネット配信された都知事選候補討論会では津田大介氏が小池氏に問うていたがのらりくらりかわすだけだった。

 さらに私が気になるのは追悼文を送るのをやめたきっかけである。当時の記事に注目。

《小池氏は3月、都議会で自民党都議が虐殺の犠牲者数について、主催団体が案内文でも触れている「6千余名」とする説を根拠が希薄などとして問題視し、追悼文送付を見直す必要性を指摘したのに対し、「毎年慣例的に送付してきた。今後については私自身がよく目を通した上で適切に判断する」と答弁して見直しを示唆した。》(朝日新聞デジタル2017年8月24日)

 つまり、自民党都議の質問がきっかけだった可能性が高い。

 小池知事は4年前にド派手に都議会自民党にケンカを売って当選したが、都知事になったらやっぱり自民に恩を売っておきたい、距離を詰めておきたいという思惑はなかったか? 自身の政治的都合で追悼文を取りやめた可能性はないのか?

 実は小池氏の「説明」に同じような思いを抱いたのは直近にもある。大量の防護服を中国に寄付した件だ。

■その2、大量の防護服を中国に寄付

 こちらは『 女帝 小池百合子 』の著者である石井妙子氏が「文藝春秋」7月号で指摘している。

 2月4日に小池氏は自民党本部で二階俊博幹事長と会談。会談後に小池氏は都知事選の話は出なかったと否定した上で、二階氏から中国に寄付する防護服の追加支援を要望されたと語っている。

 しかし不思議なことにこの“美談”、小池氏は中国系メディアに対しては語るが日本メディアには語ることがなかった。

《この情報は三月の都議会で自民党が都知事に質問するまで、まったく表に出ることがなかった。報道機関はもとより、都民は知る由もなく、計五回に渡って防護服は中国に寄付されたのである。総数は三十三万六千着。一着が約八百円相当だと言われ、金額にすれば約二億五千万円である。これらは言うまでもなく都税によって購入された、都民の財産であり、有事への備えとして、備蓄されてきたものである。》(「文藝春秋」2020年7月号)

 中国の役に立ったなら、なぜ小池氏は堂々と日本メディアや都民には報告しなかったのか。“美談”ならいつもは自分から吹聴しそうな小池氏が。

 この対応には中国にパイプが太い二階幹事長へ「恩を売っておきたい」という政治的思惑はなかったのだろうか。

 二階氏は一貫して小池氏を自民党内から支持、擁護してきた人物である。備蓄した防護服=都民の税金を自身の都知事選対策に使ったようにも見えてしまう。

■説明なき小池氏4年間の「実績」

 追悼文取りやめも、防護服寄付も、小池氏の4年間の「実績」である。是非を検証されるべきだがこの実績には政治利用疑惑すら匂うのだ。都知事選論議でのツッコミに期待したい。

 それにしてもやっぱりキーワードは「説明」だった。

「AI小池百合子」さん、どうかきちんとしたご説明を。

(プチ鹿島)

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