SNSで人気の奇抜すぎる「ヒカルの碁ヘア」 若い女性の間で流行の理由

ヘアスタイルの最新形は「ヒカルの碁ヘア」 BLACKPINKジェニーなどが取り入れる

記事まとめ

  • 美容師の操作イトウ氏によると、流行の最新形は「ヒカルの碁ヘア」だという
  • 正式名称は「ミストバング」で、BLACKPINKのジェニーなどが取り入れているそう
  • 前髪だけを明るい色で染めるスタイルで、元ネタは80年代のトレンドと予想

SNSで人気の奇抜すぎる「ヒカルの碁ヘア」 若い女性の間で流行の理由

SNSで人気の奇抜すぎる「ヒカルの碁ヘア」 若い女性の間で流行の理由

リナ・サワヤマ ©getty

 僕は30代二子玉川美容師です。日常的に自分より若い世代と接する事も多く、特に10〜20代前半の子になりたいヘアスタイルを聞いていると、インスタの写真を見ながら「こんな感じにしたい」と、一様にK-POPアイドルの髪型が挙がります。

 男女共に10〜20代を中心にファッションに影響を与えるK-POPアイドルたちの影響力はどこから来たのか、美容師であり、無類の音楽リスナー、エンタメ好きの映画バカである私、操作イトウが、少しの偏見を持って解説します。

「鬼滅ヘア」が話題になっていた矢先、「ヒカルの碁ヘア」なるものが出てきているのをご存知でしょうか。

■ヒカルの碁ヘアはツートーンカラーの行き着いた形

 ファッションは基本的に、周りと違う事をカッコいいとする文化です。言い換えれば、あえて少数派になることを目指す文化とも言えるのかもしれません。

「バレイヤージュカラー」「グラデーションカラー」といった毛先を明るくするヘアスタイルが流行っていますが、こういった派手なヘアスタイルが流行ると、それをする人も多くなり、ヘアスタイルが多数派のものになってしまいます。すると、少数派でいたいお洒落さんは、また新たなトレンドを求めて次の手を打つのです。

 00年代以降、ファッションは過去のトレンドをミックスする事でアップデートを続けています。過去のトレンドを丸ごと物真似するわけではなく、要素を少しずつ取り入れて今風に味付けする。この連鎖でトレンドは、少しずつ動いています。

 先ほど、「バレイヤージュカラー」「グラデーションカラー」が流行していると書きましたが、その最新形が「ヒカルの碁ヘア」です。正式名称は「ミストバング」。

 K-POPアイドルが先駆けて取り入れているのが、注目されたようです。大人気のK-POPガールズグループ、BLACKPINKのジェニーや、ロンドンを拠点に活動する日本人アーティストのリナ・サワヤマなどが「ミストバング」を取り入れています。


 前髪だけを明るい色で染めるスタイルで、見た目は正にヒカルの碁。特に30代の方は思い出深いのではないでしょうか。

■元ネタは80年代のトレンドか

 一見奇抜な「ミストバング」は一体どこから来たのか。鍵は80年代にあります。現在、ファッションから音楽に至るまで80年代がリバイバルしており(シティポップが再流行しているのをご存知ですか)、その影響は髪型にまで及んでいます。

 少し前に「シースルーバング」が流行したのを覚えているでしょうか。テレ朝の弘中綾香アナなどが取り入れている、前髪を薄くする髪型です。これは、80年代を代表するアイドル、工藤静香のトレードマークだった、カールした薄い前髪の現代版なのです。

「ミストバング」も80年代リバイバルなのでは、と私は考えています。ドラムを叩いたらロックバンドの「C-C-B」みたいですが、トレンドの流れとしては一緒です。「C-C-B」のもう一つのトレードマークだったアラレちゃんメガネも少し形を変えて、広い世代に流行っています。

 ヒカルの碁ヘアは顔周りにカラーを入れているので、毛先を明るくするグラデーションカラーよりもインパクト大です。しかしTPOに合わせ難いため、一部のファッショニスタを除いて、一般層には受け入れられないと思っています。やるとしたら、振り切ってカッコつけたほうがキマります。

■同性に支持される人が、ファッションリーダーになる

 ファッションの影響は、昔であればテレビドラマなどのメディア、今だと主にSNSに登場する「憧れの同性」から受けることがほとんどです。

 かつてキムタクのファッションは、ドラマのたびに注目されて一大現象を起こしていたし、現代では美青年俳優のティモシー・シャラメの最新ファッションは世界中のファンが注目しています。

 これはアイドルが、異性だけでなく、同性からの人気も獲得していることを示しています。

 ではどうして今、K-POPアイドルが日本人の若者たちの「憧れの同性」になれたのか。「憧れ」のカギは「浮世離れ」と「親近感」のバランスにあります。

■K-POPが「浮世離れ」していた頃、影響力を持っていたのは……

 00'年代に日本でも活躍したBoA。本物志向の歌とダンスのパフォーマンスで人気を博しました。

 10'年代になるとKARAや少女時代など、「浮世離れ」したセクシーな美の追求、厳しいレッスンに裏打ちされたパフォーマンスの質が、日本のアイドルとは違った魅力を放つように。

 ただし、彼女たちの「韓流」はまだ日本人にとっては「浮世離れ」していて、ファッション的な影響力とまでは行かなかったように思います。

 その一方で、当時ファッション的な影響力を持っていたのは「親近感」が売りのAKB48です。「会いに行けるアイドル」のコンセプトは推しメンを応援したい気持ちを高め、歌やダンスが下手でもむしろ愛らしいチャームポイントとして受け入れられました。

 顔立ちの整った芸能人で、ある意味「浮世離れしている」彼女たちがファッションアイコンになれたのは、この「浮世離れ」と「親近感」のバランスにあったのではないでしょうか。

 AKB48のトレードマークは黒髪ストレートに「下ろして流すバング」。ヘアアイロンやコテを使ってスプレーでガチガチに固めた絶対領域的な前髪は、清楚で純粋なイメージを作り出していて、当時の若者はこぞってマネをしました。

 ちなみに「AKBの子たちの見分けがつかない」と嘆いた大人たちは、実は間違ってません。当時のメンバーはみんな同じ髪型をしていたので、見分けがつかなくて当たり前です。

■SNS時代は「親近感」を生みやすい

 では、これまで日本でファッション的な影響力を持たなかったK-POPが、大きな影響力を持つようになったのはなぜか。私は「SNS」がカギだと思います。

 SNSの普及によって、アイドルも当たり前に自分から発信するようになり、自然とプライベートなファッションが目に映り込むようになりました。「浮世離れ」したアイドルの日常は「親近感」を生みやすく、瞬く間にファッションリーダーになることができたのだと思います。

 かつてキムタクがドラマのワンシーンで着た服が大人気になったように、彼らのカッコいい、カワイイファッションは日本でも注目される。

 すると、同じアジア人のファッションは取り入れ易くもあり、若者たちが影響されたのも当たり前の事のように感じます。

 まだまだ快進撃を続ける韓国エンタメには、次は何が来るのか、ファッション的にも目が離せませんね。

(操作イトウ)

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