タクシー運転手からタメ口とセクハラの数々「家に行っていい?」「結婚適齢期なのに」

タクシー運転手からタメ口とセクハラの数々「家に行っていい?」「結婚適齢期なのに」

写真はイメージ ©iStock.com

タクシー運転手の横柄な態度に、女性客が一度だけ苦情を伝えて「わかったこと」 から続く

? タクシーの車内で男性ドライバーと女性客がふたりきり。タクシードライバーとのトラブルで、思い出すのも嫌なほど苦い体験をした人は少なくない。ドライバーの出方次第で、女性客は気を張らなければならない瞬間がある。(全2回の2回目/ #1 から続く)

◆ ◆ ◆

■「チューしてくれたらタダにするよ」

 北川はるかさん(仮名・28歳)は、学生時代の経験がトラウマになっているという。

「その日は終電を逃してしまい、自宅よりも近くにある彼氏の家までタクシーで帰ることにしました。それでも、片道8000円なので大学生には痛い出費でしたが、駅前のタクシー乗り場に停まっていたタクシーに乗り込みました。後部座席に乗ろうとすると『後ろは汚れてるから、よかったら前に乗りませんか?』と、提案されたんです」

 後部座席を見ても汚れている様子はなかったが「車酔いもするし、時間も長いから前でいいかな」と、軽い気持ちで助手席に座ったという。ドライバーは中年の男性で「隣に座ったので、顔や表情がよく見えた」と北川さんは話す。

「初めは、世間話程度で特に問題はありませんでした。でも、徐々に『かわいいですね。ぶっちゃけ好みのタイプだから前に座ってもらったんですよ』と、隣でニヤニヤ笑いはじめたんです。その後も『彼氏いるんですか?』『結構胸が大きいね〜。Fカップ?』『実家住み? 一人暮らし?』といった質問が続きました。相手がハンドルを握っていると思うと逆ギレされたら怖いので、適当にあしらうしかなかったんです」

 愛想笑いで切り抜けようとするも、相手はどんどんヒートアップ。しまいには「今日はもう仕事が終わるから、君の家に行ってもいい?」「チューしてくれたらタダにするよ」などという発言を繰り返したという。

「1時間近くかけて、やっと目的地についたのですが『お小遣いあげてもダメ? ほんとにタイプなの』と、なかなか運賃を受け取ってもらえませんでした。そこに彼氏が助けに来てくれて『彼女、下ろしてもらっていいですか?』と彼が窓を叩くと、かなり慌てた様子で会計できました。走行中に彼氏にメールで連絡して、下車する場所に来てほしいとお願いしておいたんです。1人だったら家についてきそうな勢いで、本当に気持ち悪かった」

 そのドライバーは、8000円を5000円に割り引き、北川さんを解放したという。取材を進めると、彼女のように、ドライバーから性的なからかいや嫌がらせを受けた経験のある女性も少なくないことが分かった。

■「あなた、結婚適齢期なのに遊んでて大丈夫なの?」

「風俗店の近くを通ったときに、『このへんは歓楽街なんですよ』という言葉を皮切りに、延々と風俗のシステムや自分が通っている風俗の話をされた。困っている私の反応を見て楽しんでいるようだった」(25歳・会社員)

「合コン帰りにタクシーに乗りながら、友だちにその日のことを電話で話していた。その後電話を切るとドライバーに嫌味を言われた。最後は『あなた、結婚適齢期なのに遊んでて大丈夫なの?』とまで言われて、不愉快だった」(27歳・看護師)

「『六本木から歌舞伎町まで』と伝えて女性3人でタクシーに乗車。私たちが話に夢中になっているうちに、かなり遠回りされていた。途中で『ナビ入れてます?』と確認したら、入れていないと言われて、結局倍の料金がかかった。歌舞伎町に到着して、料金が高すぎることを伝えたら『ねえちゃんたち、どうせ水商売とかパパ活とかしてカネがあんだろ? いいじゃねえか払ってくれても』と言われた。結局、全額お金を払った」(24歳・会社員)

■乗車中に「愛人になって」と言われた

 歌舞伎町のガールズバーに勤務している小島菜々さん(仮名・24歳)は、ドライバーから驚きの提案を受けたことがあるという。

「乗車中に『愛人になってほしい』と言われたんです。仕事帰り、男性のお客さんと途中まで一緒にタクシーに乗ることになって、先に男性が降りました。運転手さんは車内に私だけになると『あの人は彼氏?』と話しかけてきたんです。知人だと答えると『実は今、お金を払って愛人契約を結んでいる女がいるんだけど、そろそろ手を切りたい』という身の上話をはじめました」

 最初は「一体、何の話を聞かされているんだ……?」と、不思議に思っていた小島さん。しかし、そのうち彼女の仕事内容や彼氏の有無など、プライベートな話題に踏み込んできたという。

■「ブスのくせに!」と罵声を

「適当にかわしていたら『お金を払うから、新しい愛人にならない?』と、愛人契約の交渉してきたんです。ふたりきりになってほんの10分くらいで、愛人契約を迫られるなんて誰も思わないですよね。驚いてすぐに断ったら『ブスのくせに!』と罵声を浴びせられました」(小島さん)

 自宅を知られるのは危険だと感じ、かなり手前でタクシーを降りたという。

「悪態をつかれたうえに運賃を払って、結局歩いて家まで帰るなんて、あまりにもバカバカしいですよね。こんな思いをするくらいならタクシーに乗りたくないと思って、職場の近くに引っ越しました」

■歌舞伎町界隈の独特な「タクシー事情」

 仮に最初に乗っていた男性を「彼氏」と伝えれば、事態は回避できたのだろうか。

「歌舞伎町界隈のタクシー事情は独特で、歌舞伎町を専門に流しているタクシーも多いんです。なかには『〇〇で働いている△△さんはここに住んでる』とか『この前、××さんが彼氏と一緒に乗ってきた』とか、歌舞伎町で有名な嬢やホストの情報を客に吹聴するドライバーが多いんですよね。あの時は、噂が広まる可能性を考えてしまってうかつなことは言えなかったんです」

 引越し後、タクシーにほとんど乗らなくなった小島さんは「タクシーに乗るときのストレスがなくなって、今は快適ですね」と話していた。

 当然ながら、すべてのタクシードライバーが女性に横柄な態度を取り、性的な嫌がらせをするわけではもちろんない。しかし、こうした体験談の多くは“タクシーあるある”で済まされ、表沙汰になりにくいこともまた事実だろう。直接タクシー会社へ連絡を入れるという方法だけではなく、国や各自治体が運営する相談窓口や、苦情や要望を伝えることができる公益財団法人「タクシーセンター」なども存在する。

取材・文=真島加代/清談社

(清談社)

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