「100人いれば100人がいい子という女の子」に馬乗りで何度も刃物を……沼津女子大生刺殺犯の“身勝手な動機”

「100人いれば100人がいい子という女の子」に馬乗りで何度も刃物を……沼津女子大生刺殺犯の“身勝手な動機”

犯行現場は入り組んだ細い路地 ©共同通信社

 伊豆半島の付け根に位置する静岡県沼津市の西浦久連(にしうらくずら)地区。駿河湾に面し、山間にはみかん畑が広がる小さな集落だ。のどかな空気を切り裂くような悲鳴が響き渡ったのは、6月27日の昼下がりのことだった。

◆ ◆ ◆

■馬乗りになって何度も刃物を……

「午後1時過ぎ頃、外で『助けてください! 助けてください!』と叫ぶ女性の声が聞こえた」(近隣住民)

 悲鳴の主は、アルバイト先のコンビニから帰宅途中の山田未来(みらい)さん(19)。同県三島市にキャンパスを置く日本大学国際関係学部2年の山田さんは、刃物を持って待ち伏せていた同学部2年の堀藍(あおい・20)に、自宅そばで急襲されたのだ。

「犯人は現場近くにしばらく座り込んでいた。通報で駆けつけた警官が、呆然とした様子の若い男を連行していきました」(別の住民)

 助けを求めながら逃げまどった山田さんは、自宅から50メートルほど離れた人家の合間を縫う隘路に倒れていた。追いすがる堀は山田さんを捕らえると、馬乗りになって何度も刃物を振り下ろしていたという。

 捜査関係者の話。

「被害者の首や腹部に十カ所以上の刺し傷があり、死因は失血死。被疑者は殺人未遂の現行犯で逮捕したが、容疑を殺人に切り替えて捜査している」

 県警筋によると、同じ大学に通う山田さんに対し、一方的な好意を寄せていたという堀。

■「相手にされなかったことへの逆恨みとしか思えない」

「普段は大人しいタイプの奴だったようです。亡くなった子と付き合っていたという話は出ていないし、仲がよかったとも聞いていません。相手にされなかったことへの逆恨みとしか思えない」(学部生の一人)

 堀は山梨県内で中学時代を過ごした後、茨城県内の私立高校から日大国際関係学部に入学。本校舎近くの学生向けアパートでひとり暮らしをしていた。山田さんの自宅とは、直線距離で約13キロの場所だ。大学では国際交流やボランティア活動を行う国際協力部に所属。

「大学から認可されている部で、活動もしっかりしています。教員の引率で海外研修もできる」(同部OB)

■トラブルを沼津署に相談していた山田さん

 だが堀は、部内で別の女子学生にわいせつな画像を見せ、その行為が問題視されたこともあったという。

 山田さんは半年前から何らかの危機を感じ取っていた。社会部記者が解説する。

「山田さんは今年1月、身辺のトラブルについて沼津署に相談していたことが分かっています。詳細は明かされていませんが、山田さんがSNSで名前を拡散されているといった内容のようです。その時点で、堀の存在は上がっていなかったといい、署は適切に対応したと説明しています」

 この卑劣な男は山田さんに対して芽生えた好意を、人知れず身勝手な殺意に変えていったのだ。

■「100人いれば100人がいい子という女の子」

 一方、航空関係の仕事に就くことを夢見ていた山田さんには、何の落ち度もなかった。幼少期から山田さんを知る人物が振り返る。

「一家はみかん農園を経営していて、未来ちゃんは小さい頃から家のお手伝いをしていました。弟の面倒見がいいお姉ちゃんで。大学生になってからは、コンビニと子供に勉強を教えるバイトを掛け持ちしていました。男の人とトラブルになるようなところは全くない子だったんです」

 最近は念願の運転免許を取得し、土日のバイト先だった自宅から約3キロ離れたコンビニには、車で通い始めていた山田さん。

「100人いれば100人がいい子だと口を揃えるような女の子でした」(店のオーナー)

 事件の2日後、山田さんの父親は、静岡県警を通じて、コメントを発表した。

〈まだ心の整理がつきませんが、家族一丸となって頑張っていきますので、温かい目で見守りください〉

 家族の無念は察するに余りある。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年7月16日号)

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