東京圏で「コロッケそば」を食べるならこの人気店“6選”――コロッケそば「6つのナゾ」とは

東京圏で「コロッケそば」を食べるならこの人気店“6選”――コロッケそば「6つのナゾ」とは

名代箱根そば四谷店で冷やしコロッケそばを食べる

 立ち食い・大衆系そば屋にはあって、老舗・町そば・手打ち系そば屋ではほとんど御目にかかれないそばの具材がある。「春菊天」と「コロッケ」である。「春菊天」はまた後日触れることにして、今回の話題は「コロッケそば」。柳家喬太郎師匠の「時そば」の枕にも登場する「コロッケそば」にハマっている老若男女は意外と多いようだ。

 文明開化とともに伝来した「コロッケ」は大正時代では高級洋食であり、あこがれの食べ物だった。「クリームコロッケ」と「ポテトコロッケ」が当時からあったようで、「ポテトコロッケ」はその後、精肉店の人気総菜として大衆化の道を一気に進んでいった。

■(1)そもそも「コロッケそば」はいつ誕生した?

「ポテトコロッケ」をパンに挟んだ「コロッケパン」は、昭和2年の銀座の精肉店「チョウシ屋」が発祥とか。「コロッケそば」が誕生したのはその約40年以上も後のことである。戦後の冷凍食品の普及が密接にかかわっているようだ。

 1960年代に入ると冷凍庫付き冷蔵庫が登場し、1964年の東京オリンピックの頃には冷凍食品がだいぶ普及していた。昭和40年代に入ると、給食や外食でコロッケやフライの業務用冷凍食品が浸透し、フライヤーで手軽に大量のコロッケを扱えるようになった。天ぷらを揚げていた立ち食いそば屋でも、「人気のコロッケを揚げてそばに載せたらうまかった」ということになったようだ。

 大阪の「潮屋梅田店」では昭和44年頃からカレー味の「コロッケそば・うどん」を販売していたという。

 (株)小田急レストランシステムが経営する「名代箱根そば」では昭和40年代、下北沢店のオープン時に「コロッケそば」を初めて導入したという。当時は約30gのカレーコロッケ(ひき肉・春雨入り)が2個入っていたという。この2個入りの「コロッケそば」は下北沢店で食べた記憶がある。最初に食べた時、「あっ、カレー味だ」と驚いたわけである。

「六文そば須田町店」の大将の鈴木社長の話によると、「六文そば」でも創業当時から、冷凍コロッケを仕入れて販売していたという。「アジフライやコロッケの冷凍食品ができて、調理のし易さが格段にアップして、人気になった」という。「六文そば」では昔ながらのポテトコロッケを今でも提供しているという。

?

■(2)なぜ立ち食い・大衆店の「コロッケそば」はうまいのか?

 では、なぜ立ち食い・大衆店の「コロッケそば」はうまいのか。これには諸説あると思うが、もちろんコロッケの品質が向上したということもあるとは思う。だが本当の理由は、次の一点に尽きると思う。

 すなわち、「サラダ油などの植物油で揚げたコロッケは、天ぷら同様、そばつゆによく馴染んでコロッケの甘みやうまさを上手に引き出している」ということである。

 一般に、精肉店ではラードを使ってコロッケを揚げている。ソースをつけて食べるあつあつのコロッケは格別である。ところが、精肉店でつくったコロッケはそばには合わない。ラードがそばつゆの味とマッチしないのである。老舗・町そば・手打ち系そば屋で「コロッケそば」が普及しない理由はこのラードが原因ではないかと思う。唯一鴨肉と鶏肉(かしわ肉)の油だけは許容されているというのは実に面白い。立ち食いそばでは植物油を使っているのでコロッケが受け入れられたのだと推測する。

■(3)でもなぜ「カレーコロッケ」?

 ところで「コロッケそば」には不思議なことがある。前出の大阪の「潮屋梅田店」、「箱根そば」もカレー味のコロッケが使われている。「そば処かめや新橋店」ではカレー味の「コロッケそば」を販売して人気になっている。なぜカレー味なのだろうか。

(株)小田急レストランシステムの長谷川真也さんにたずねてみると面白い答えが返ってきた。

「今で言う“味変”ですね。普通のコロッケでもおいしいと思いますが、味の変化が乏しいため、カレー味にしたという説があります。あくまでも説ですが……(笑)。はじめは普通に味わっていただき、途中からコロッケを崩すことで、カレーそばのような味に変化するのが人気のようです。コロッケを別皿にのせて、ソースで召し上がるお客様もいらっしゃいますよ。食べ方は十人十色、だから食は楽しいのですかね」という。なるほど、他店と差別化しようとして、たまたま偶然にカレー味になったということなのだろう。

■(4)自家製コロッケにこだわる店“3選”は?

 こんなことを書いていたら「コロッケそば」が無性に食べたくなってきた。上記の人気店以外でも、なんと自家製のコロッケにこだわる店が存在している。3店紹介しよう。

 JR大宮駅東口北側の階段を下りた正面のすずらん通りに入ったすぐの左にある創業1972年の「つくば本店」のコロッケは自家製で、ポテトがごろごろしていて野趣あふれる味に仕上がっている。1個が大きいのでお腹一杯になる。こちらではメンチコロッケも自家製で人気である。

 藤沢駅近くの地下街にある創業1969年の「新月」はそばもうどんも自家製麺している。つゆもコロッケも自家製、手作りである。こちらのコロッケもイモがゴロっとしていて、ずしりと重い。洋食屋や精肉店で出会えるコロッケとは異なるレトロタイプなコロッケである。

 そして、次は東急大井町線中延駅前にある「大和屋」である。もともと天ぷらやコロッケなどの総菜を手掛けていたご主人が始めた立ち食いそば屋で、こちらの自家製コロッケはコロッケだけで食べてもしっかりと味がついている。この作り方が実にユニークなのである。一言でいうと「肉じゃがコロッケ」。つまり、じゃがを蒸してそれを細かくつぶしてタレを合わせて、コロッケに成形して揚げているというわけである。そばにのせてもうまいし、カレーライスのトッピングとしてもなかなかうまい。

■(5)コロッケそばvsかき揚げそば どちらがカロリーが高い?

 コロッケは油を吸っているからちょっとオイリーだし、ダイエッターにはおすすめできないと思うかもしれない。しかし、「箱根そば」基本メニューカロリー一覧によると、「コロッケそば」は529キロカロリー、「かき揚げそば」は544キロカロリーとほとんど変わらない(「コロッケそば」のほうがカロリーが低いというのは意外だった)。ちなみに「天玉そば」は608キロカロリーと高カロリーである。コロッケは腹持ちもよく、カロリーもそれほど高くないのが人気の秘密なのかもしれない。

『箱根そば』 基本メニューのカロリー・特定アレルギー物質一覧表
https://www.odakyu-restaurant.jp/Portals/0/pdf/h_alergy.pdf

■(6)コロッケそばのおいしい食べ方は?

 それでは、「コロッケそば」の自分なりの食べ方を紹介しようと思う。

 まず、(1)そばの上にのったコロッケをつゆに浸す。そして、(2)その一部をガブっとかじりながらそばをすする。(3)何度かかじっているとだんだん、コロッケはほぐれてきてつゆに溶け出して来る。(4)最後には、ポタージュのような状態になるので、つゆと一緒に飲み込むようにいただく。

 自分は、もしお店にソースがあれば、「コロッケそば」のコロッケに数滴ソースをたらして、食べることもある。ソースはそばつゆにもよく馴染むので意外とうまい。おすすめである。もちろん、食べ方はその人の自由であるので、お好きな食べ方で召し上がっていただきたい。

 あと、蛇足だが、醤油ラーメンにコロッケをのせた「コロッケラーメン」は「コロッケそば」と双璧をなすくらいうまいことを最後にお伝えしておこうと思う。

写真=坂崎仁紀

INFORMATION

名代箱根そば四谷店

住所:東京都新宿区四谷1-18
営業時間:月〜金7:00〜18:00
定休日:土日祝

六文そば須田町店

住所:東京都千代田区神田須田町1-17
営業時間:月〜金7:15〜17:00?(木曜日は16:00まで)
定休日:土日祝

そば処かめや 新橋店

住所:東京都港区新橋3-21-10
営業時間:月〜金24時間営業
定休日:日

つくば本店

住所:埼玉県さいたま市大宮区大門町1-17
営業時間:月〜金 5:00〜11:00
       土 5:00〜19:30 日 5:00〜20:00 祝 5:00〜21:00

新月

住所:神奈川県藤沢市藤沢388
営業時間:平日 9:00〜20:00
     土日 10:00〜16:00
定休日:なし(正月は休みますとのこと)

大和屋

住所:東京都品川区中延4-5-4
営業時間:火〜土 6:15〜20:30 
       日 7:00〜14:00
定休日:月

※各店舗とも新型コロナウイルス感染拡大防止のため、、営業曜日・時間が変更される場合があります。

(坂崎 仁紀)

関連記事(外部サイト)